2022.05.11
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会社活動で自立をめざす!

「大人になって1番大事な力は?」と聞かれて、なんて答えますか?

沖縄県宮古島市立東小学校 教諭 五條 晶

1 大人になって1番大事な力は?

教室にいる子どもたちは得意な事や苦手な事が多様であり、課題も違いますよね。
そんな子どもたちが、1人1人課題に向かい、自ら学び、判断して行動できる「自立できる力」がついてほしいと思っています。
しかし「自立できる」ためには何が必要でしょう?
ホリエモンで有名な堀江貴文氏は自立には3本の「足」が必要だと述べています。

[自立のために必要な3本の足]
①自分に何ができるのか、何をしたいのかを行動による失敗から理解していく。
②自分のできること、したいことで助け合える仲間を見つける。
③自分ができること、したいことでファンをつくる。

この3つを実現しやすい「会社活動」という、集団活動を軸に行っていきます。

2 会社活動のシステム

「会社活動」とはいわゆる「係活動」のことで、自分の得意なことや好きなことでクラスを盛り上げることを目的とした集団活動のことです。
この会社活動を通して、クラスのメンバーを楽しませながら、また自らも楽しみながら自立していく力を養っていきます。
会社活動を始めるにあったって、意識していることがあります。

◯メンバーの人数:2人以上4人以下が好ましい。(話し合いがしやすい人数)
◯活動時間:10分など活動に制限時間を設ける。
◯振り返りをする:活動のたびに振り返りをしてから次の計画を立てる。また、月1回に「給料日」があり、1人2個のシールをクラスを盛り上げてくれたと思う会社へ投票する。そのシールの数から、自分の会社のこれからの方針を話し合う。(倒産して新しく会社を作ることも可能)

これらを意識して、会社活動を始めます。また、会社活動の流れも子どもたちに説明していきます。

この流れの中で一番大事なのは、振り返りを次の計画に活かす話合いです。
活動すれば必ず「課題」が出るので、それを振り返り、どうしたら乗り越えることができるのか作戦を話し合います。
それを分かりやすく、ポケモンのイラストを使っています。

①「計画」は「タマゴ」の段階
②「活動」は「まだ生まれたて」の段階
③「振り返り」ができてやっと1回進化
④「振り返りを次の計画に活かす」ができるとさらに進化

と、レベルに合わせて分かりやすいイラストをつけ、イメージさせます。④まで行くことへの見通しを持たせ、活動だけして終わりという会社を減らします。

こうした説明して、会社を作っていきます。
できた会社はさまざまで
「お悩み解決会社」「ダンス会社」「クイズ会社」「ゲーム会社」などたくさんあります。

3 問題発生は自立のチャンス!?

写真1 課題を活かした計画

会社活動をすすめていくと必ず問題が発生します。
それを、課題と捉え乗り越えていくことで、自立する力を養っていきます。
学級では、会社活動の時間を10分間限定で行っています。この10分は、掃除をした後のお昼休みまでのスキマ時間でやっています。
時間がなければ、学活の時間や朝の会や帰りの会の10分を利用して行います。
この10分間限定が子どもたちの様々な課題につながっていくのです……

〈課題発見!?〉
「時間内に終わらない……」
活動において最初にぶつかる壁は時間です。

『誰が、ルール説明する?』
『あれ、この後どうするんだった?』
活動中に変な空白が生まれて時間がかかってしまいます。
気づいたら10分以上かかってしまいます。ここで、課題を見付け次の計画に活かした会社が写真1の計画です。

この会社の子どもたちの解決方法は、「先に役割を決めておく」ことであったのです。誰が何をするのか計画の段階で決めておくことで活動がスムーズになります。
また、自分の役割がはっきりしていることで、その役割を練習する姿も見られます。例えば、ルールの説明をすぐ言えるように練習したり、司会を担当してその活動の流れをメモしておいたりしていました。自分の課題、会社の課題を見付け、どうするべきか判断し行動する姿が見られます。

4 会社活動で培われた力を教科で活かす子

写真2 バトンの渡し方

会社活動で毎回

①「計画」
②「活動」→課題発見
③「振り返り」→課題の乗り越え方を考える

を繰り返していくことで、学習サイクルも身についてきます。

体育の授業を例に話します。

「リレー」の授業でタイムを計っていたときに、バトンパスで悩んでいる子がいました。
その子は授業が終わった後、自由帳にバトンパスでの自分の課題を書いていました。
そこで、書き込みやすいように、リレーのイラストを渡しました。
すると、家で宿題のノートに写真2のようにかいてきたのです。
赤は課題、青はタイムをよくするために自分が意識することだそうです。
次の体育の授業から、この子はノートを見ながら練習し、タイムを縮めていました。

まさに、自ら課題を見付け、自ら判断し行動する自立の力が身についています。
学級で当たり前のように行われている「係活動」ですが、「何のために行うか。どんな力をつけてほしいか」考えることも大事だと思います。
他にも、他教科と会社活動を掛け合わせた実践もあるのでいつの機会にか、記事にできたらなあと思います。

五條 晶(ごじょう あきら)

沖縄県宮古島市立東小学校 教諭


授業を通した「みんなで分かる!」「みんなが楽しい!」集団づくりを目指し、試行錯誤しています。

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