単位の学習は体験が大事!~水のかさ~
「dL(デシリットル)」や「cm(センチメートル)」、「㎤(立方センチメートル)」のような単位の学習って知識として教え込む部分があるため、子どもが楽しんで考えたり、驚いたりすることが、ほかの単元と比べて少なくありませんか?
今回は2年生の算数「水のかさのたんい」の実践になります。
水のかさという量的にイメージのしにくいものを、実際に見たり、さわったりして体験しながら考えていきました。
沖縄県宮古島市立東小学校 教諭 五條 晶
ふだん使っているもの、見ているものを考える。
1dL(デシリットル)がどのくらいの量なのか。分かるには体験が一番だと思います。
教科書の絵や写真だけで1dLの量を知るのではなく、実際に見る。
単位の勉強に関しては、この実際の経験がとても大事になります。
そこで1時間目では、実際に1dLのカップに水を入れて見せました。
そのカップを実際に見たり、カップを持ってみたりして「1dL」を体験します。
ここで問題を提示します。
私「毎日給食で飲んでいる牛乳は、何dLでしょうか?」
もちろんいつも飲んでいる牛乳は準備して実際に見せます。
ここで大事なのは普段の生活で見ているもの、使っているものから考えていくことです。
いつも見ている、飲んでいる牛乳をふと見方を変えて見ることへの楽しさがあります。また、「dL」という初めて聞く単位を身近なもので考えることで、考えやすくなります。
予想を立てさせると、いろんな考えが出ます。
子どもたち「3dLかな?」「2dLくらい?」「1dLと半分じゃない?」
ここで予想の理由を聞きます。
私「そう予想した理由を教えてください」
◆1dLと半分と予想した子
「1dLのカップを縦に積み上げると、牛乳の高さまで1dLと半分だからです」
◆3dLと予想した子
「1dLのカップに入った水と牛乳の重さを比べた時に、3個分くらいだと思ったからです」
こうしたときに1dLをもとに考えている子を価値づけることで、既習事項をもとに考える子が増えていきます。
そこで、最終的には実際に牛乳を開けて、1dLのカップに注いでいきます。
このときの子どもの反応はとっても最高です。
「わあ、ぴったり2dLだ!」「すげー!」
そして、この「dL」の学習が次の「1L」の学習に活きていきます。
「1Lは何dL?」
いよいよ次は「L(リットル)」の学習です。
導入は牛乳が2dLだった時の上の記事の写真を提示し、前時を振り返りました。
その後、1Lのウーロン茶が入ったペットボトルを実際に見せます。
私「1Lって聞いたことある?」
子どもたち「あるある!」
1Lは聞いたことある子が多い。
ここで、問題提示をします。
私「このペットボトルに1L入っています。1Lは何dLでしょうか」
この後、予想を立てます。
ここでのポイントは前時の「牛乳は何dLでしょうか」の学習と同じ流れなので、すでに理由を考えている子が増えます。
「実際に前に来て、ペットボトルをさわって考えていいよ」といった時の写真が上の写真です。
ペットボトルの横に、給食の牛乳を置いて考えたり、その上に1dLのカップを置いて何個分あるか考えたりしていました。
牛乳の大きさをもとに。1dLのカップをもとに。というように、「〇〇をもとに考える」ということは低学年から十分できると感じました。
これもまた、みんなで予想や理由を共有した後に、1dLのカップを使って「1L分の容器」に1杯ずつ入れていきます。
1dLずつ入れていくことで、子どもたちのそれぞれの予想の量を超えたりしたときに
「えー?!」「まだまだ入るの?!」など驚きの声が生まれます。
そしてぴったり10回分入れて終わります。
この時に「1L=10dL」という知識を、体験を通して学習します。
体験をすることで驚きなどの感情を伴うため、忘れにくくもなります。
体験の大切さ
このように、単位の学習では体験を伴うと量的感覚が分かりやすくなります。
例えば、面積の単位で「1a(アール)」はどう教えていますか?
「1a」は「100㎡」です。と知識としては教えて終わりですが、テストでよく間違える子が多くないですか?
私なら「1a(アール)」で鬼ごっこをして、遊んじゃいます。
たっぷり時間をかけて、体験をすることで、広さの感覚を身につけていきます。
どんな体験をさせて学習するか、考えるのも楽しいのでぜひやってみてください。
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