2022.06.20
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いつの間にか平均を求める力がついちゃう!?

こんにちは。五條晶です。
今回は、5年生の算数「平均」の実践になります。
「平均ってなに?」と、子どもたちから聞かれたらみなさんはどんな教え方をしますか?
ぼくたちは日頃平均を使っている分、イメージしやすいですが、子どもたちからすると、なかなかイメージしにくいものです。
それを今回はトランプを使って遊びながら、平均の理解を深める実践になっています!
また、遊びだけに終わらず、子どもの「気づき」をひろい上げ学びにつなげる実践となっています。
面白そうであれば、ぜひやってみてください!

沖縄県宮古島市立東小学校 教諭 五條 晶

ゲームのやり方

いつの間にか「平均」の力がついちゃう!?トランプゲーム

~準備する物~
○トランプ(3・4人で1つ)
○ノート

~ゲームの仕方~
①グループで1人2~5枚のカードを引く。
※ひく枚数は自分で選ぶ。
②引いた数字をみんなに見せる。
※グループのメンバーの平均は各自ノートに計算していく。
③引いた数字の平均が1番大きい人が勝ち。
➃ジョーカーは「0」とする。
※0点も1回と数えることも自然と身につく。

ゲームなので子どもの勝ちたい意欲が、メンバーの計算間違いを指摘してくれます。
結果として平均を求める技術がぐんぐん上がります。

ゲームはやらせっぱなしじゃもったいない・・・

ゲームをやりながら、子どもたちは興味深い発言をします。そこを切り取れるかで、ゲームが学びにつながります。
この時は、こんな子どもの気づきがあったので紹介します。

子どもの気づき①
ある子が「こんなの絶対5枚引いた方が平均が大きいじゃん!」と言って5枚引く……
しかし、勝ち続けることができません。
そこでその子は「2枚の方が平均が大きくなるのか?」と言って2枚を引きはじめました……
しかし、また勝ち続けることができません。
「あれ?2枚でも、引いた数字が大きければ勝てるし、引いた数字が小さければ負けちゃう」ということに気づきました。
その後、何枚引くかではなく、山札からどのくらい大きい数字を引けるかに視点が変わっていました。

こうした発言や行動を切り取って、全体に紹介していきます。

ルールを変えていく面白さ

同じルールでばかりやっていると、子どもは飽きます。
そんな時は、「どうしたら、もっと面白くなりますか?」と、子どもに聞いてみましょう。
そんなやり取りをした後の子どもの気づきを紹介します。

子どもたちとのやり取りでこんなルールが誕生しました。
➀1番平均が大きい人が勝ち(最初)
②1番平均が小さい人が勝ち
③平均が8に近い人が勝ち

みなさんはどのルールが楽しいと思いますか?
やってみると分かりますが、③のルールはなかなか面白いです。
③のルールでは子どもから「平均7.5と8.4ってどっちが8に近いの?」という疑問が出てきました。
その中で「数直線を使えばいい!」という子。
「7.5に0.5足したら8。8.4から0.4引いたら8。だから8.4の方が8に近い」という子も出てきました。
ルールを変えていくことで、小数の大きさ比べの勉強にもなってきます。

子どもの発言に耳を傾ける大切さ

ゲームをすすめていくと、こんな発言をする子もいる。
「最初に引く数を決めるのではなくて、最初に2枚引いた数字によって、後何枚引くか決めたい」
みんなの注目が一気に集まる意見でした。

例えばルール①の「1番平均が大きい人が勝ち」では、2枚引いた時にその数字の合計を2で割るので、2枚が大きければもうカードは引きたくありません。
まさに「平均=合計÷個数」ということを理解している発言だと感じます。

その後、ルールに「引いた数字を見て、2~5枚引くか考えてよい」を加えスタート。
すると平均を予想しながら山札からカードを引く子が増え、ゲームはさらに白熱していきました。
こうしてグループで答えを確かめながら、たくさんの問題に取り組むことができました。
勝つか負けるかドキドキワクワクしながらやることで、子どもからのたくさんの気づきが増え、平均を求める技能だけでなく、平均というものの理解も深めることができました。
こうして、子どもの発言に耳を傾けることで、学びにつながっていきます。

さいごに「ゲームで大切なこと」

僕たち教師は、「子どもに楽しく勉強してもらいたい」ということでゲームや遊びを取り入れがちです。
しかし、こんな事がありませんか?

①教師のルール説明が多くすぎて、ゲームの時間があまりない。
②ゲームをやらせっぱなしで、楽しい思い出だけで終わり(学びがない)。

これは現場でありがちな事です。
それを回避するために、手立てが大切です。
①を回避するためには、まずルールは簡単にしてたっぷりやらせてみる。
②を回避するためには、途中で止めて子どもたちの「気づき」を共有する。

それ以外にも実際にゲームをクラスでやってみる事でいろんな手立てがあると思います。
子どもたちが楽しく学びのある時間を過ごせたら最高ですね!

五條 晶(ごじょう あきら)

沖縄県宮古島市立東小学校 教諭


授業を通した「みんなで分かる!」「みんなが楽しい!」集団づくりを目指し、試行錯誤しています。

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