2020.05.11
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YouTuberになろう!授業動画配信にチャレンジ

子どもたちは、家にこもっていても教師や学級の仲間とつながりたいのではないでしょうか。少しでも子どもとつながり、遠隔授業などの方法で子どもの学びを止めないようにしたいと思うのです。ICT環境の整備など課題はたくさんありますが、ピンチをチャンスに変えるしかない。今は、これからの新しい教育に子どもと共にチャレンジするチャンスだと思うのです。

静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭 常名 剛司

見るだけだったYouTube

これまで授業で使う教材を探したり、疲れて帰って深夜に1人でボケっと動画を眺めてリフレッシュしたりするために見ていたYouTube。

最近の子どもたちの「将来の夢」ランキングに必ずと言っていいほど登場するようになっていたYouTuber。

確かに面白い動画や知りたい情報がたくさんあるけれど、視聴者を飽きさせないように,毎日のように配信される動画を作るには豊富なアイデアが必要で、「すぐにネタが尽きてしまいそうだなあ」なんて、人ごとのように思っていました。

すでにある授業動画を活用しよう!

もちろん、子どもたちを笑顔にするために、少しでも子どもたちの学習の手助けをするために、全国の先生方や教育委員会,教育に携わる人たちがすでに授業動画を作ってくれています。

「NHK for school」をはじめとして、素晴らしい授業動画や教材はすでにたくさんあるので、それらを有効に活用しない手はないですし、授業動画を作成する時には、それらは大いに参考になるはずです。

YouTubeで授業動画を配信しよう!

ところが、このような長期間にわたる休校となれば、子どもたちのためにオンライン授業をしてあげたいと思うものです。しかし、zoom(ズーム)やMicrosoftのTeams(チームズ)を使って双方向のライブ授業をいきなり行うには、インターネット環境や端末の整備などが必要で、さすがにハードルが高い!だから、まずは学校単位でYouTube上にチャンネルを作って、5分から10分程度の授業動画を週に1〜2回配信していくことから始めてはどうでしょうか。

目からウロコの授業動画を作る時のコツ

幸いにも教師には、授業動画を作る上で、「あ〜。今日の動画の内容は何にしよっかなあ?もうネタがないなあ」ということはありません。何せ学習内容があるのですから、授業動画の配信をしたい内容に困ることはありません。しかし、毎日、授業をしていたので、ライブ授業はお手の物でも、それをICTを使って効果的に伝える手法やアクティブラーニングの正反対をいくような完全に一方通行の授業動画では、やはり勝手が違うでしょう。初めからうまくいくはずはありません。ただ、授業作りの本質はオフライン授業もオンライン授業も授業動画も同じなのではないかと思いますよ!

①動画に入れる内容を考える

子どもが一方的に視聴しているだけの動画では、親や教師の援助なしでは、集中できても5分から20分程度ではないでしょうか。教師は、その動画を作るのに、その何倍もの時間をかけています。週に3本程度の動画を配信するとして,それと登校日(登校日がない学校もありますよね)での授業だけで、学校で学ぶべき学習内容のすべてを網羅できる訳ではありません。しかも、登校日に自主的に欠席する子もいるのですから。だから、動画にする学習内容は、1単元に1本程度が限度ではないでしょうか。しかし、当たり前ですが、1単元分の学習内容の全てを完璧に5分に収めようと思うのは無理でしょうし、たとえ詰め込めたとしても、子どもにとっては何の面白味もない学習になってしまいます。だから、単元の導入部分や始めの割り算の考え方と初歩の解き方だけを動画にするなど、単元の30%から70%の内容で良いと思います。

②授業後の課題と一体的に考える

自作の動画だけでは、単元の学習内容のすべてを網羅することはできません。動画で解き方を視聴したあとの続きの練習問題は子どもが家庭学習で解けばいいでしょう。ですから、動画とその後の課題を一体的に考えて、できるだけ学習内容に穴がなくなるようにしていくのが良いと思います。その際に、すでに素晴らしい動画が多数投稿されているNHK for schoolも一体的に取り込むと良いと思います。よく工夫されていて、子どもが学習意欲を高める工夫がされているなと感じます。

③動画の構成をユニット型で考える

国語や算数だけでなく、他の教科も授業動画に載せたいなあと思いますよね。例えば、毎回の動画の最初に、4月に理科の学習で植えた植物の成長具合を載せるのもいいかなと思います。1つの動画で1つの教科の学習内容にしなければいけないとは考えずに、柔軟に動画作りをしていくと良いかと思います。先日、海外にある日本人学校のzoomを使ったオンライン模擬授業に参加しました。その中で、5年生の算数の授業を15分ほど双方向なライブ授業をした後に、教師が「勉強して肩が凝ったね。ちょっと体を動かそう!」と言って、体育科の学習につながる即席ダンスレッスンが始まりました。そのように、5分や20分の授業動画も教科横断的な視点をもって、いくつかのユニットを組み合わせるようなユニット型で構成するとよいと考えます。

④使用メディアを考える

授業動画の先行事例を見てみると、学校の先生たちが作っている動画は、だいたいがPower PointKeynoteなどのプレゼンソフトを使っているか、ホワイトボードなどの前で通常の授業スタイルをビデオ撮影しているかというパターンが多いと思います。私は、せっかくなので、NHK for schoolのマネをして、ビデオ撮影を使ったドラマ仕立てで小3の社会と理科の動画を作成してみました。プレゼンソフトは、アニメーションなどを作り込んでおけるので、授業の構想はじっくりと練れると思いますが、撮り直しなどの編集がしづらいのではないかと思います。ビデオ撮影は、簡単に編集できるので本当はおすすめです。何回でも、その場ですぐに取り直せますからね。
長くなってしまったので、今回はここまでにしたいと思います。休校が続くようなら、続きを書きたいと思います。早くこの状況が好転し、人々の笑顔が見られますように。次回もよろしくお願い致します。

常名 剛司(じょうな つよし)

静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭
小学校英語教育の研究を担当しています。自律的に取り組む本物の文脈の中で,子どもの資質・能力を育む小学校英語教育のあり方について考えていきます。

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