2020.05.20
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ICTとは?

前回は「授業で育成する資質・能力」のタイトルで、教科担任として平常授業時に授業で育成する資質・能力として、担当生徒に説明する内容について書きました。教科担任の視点から学校全体のカリキュラム・マネジメントにどのようにつなげていくかは次回以降に書きたいと思います。
今回は、新型コロナウイルス感染症拡大防止に関連して大きく着目されている、私自身のもう一つのテーマである「ICT活用」について書きたいと思います。

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任 石丸 貴史

そもそも「ICT」とは何でしょう?

ICTとはインターネットなどの情報通信技術を利用した産業やサービスなどの総称となっているので、カバーする範囲が広すぎて漠然としたものになっています。本来は「Information and Communication Technology」の略です。従って、「情報」と「コミュニケーション」の「(新しい)技術」と解釈しています。
以前は、「IT」と呼んでいた時代がありました。その時代と比べて「C」が含まれたことに着目しています。

それでは、教育現場におけるICTとは何でしょうか?

私は、以下のように考えています。
学校では、様々な「情報」が提供されます。教科の知識・技能はもちろん大切な「情報」です。学校行事に関することやキャリア教育、グローバル教育を推進していくうえでのイベント参加促進などの「情報」、社会に出ていくうえで必要な考えてほしいことなどの生徒指導に関することも大切な「情報」です。

また、学校は様々な形での「コミュニケーション」の場でもあります。日常の生徒間の会話はもちろん、教員が行うホームルームや全校集会・学年集会も(場面によっては一方的な情報伝達の様相が強いかもしれませんが)、「コミュニケーション」の場です。何より授業が「主体的・対話的で深い学び」を求められているように、生徒自らが主体的に、教員やクラスメイト間の対話はもちろん、教科書を中心とする書物などから読み取れることを通した先人との対話を含めて、広義での「コミュニケーション」を行う場です。

これら「情報」と「コミュニケーション」の「技術」には、教員が教壇に立ち口頭で伝達する「技術」はもちろん、板書する「技術」、プリントにして配布する「技術」など我々は様々な「技術」を持っています。
このように考えると、いわゆる世間で言われているICTとは異なりますが、我々教員はICTを既に活用していると考えます。ここに、世間で言われているICTの要素を加えていくことが教育現場におけるICT活用だと考えています。
これまで教員が行ってきた「情報」と「コミュニケーション」の「技術」にコンピュータも活用した「新しい技術」が加わるのです。くどいようですが、取って代わるのではなく、加わるのです。

教育現場におけるICT活用は何を、どのようにやっていくのでしょうか?

教科の知識・技能である「情報」は、授業の前に事前に確認しておくことが基本になるでしょう。行事やイベントの案内もデータ配信を行い全員に瞬時に届けることができます。内容確認のチェックも参加申込も容易に行うことができるでしょう。社会に出ていくうえで必要になる考えてほしいことなどの生徒指導に関することも「情報」を伝えるだけならあっという間です。

日常の生徒間の「コミュニケーション」はこれまでと同様に大切ですが、対面だけが手段ではないでしょう。LINEに限らずチャットやメッセージ機能を持つアプリケーションは山ほどあります。それらを「コミュニケーション」手段として使いこなしていくことが求められます。教員はその中で日常的にリテラシー教育を求められるのではないでしょうか。教員が主体となって行うホームルームや全校集会・学年集会も、一方的な情報伝達の場ではなくなるでしょう。情報提供は事前に行ったうえで、どのように考えて行動に移すか思考力・判断力・表現力をより一層問う場での「コミュニケーション」に変化するはずです。授業も、何を問い、どんな課題を課し、より一層の「主体的・対話的で深い学び」にしていくのか、そのための「コミュニケーション」を行う場にしていかなければいけません。

これまで培ってきた教員の「情報」と「コミュニケーション」の「技術」は、絶対に無駄になりません。ただし、これまでの「技術」のアップデートだけではなく、コンピュータを活用した「新しい技術」を積極的に取り入れていく姿勢は必要になります。

子どもたちが、コンピュータをはじめとするICT機器の操作を身に付けることは、容易なことだと思います。機器さえ与えれば直感的に操作できるでしょう。その操作技術で大人が常に先を行くことは不可能です。相手が生徒であったとしても、操作だけなら謙虚に教えてもらえば良いのだと思います。

つまるところ、ICT機器が苦手な教員は、これまでと違う新しい形の「コミュニケーション」も取り入れることができるのか、そのようなマインドセットを作れるのかが問われているのだと思います。逆にICT機器が得意な教員は、「コミュニケーション」の本質は対機械の操作ではなく人と人のやり取りにあることを忘れずに、機械の向こう側にいる相手にどのように関わっていくのか、関与する力が問われているのだと思います。

石丸 貴史(いしまる たかふみ)

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
高校での新学習指導要領導入を控えて、「カリキュラムマネジメント」・「I C T活用」を中心に、日々の授業改善に取り組んでいます。大学を卒業後すぐに会社員として塾・予備校業界で勤務をした経験も活かしながら、社会で活躍できる生徒を育てるべくどのような資質・能力を育成すれば良いかを試行錯誤しています。

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