2021.02.15
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社会的な見方・考え方って何だろう?

今年度から実施されている新学習指導要領。「見方・考え方」の言葉が多く出てきます。そもそもどのような意味なのか......見方や考え方を働かせるとはどういうことなのか......授業をベースに考えてみます。

陸中海岸青少年の家 社会教育主事 村上 稔

学習指導要領

学習指導要領には、次のように記載されています。

〇社会的な見方・考え方
社会的事象の意味や意義、特色や相互の関連を考えたり、社会にみられる課題を把握して、その解決に向けて社会への関わり方を選択・判断したりする際の視点や方法(考え方)のこと。

〇社会的事象の見方・考え方
位置や空間的な広がり、時期や時間の経過、事象や人々の相互の関係などに着目して(視点)、社会的事象をとらえ、比較・分類したり総合したり、地域の人々や国民の生活と関連付けたりすること(方法)。

児童が追究をしている時には、何らかの視点に即して資料等から情報を読み取っている。学習指導要領の解説では、以下のような例が示されている。

★視点と発問の例

①位置や空間的な広がりに関する視点

地理的位置、分布、地形、環境、気候、範囲、地域構成、自然条件

①社会的事象の特色や相互の関連、意味を多角的に考える発問の例

・社会的条件、土地利用など 
・どのように広がっているのだろう。
・なぜ、この地域ごとに広がっているのだろう。
・地域ごとの気候は、どのような自然条件によってどのように異なるのだろう。

②時期や時間の経過に関する視点

時代、起源、由来、背景、変化 発展、継承、維持、向上、計画 持続可能性 など

②社会的事象の特色や相互の関連、意味を多角的に考える発問の例

・いつ、どんな理由で始まったのだろう。
・どのように変わったのだろう。
・なぜ変わらずに続いたのだろう。

③事象や人々の相互関係に関する視点

工夫、努力、願い、業績、働き、つながり、関わり、仕組み、協力、連携、対策・事業、役割、影響、多様性と共生(共に生きる)など

③社会的事象の特色や相互の関連、意味を多角的に考える発問の例

・どのような工夫や努力があるのだろう。
・どのようなつながりがあるのだろう。
・なぜ、○○と〇〇の協力が必要なのだろう。

③社会にみられる課題について、社会への関わり方を選択・判断するための発問の例

・どのように続けていくことがよいのだろう。
・共に生きていくうえで何が大切なのだろう。

つまり、極論ではあるが、上記の視点や発問等で学習問題を追究していけばよいのである。
以上を踏まえて、日常の授業で気を付けていたのは以下の3点である。

〇どんな問いで何に着目させるのか、社会的事象の様子や仕組みなどを捉えるように授業を組み立てる。

〇自分なりに解釈した社会的事象が、他者との対話を通して違う解釈に出合い、自分の見方・考え方が広がったり深まったりできるようにする。

〇予想と比較したり学習過程を振り返ったりすること通して、自己の見方・考え方の変化に気付き、その広がりや深まりを記述することで自己の学びを感じられるようにする。

★実践例 6年「平和で豊かな暮らしを目指して」

(1)実践の概要

戦後の復興の歩みについて、日中戦争や第二次世界大戦、日本国憲法の制定、オリンピックの開催などを手掛かりに、戦後の我が国は民主的な国家として出発し、国民生活が向上し、国際社会の中で重要な役割を果たしてきたことを理解させる。

高度経済成長や戦後の復興の歩みについて調べることを通して、我が国が民主的な国家として出発したことや国民の不断の努力によって生活も向上したことを理解させる。

(2)社会的な見方・考え方を働かせる問いの設定

●時期や時間の経過

・単元の第1時。戦争が終わった直後の新宿の写真、東京オリンピックが開かれたころの新宿の写真、現在の新宿の写真を提示した。

教諭「まちは、どのように変化していますか」

児童「人の行き来が多くなっている」「建物がたくさんある。どれにも共通している建物もある」「自動車や交通が整備されてきている」

教諭「(戦後の年表を提示)なぜ、このように変わったのでしょうか」

児童「世の中が平和になり、どんどん店が拡大して大きな建物になったのではないか」「現在では、人々が買い物できる余裕があるので、経済が発展したのだと思う」「経済の発展の理由には、1964年に東京オリンピックの開催があると思う。オリンピックを開催したことで、国内のあらゆることを便利にしたのではないかと思う」

●時期や時間の経過

・第5時。戦前と戦後の国立競技場の様子の比較から、

教諭「これは、何でしょう」

児童「学生たちが戦争に向かうところです」「みんな真剣な表情をしています」

教諭「同じ場所の約20年後を見せます」

児童「えー!」「これってオリンピックですよね…?」

(3)対話的な学習活動の工夫

●事象や人々の相互関係

・第5時の東京オリンピック開催のよさについて考える場面。(資料で自力解決をした後)

教諭「オリンピックを開催したことで、どんなよさがありましたか」

児童「日本が元気になるよさがあります」「戦争で負けて元気がない国民が元気になります」「新幹線や高速道路ができて、交通が便利になりました」

教諭「オリンピック開催のよさを一つ選ぶとしたら、どれを選びますか」

児童「平和になったことを世界へ伝えることです。日本は原爆が落とされた国なので、世界に平和の大切さを伝えることができると思います」「経済の成長です。経済が成長することで、国民の生活が豊かになったからです。生活が豊かにならないと、国民も日本も元気にはならない」

 ●見方・考え方の自覚

学習のふり返りには、予想からの変容や友達との学び合いで「なるほど」と思ったことを視点として記述する。

※児童の振り返り

・オリンピックを開催したよさは、予想では国民が元気になったことだと考えていたけど、友達の話を聞いて、他の国との関係もよくなることを知りました。

・予想では、経済の成長と考えていました。だけど、交通にたくさんのお金がたくさんかかっていることに驚き、交通を整備することで国民の生活も豊かになっていくよさがあることを考えました。オリンピックを開くことで、国民が元気になれること、世界中へ平和のアピールができることが一番大切ではないかと考えました。

・○○さんの意見で、世界で唯一原爆が落とされた日本でオリンピックを行うことに大きな意味がある考えに納得しました。日本だからこそできた平和へのアピールだったと思います。

まだまだ勉強中の身です。みなさまの実践等から多くを学んでいきたいと思います。

村上 稔(むらかみ みのる)

陸中海岸青少年の家 社会教育主事


前任校では、社会科を専門として授業実践を積み重ねてきました。2020年4月から学校現場を離れ、社会教育主事として勤務しています。社会科の授業研究や社会教育全般について発信していきたいと考えています。

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