2023.01.06
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研究の奥に見える景色

とある学校の、とある教師から見える、個人的な、研究の奥に見える景色について。

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭 今村 行

どうも、今村です。
今回は、僕のみっともないところ、未熟なところもありのままお送りする回になります。一人語りのような部分も多くなると思います。読むに耐えなかったらすみません。

今年度、学校の中で、研究推進委員長というのをやっています。
ところによっては研究部長とか研究主任とか研究推進委員長とかいろんな呼び方があってややこしいのですが、とりあえず研究の長です。

研究の内容については、学校のホームページからご覧いただければと思うので、詳細はここでは割愛します。

何をやったかではなく、何のためにそれをやるか?

僕は、10年ほど前、東京学芸大学附属竹早小学校というところで教育実習をしました。そこで指導してくださった先生のお陰で、僕は自分を見つめ直すことができました。それは、教師になるとかならないとか、そういう選択以上の何かでした。そして、こういう仕事をしたいと思い、いつか附属の学校に行って、教育実習を迎え入れる側の人間になろう、と思いました。

東京都板橋区という、自分が生まれ育った土地で教職をスタートしました。いろんな子たちと出逢いました。それなりに、大変なこともありました。自転車で、深夜の帰り道、月に向かって吠えたいような日もありました(若いですね!)。
「授業なんて」と思っている子どもたちとどのように過ごしていけば「このクラスで学ぶって愉しい」と思ってもらえるのか、試行錯誤の日々でした。この日々がなければ、目の前の子どもたちの姿や言葉に感謝するということを、体感として知ることができなかったかもしれないと感じます。

教職5年目が終わったところで、縁あって東京学芸大学附属大泉小学校に赴任することになりました。そこで、また多くの出逢いがあって、自分の考えをアップデートしていくことができました。教育実習生を迎える側になり、「今、この人に何を伝えるべきなのか」ということを考えては、伝えるようになりました。

大泉小学校で、5年間を過ごし、6年目を迎えた今年度、校内で研究推進委員長になりました。前年度まで、文科省の研究開発学校の指定を受けて研究をしており、それがひと段落ついて、ということで経験の浅い私に役が回ってきました。
今までやってきたことの延長線上では、とても立ち向かえない仕事だということを感じました。
「自分にできるんだろうか、いやきっとできる」と、思考が自分本意になっていたり、やっている目的が「あいつじゃダメだと思われたくない」と、自分自身を守る方向になっていたり、そういうお恥ずかしい時期がありました。
組織づくりについて勉強したり、どうすれば教員一人一人が研究を愉しむことができるのかを考えたり、どうすればやっていることが研究のための研究にならずに子どもの喜びに繋がるのかを考えたりする日々でした。
そういう中で、「ただこの仕事が好きだ」と思えるようになりました。

1月28日(土)に、オンラインで研究発表があります。
そこでも、単に「自分たちはこういう研究をやってきました」ということを主張するだけでなく、どうすれば参加してくださる方々が「教師として生きてきた、闘ってきた文脈」の中で僕たちの話を聞いてもらえるのか、腐心し工夫しました。
今は教職で頑張っている、関わらせてもらった教育実習生のみんなが、「これは私のための話だ」と思えるようなものを、どうすれば作れるかを考えました。
できることなら板橋区に勤めていた頃の自分が知っていたかったことを、もし知っていれば、目の前の子どもたちと一緒に、もっと「学ぶって愉しいんだ」と実感できていたかもしれないことを、どうすれば形にできるか、ずっと考えていました。

自分の想いや考えなんて、伝わらないことの方が多い、というのは、教師をされている方々、いやどんな仕事や生き方をされている方々でも同意してくださることだと思います。
でも、そうした中で、数は多くはないかもしれないけれど、受け止めてくれる人がいる、ということが大きな喜びであるということも、同意していただけると思います。

そういうことを、本当に喜びとして、様々な方々のお陰で感じることができた一年でした。
今までやってきたことは、今年の、今のためだったのかもしれない、と思える一年でした。
まだ全然終わってないんですけど(笑)

もしよろしければ、一緒に学びませんか?

今村 行(いまむら すすむ)

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭

東京都板橋区立紅梅小学校で5年勤めた後、東京学芸大学附属大泉小学校にやってきて今に至ります。教室で目の前の人たちと、基本を大切に、愉しさをつくることを忘れずに、過ごしていたいと思っています。

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