2020.12.01
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教育実習を終えて

教育実習実施後に、教育実習生に対して「社会の変化と教員の役割」というテーマで話をする機会がありましたので、本日はその内容について書きたいと思います。

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任 石丸 貴史

勤務校では、例年であれば6月に実施する教育実習を10月下旬から実施しました。実施後に、教育実習生に対して「社会の変化と教員の役割」というテーマで話をする機会がありましたので、本日はその内容について書きたいと思います。

ランドセルは何色か?

「まずは皆さんに質問です。小学校のとき使っていたランドセルは何色ですか?」

自分自身は男子が黒で女子が赤という、大量生産・大量消費の時代だったので、ランドセルは黒でした。教育実習を受ける大学4年生の学年は、色とりどりのランドセルが出始めた入口あたりの世代と思いながら聞きましたが、多くは男子が黒で女子が赤という、大量生産・大量消費の時代の出口あたりの世代でした。ただし、最近のランドセルが色とりどりであることや細かい点を様々カスタマイズできることは、多くの学生が知っていました。

このことは、社会の変化として現代のビジネスの場が、大量生産・大量消費から個別のモノやサービスを提供する時代に変化している象徴だと考えています。そのような状況が教員の役割に与える影響として「学習の個別最適化」が挙げられると考えています。良い悪いは別として、教員の役割も大量生産・大量消費から個別のモノやサービスを提供する時代に変化しています。

カレーの具に例えると何か?

「次の質問です。ある大学の入学試験における面接試験で実際に問われた質問です。『あなたをカレーの具に例えると何ですか?それはなぜですか?』に、皆さんならどう答えますか?」

もちろん、『なぜですか?』がポイントであって、何の具であるかが問題ではないことは言うまでもありません。出所は高校3年生が答える大学入試の問題なので、大学4年生である教育実習生には条件を付けて短い時間で答えさせました。条件は『2文で、接続詞として「なぜならば」を用いて、80字以内で』です。この条件設定について教えてくださった先生がいらっしゃるのですが、そのことは後日書きたいと思います。
大学4年生の学年は、彼らが高校2年生のときに、私自身が「アクティブ・ラーニング」という言葉と出会い、それまでとは異なる視点で授業改善に取り組み始めた学年です。それだけが原因ではないと思いますが、条件を守りつつきっちり80字で表現していたものも多くあり、驚くほどよくかけていました。

このことは、社会の変化として求められる資質・能力が平均的でバランスよく伸ばしていく時代から、個性も出していく時代に変化していることの表れと考えています。加えて、自己をどのように説明するのか表現力も問われています。ただし、教員として育成すべき資質・能力は、学校教育法にある「学力の三要素」であることは忘れてはならないことです。

なお、例えで取り上げられている具は半数弱がジャガイモで、次いでニンジン・タマネギが多数を占めていました。若干名、福神漬けを取り上げる学生もいました(笑)

社会の変化として求められる資質・能力が平均的でバランスよく伸ばしていく時代から、個性も出していく時代に変化していることを踏まえた教員の役割は、「Teacher」だけではなく、以前この場にも書いた「Teacher」・「Facilitator」・「Leader」・「Manager」を担っていることも大切なことです。

ここから考えられる現代社会におけるキャリア形成として、終身雇用に代表されるひとつの技術で一生食べていく時代から、軸を持ち常に変化していく時代になっていると考えられます。教員として、生徒を教え導き知識・技能の育成に寄与することはもちろん、支援・統率・管理運営しながら、思考力・判断力・表現力および主体性の育成にも寄与していかなければなりません。教員としての軸はしっかり持ちながら、時代の変化に合わせて変化していく部分にも対応しなければなりません。

これからの教員像

以上のような、現代のビジネスシーンの変化、育成すべき資質・能力、キャリア形成を踏まえて、これからの教員像について教育実習を終えた学生と一緒に、次の三つの観点にそって考えました。

①個人としてどのような教員であるべきか?
②教員間の連携はどうあるべきか?
③学校外に向けてどのような視点を持つべきか?

教育実習を終えたばかりの学生に、事後指導として話をしていたはずが、私の方が学ぶべき点を多く発見できる有意義な時間になりました。次回は、このこれからの教員像について書きたいと思います。

石丸 貴史(いしまる たかふみ)

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
高校での新学習指導要領導入を控えて、「カリキュラムマネジメント」・「I C T活用」を中心に、日々の授業改善に取り組んでいます。大学を卒業後すぐに会社員として塾・予備校業界で勤務をした経験も活かしながら、社会で活躍できる生徒を育てるべくどのような資質・能力を育成すれば良いかを試行錯誤しています。

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