2022.04.20
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宝物の時間を掴もう

教師という仕事

大阪大谷大学 教育学部 教授 今宮 信吾

桜の季節に思うこと

滝谷公園から眺めた大阪大谷大学

今年も本学教育学部に多くの学生が入学してくれた。
教員不足が伝えられ、過酷な労働環境も伝えられ、教師をめざす学生が少なくなっていると言われている。
そんな状況の中でも、教師としてのやりがいを求め、未来に教職に就くことをめざしてくれる学生がいることがありがたい。
自分がなぜ教職に就いたのか、桜の季節に合わせて伝えておきたい。

教師になったきっかけ

桜と菜の花

高校2年生までは理系クラスに属し、将来はそれを生かした道をめざしていた。そんな時、読書好きの友達から「灰谷健次郎って知ってる?」と尋ねられ、一冊の本を渡された。『せんせいけらいになれ』という文庫本だった。そこには小学生の子どもたちが素直に表現した詩が多く載っていた。本を貸してもらってすぐに読み切ったことを覚えている。

小さい頃から本好きの父親に育てられ、身の回りには多くの本があった。難しい本も時々手に取ってみていた。「こんな世界があり、これが仕事にできるなら教師もいいな」と思い、高校3年生で文系のクラスに変わった。大学受験が近づき、国公立と私立の両方を受験することになった。最終的に学部が創設されたばかりの教育大学の推薦入試を見つけそこを受験することになった。その時の担任の先生のことばが今も私の心の中にあり、何かのきっかけで思い出し、教職を続けてこられた。そのことばは、「教育大学なんて行っても就職できないぞ。教員になれる確率は低い。就職浪人をするつもりか。君の家は小売人ばかりなんだから、その笑顔と愛想を生かしてその道の方がいいぞ」

結局私立の学部と教育大学を併願することになった。私が担任に伝えたのは、「推薦に合格したら行きます」という返事だった。結局、その選択に従って現在も教職を続けられている。

人との出会いを生かして

先日亡くなった藤子不二雄の我孫子さんと藤本さんは、小学校で出会って以来の親友だった。
そんな出会いは多くあるのだろう。
人と人との出会いは、偶然でもあり、必然でもある。
出会いを生かすことが教育の醍醐味でもある。
困難な時代に生きる教師ということも伝えられているが、心の持ちようである。
幸せな時間は自分で掴み取るしかない。
子どもたちの人生という宝物の時間を共有できる教師という仕事を日々楽しめるように、先生方の応援団としてこれからも在り続けたい。

今宮 信吾(いまみや しんご)

大阪大谷大学 教育学部 教授


国公私立の小学校で教員を経験し、現在未来の教師を育てるために教員養成に携わっています。国語教育を核として、学級づくり、道徳教育など校内研究にも携わらせていただいております。ことば学びのできる教師と学校づくりを目指しております。

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