2023.04.17
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応援されて当たり前に見える状況で

誰かの応援に感謝し大切にするということは、自分を大切にするということでもあるんだな、という話。

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭 今村 行

どうも、今村です。
令和5年度、引き続き執筆させていただけることになりました。継続を許可してくださった編集部の皆様、そして拙い文章を面白がって読んでくださっている方々に深く感謝申し上げます。
文章に向き合うということは、自分の中にあるものに向き合うということであり、ちょっとしんどい時も恥ずかしくなるような時もあります。でも自分の中から糸口を見つけて書き始めて、思ってもみなかったようなものの全貌が明らかにできたと感じられることもあります。そういう瞬間を、つれづれ日誌という場で書かせていただくことでたくさんいただいているなと思います。

ゴールへ向かう時や、新たなスタートを切る時に

さて、最近考えていたことをつれづれなるままに書き始めてみようと思います。

年度末、年度初め、小学校という場では子どもも大人も「切り替わり」の時期としてさまざまな事柄に向き合います。例えば6年生は卒業に向けて最後頑張ろうという雰囲気がありますし、5年生は6年生を送り出して次の最上級生としての自覚を持ち始める時期かもしれません。その他の学年にしても、次の学年に向けて進んでいこうという大きな流れがあります。教員においても、目の前の子どもたちとの別れに向けて、何かしらエモーショナルな、特別な感情を抱いたりするでしょう。
そして年度が明けて4月、またみんなが新たな気持ちで新たな出逢いの中でスタートを切る。子どもたちも新たな仲間と関係を築き、教員も新たな子どもたちに出会ったり、新たな校務分掌、役割の中で挑戦したりする。
なんというか、みんなすごく頑張っていて、いい姿なんですよね。私はこの3〜4月の時期の学校の雰囲気というのが、とても好きです。

その中で「応援されて当たり前に見える状況」というのがちらほらあると思うんです。
例えば新6年生が様々な取り組みをするとき。新6年生の取り組みは当然下級生の学校生活をよくしてくれることにもつながっていますから、感謝するのが当然です。私たち教員も6年生担任だけでなく全体で6年生のことをサポートし、応援します。
また大人の話で言えば、新たに校務分掌で長を任せてもらったとしましょう。体育主任でも、研究主任でもなんでもいいのですが、責任を伴う仕事です。その仕事は学校全体、同僚一人一人に影響を与えるわけです。ですから自分が「周りの同僚」の立場であればサポートするのが当然だと感じます。

それで、これが今回みなさんと考えてみたいことなのですが、その「応援されて当たり前に見える状況」や立場に自分がいるとき、自分には何ができるのかということです。

感謝の目盛り

正直に申し上げると、僕は「周りの人間」としてサポートする側の立場の時に、気持ちよく前のめりにサポートできる時と、そうではない時があります。「できること自分から見つけて、サポートさせてください!」という気持ちになれる時と、「まぁ、これは僕ら周りの人間がサポートして当たり前の状況だし、サポートしないと立ち行かないから、やろうか」みたいな気持ちのことがある。ほんとは、いかなるときも前のめりになるべきなのかもしれないけれど、正直心情的に後者のようになってしまうことが、ある。皆さんはどうでしょう、そういうこと、ありませんか?(これは僕だけなのか?)

これ、どうしてなんだろうかと考えた時に、やっぱり「応援」って、「応援する側」が当たり前だって感じることであって、「応援してもらう側」が当たり前だって思ったらダメなんだろうと思うんです。「え、私のこと応援するの、今の状況で当たり前ですよね?応援してくれますよね?」というのって、うん、そうなんだけど、そう思ってるのが薄々伝わっちゃうと周りの人間は応援に熱が込もらないというか。応援してくれる人たちの気持ちなんて、頑張っている人側からすれば考えなくていいのかもしれないけれど、でもそういうところ全く考えないのって、ちょっと考えが粗すぎないか?と思う瞬間が、ときどきあります。
爽やかに「(応援してくれて)ありがとうございます」と言われるだけで、僕はけっこうファンになっちゃうんです。その人のことを、もっと応援したくなる。それが応援というか、もはや自分のやりたいことにもなる。

応援されて当たり前に見える状況で、自分には何ができるのか。
できれば、自分もいろんな方々に応援してもらえる人間でありたい。そのために感謝の目盛りを細かくしていきたいと、思っています。

今村 行(いまむら すすむ)

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭

東京都板橋区立紅梅小学校で5年勤めた後、東京学芸大学附属大泉小学校にやってきて今に至ります。教室で目の前の人たちと、基本を大切に、愉しさをつくることを忘れずに、過ごしていたいと思っています。

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