2020.02.03
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小学校英語のゲーム性のある活動で子どもを飽きさせない!

授業の中でゲーム性の高い活動を組み込みやすいのは,小学校英語の特徴ですよね。小学校英語ではゲームや動画,歌,Small Talkなどの多様な活動を組み合わせて,子どもを飽きさせない工夫が必要です。

静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭 常名 剛司

前回の話で「授業を本物のコミュニケーションの場にする!」と息巻いていた私も,小学校英語の授業の中でゲーム的な活動を行っています。むしろ,ゲーム性をもたせた活動はかなり頻繁に行っていると言っていいかもしれません。今回は,そのうちのいくつかを紹介します。やっぱり気楽に楽しみながら学べる活動もなくっちゃいけませんよね!なにせ相手は小学生なんですから。

よくある定番のゲームをアレンジした【ミッシングゲーム】

ミッシングゲームは,黒板に新出語彙の絵カードを貼っておき,子どもたちに目を伏せている間に,カードを隠して,その隠したカードを当てさせるゲームです。新しい単元に入った時に,新出語彙に慣れ親しませるためによくやります。学級全体で確認しながら少しずつできるので,英語に苦手意識をもっている子どもも抵抗感なく楽しめる活動です。最初は,黒板に単語カードを貼り付けてやるのですが……。
ミッシングゲームをやるたびに少しずつ難しくしていきます!

①隠すカードを複数にする

隠すカードが複数になれば,1度のゲームでたくさんの子どもが活躍できます。どんどん隠して,最後は全部のカードがなくなってしまえば,1つしか単語を覚えていない子どもでも意気揚々と手を挙げてきます。

②カードの貼る場所を変える

子どもは,貼ってあるカードの位置と絵を一緒にして覚えていることが多いので,場所が変わると混乱して難易度がアップ!カードが整然と並んでいるよりも,雑然と貼ってある方が分かりづらいものです。子どもの反応を見ながら,少しずつ貼る場所を変えるといいですよね。

③関係のないカードを新たに貼って混乱させる

ミッシングゲームは,カードが隠されてなくなっていくというルールなのですが,子どもが伏せている間に,なぜか関係のないカードが増えているというアレンジです。だいたい学習と関係ないようなキャラクターや有名人の写真などを混ぜてしまいますが,意表をついた展開に子どもたちの意欲は3倍増しに!いつも予定調和の学習では面白くありませんし,先の予測できない社会で生きていけません。意外性のあるアレンジで楽しみながら子どもを鍛えましょう!
しかも,このアレンジは,かつて私が日本人学校に勤務していた時に,日本から視察でいらっしゃった文部科学省の先生が教えてくれたアレンジ方法です!サバンナの中にいる動物をミッシングゲームのように探す私の小学校英語の授業を見て,「草原に隠れているのが,『どうせ動物でしょう!』と子どもは思うから,あえてそこはウルトラマンを隠しておいて,遊びの部分があったら面白かったのに」と言われました。当時の生真面目な私は,そんなにふざけちゃってもいいんだと,新鮮な驚きを覚えました。確かに子どもの予測通りの授業では面白くないし,子どもの思考力も育ちません。

前置詞を使った表現を使えるようになる【Where is the treasure?ゲーム】

ちょうどWe Can!1 Unit7の「Where is the treasure?」の学習で使えます。まずは,学級全体でデモンストレーションとして教師と代表の子どもでゲームをします。その後は,各グループでゲームをします。

①ピカチュウを探せ!ゲーム

私が尊敬するTM先生に教えてもらったゲームを少しアレンジしてみました。前置詞表現を使いながら,ニセピカチュウの中から本物のピカチュウを探すゲームです。
まず百均で売っている小さな箱を用意します。そして,ニセピカチュウの絵が描かれたカードを4枚と本物のピカチュウの絵が描かれたカードを1枚用意します。それらのカードを裏返しにして,箱の中(in),上(on),近く(near),下(under),後ろ(behind)に置きます。以下はゲームの流れです。
教師は,「Where is Pikachu?」と子どもに問い掛けます。
子どもは,それに対して前置詞の対象となるカードを指差して,「It’s in the box.」と言って,教師にカードを取ってもらいます。裏返しのカードが表向きになってニセピカチュウが出てくると,「しまったー!」と言って,悔しがります。次の順番の子どもが「きっと箱の上に乗っているカードだな!It’s on the box!」などと本物のピカチュウを探して答えます。しかし,出てくるのは見るだけで笑えてしまうニセモノのピカチュウばかり。「うわー!またかー!」と言いながら,子どもたちは,楽しみながら前置詞表現に慣れ親しんでいきます。各グループに道具を用意しておけば,学級全員が楽しみながら表現を定着させることができます。

②ドラえもんを探せ!ゲーム

①のゲームをさらにアレンジしたゲームです。①のゲームでは,せっかくカードや箱を準備しても,1番目にいきなり正解のカードを見つける子がいて,表現を何度も使わせられないことがあったので,次のようにルールを変更しました。
場の設定やルールはほぼ同じなのですが,6枚のカードをドラえもんファミリーにして,それぞれに配点を変えるのです。ドラえもん6点,しずかちゃん5点,……ジャイアン-1点などのように,配点しておくと,1回のゲーム設定でグループの全員が楽しめて,すべての表現を使わせることができます。そのゲームを2~3回繰り返して,合計点で競えば楽しいですよね。
学校というところをいつもみんなが楽しめる場所にしたいなと思っています。どうせ学校にくるのだし,授業をするのなら楽しい方がいいに決まっています。でも,この「楽しい」というのは意外と難しい。「楽しい」という漢字は「楽」(らく)とも読みます。でも,「楽しい」というのは「楽」をしていては「楽しい」にはならないですよね。努力をするから「楽しい」という感覚を味わえるのではないかと思います。ただ単に努力のない「楽しい」は長続きしません。ゲーム的な活動も子どもたちがいつまでも「楽しい」と感じられるように,教師のアレンジという努力があるといいですよね。
次回も英語にまつわる身近な話題を提供していきたいと思います。よろしくお願いします。

常名 剛司(じょうな つよし)

静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭
小学校英語教育の研究を担当しています。自律的に取り組む本物の文脈の中で,子どもの資質・能力を育む小学校英語教育のあり方について考えていきます。

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