2022.05.31
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「やりたくない」を「やってみよう!」へ

こんにちは、五條晶です。3回目の投稿になります。
今回のタイトルは『「やりたくない」を「やってみよう!」へ』としました。
さまざまな教科の授業で、子どもたちに「◯◯やりましょう」と言ったときに「あんまり反応よくないな......」というときってありますよね。
そんなとき、先生方はどんな声掛けをしますか?
体育ではそれがよく見られると思います。例えば「マット運動」をするときに、「前転が余裕でできる子」と「前転が怖くてできない子」がいるのが学級です。
そんな学級でみんなが「やってみよう!」と思える仕組みは大事なことですよね。
今回はそんな5年の「マット運動」を対象に、子どもたちが「苦手だけどやってみよう」と思える仕組みをどう作ったかという記事になります。

沖縄県宮古島市立東小学校 教諭 五條 晶

(1)「やってみよう」と思わせる仕組み

マット発表会の様子

子どもに「やってみよう!」と思わせる仕組みとして3つの作戦があります。
①ゴールまでの見通しを明確に示す
②チームで取り組むことで、苦手な子も巻き込む
③自分たちで作る楽しさを味わう

この3つをどう行っていったか「マット運動」を例に説明していきます!

①ゴールまでの見通しを明確に示す
ゴールを明確にすることは、今の時間が何のためにあるのかを知るための安心材料になります。
マット運動では単元の最後に「発表会」というゴールを設定しました。この発表会では、4人から5人のグループが音楽に合わせてマットの技を披露します。
明確なゴールがあることで「発表会のために前転と後転をできるようになろう!」という目的意識が生まれます。

②チームで取り組むことで、苦手な子も巻き込む
みなさんはやりたくない事があったとき、「まわりのみんなが頑張っているから自分もがんばろう」と思ったことはありませんか?
この心理的作戦で、苦手な子も一緒に練習を「やってみよう」と思える環境を作っていきます。
そこで重要なのが、ただ先生に言われた技をチームで練習するのではなく「自分たちが練習するものを選んで練習させること」です。
どうやって、自分たちで練習したいと思うような仕組みを作ったかは、次の章で説明します。

(2)「やってみよう」と思わせる仕組み

動きの見本

それでは、③「自分たちで作る楽しさを味わう」作戦について説明していきます。

まずは、ユーチューブなどで「シンクロマット」等を調べ、音楽に合わせてマット運動の技をグループできれいに行う姿を見せます。
すると、やってみたいという子が数名出てきます。

グループを組み、図「動きの見本」のようなマットの上での動きを自由に見られるようにします。
最初は前転と後転だけに技を限定し、技の完成度より、「マットの上で自分たちがどう動くか」に視点を置き、考えさせます。
すると、技は全て同じでも、動きが全グループ違うという楽しさに気づきます。

技は簡単なのでマット運動が苦手な子もみんなで音楽に合わせて動く楽しさに、惹かれていきます。
そして、だんだん子どもたちから「他の技も入れてみたい!」などという声があります。
そこで、さまざまな技の紹介を行っていきます。

自分たちで作る楽しさ

子どもたちが作った演技構成カード

写真は子どもたちで作った演技構成カードです。
自分たちがどう動くか、何の技をするか書かれています。
自分たちで作ったものなので、練習も自分たちで技を見合いながら完成度を高めていきます。
チームで決めた技なので、みんなで練習しようという意識が高まります。
また、発表会のテーマは「美しくみせよう」としました。そうすることで、美しく見せることが目的になるので、全員が全く同じ技をやる必要はありません。

例えば4人の中の2人が「側転」
2人が「前転」だとしても、技の始まりと終わりが綺麗にそろっていれば美しく見えます。
また、得意な子がロンダートをやりたいと言ってきても同じです。1人がロンダート、3人が他の技でも、そろっていれば美しく見えます。
このようにして、グループで「美しさ」に視点を置いて構成を考え、自分たちの技をみがいていきます。

その練習の中でもこの演技構成カードを活用します。
写真を見ると、青い文字で気づいた事や意識することが書かれています。
「足をパッと開く」「ちゃんとピタッと止まる」など技の完成度を高めている様子がうかがえます。
こうして、気づいたことやポイントをどんどん書き込ませていきます。

おわりに

やりたくないことも、一歩踏み出せば案外簡単な事、楽しい事だったりします。
その一歩を踏み出させてくれるのは、先生や友達の一言かもしれません。そうした、声を掛け合える学級の雰囲気を作っていくのも自分たちの仕事だと思います。
失敗しても、次につなげることができる大事な失敗だったと、「失敗に前向きな」集団にしていきたいものですよね。
自分もまだまだ勉強中なので、子どもたちと一緒に、いろんなことに挑戦していきたいです!

五條 晶(ごじょう あきら)

沖縄県宮古島市立東小学校 教諭


授業を通した「みんなで分かる!」「みんなが楽しい!」集団づくりを目指し、試行錯誤しています。

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