2020.07.22
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密にならずに学べるwithコロナ対応の英語絵本の読み聞かせのコツ(最終編)

英語の絵本の読み聞かせでは、だいたい読み手の近くに密集してお話を聞くことが多いはずです。しかし、withコロナではそういったこともできません。そんな時にはICTを効果的に活用したいものです。

静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭 常名 剛司

前回までにwithコロナ対応の英語絵本の読み聞かせで5つのコツのうちの3つをお伝えしてきました。残りの2つのコツを今回はお伝えして、完結としたいと思います。

コツ④ 1冊を使い回す

学校には英語絵本がそうそうたくさんある訳ではありません。週に1時間の英語の授業でも年間では35回です。35回の授業で毎回絵本を読めるほど、子どもの発達段階にあった本を見つけるのは大変です。そこで、1冊の本を複数回繰り返して読むことをお勧めします。

(1)1回目は楽しく読む

ストーリータイムで英語絵本の読み聞かせをする時に、「この英語の絵本を使って、子どもたちの英語の技能をすごく高めてやろう」などと欲張ったことは考えずに、まずは絵本のお話を子どもが楽しむことが大切です。子どもがお話の世界にいかにして浸れるか。子どもがお話の世界に入れるように、絵本に出てくる英語を目の前の子どもでも理解できるようにパラフレーズしたり、簡単な英語で細くしたりするといいです。そして、教師自身がそのお話のよさを理解して、お話を読むことを楽しみたいものです。教師が楽しそうに読んでいると、子どもはつられて楽しくなってしまうものです。子どもも教師もお話の世界を楽しみましょう!

(2)役割演技をしながら読む

絵本には『Yo-Yes』という2人の少年の心温まるストーリーの絵本のように、登場人物が2人で対話しているシーンを持つ本はたくさんあります。そこで、教師が一人二役で読んでもいいし、HRTとALTが役割音読をしてもいいですよね。さらに、発展バージョンでは、教師と子ども→代表児童と代表児童→ペアで全員が読むというようにすると、子どもも主体的にストーリータイムに参加できるものです。ただ座って絵本を眺めているだけよりも、子ども自身が参加できる楽しいですよね。

コツ⑤ ICTを使って読む

withコロナ対応では、いつもの読み聞かせのように読み手の周りに子どもたちに集まらせることができません。教室内の子どもたちの机は、隣同士がくっついたいつもの形態ではなく、1つひとつが別々になっています。そのような場所で黒板の前から絵本を見せても子どもには見えません。

そこがICTの出番です。大画面テレビやプロジェクターとスクリーンがあれば、絵本の各ページをタブレット撮影しておいて、拡大して子どもに見せることができます。それなら、わざわざ読み手の近くに密集しなくても、教室の後ろの方の子どもでも見ることができます。しかも、各ページを画像保存しておくので、余計なページは自然な形で簡単にカットして子どもたちに見せることができます。

例えば、『You Choose』という変わった家や服や乗り物などの面白いイラストが見開き1ページごとにたくさん載っている絵本があるんです。表紙もカラフルで可愛いイラストが描いてあるのですが、その絵本のタイトルを子どもたちに言うと大抵「ユーチューブ!?」と言って喜ぶので、「No! No! You Choose!」とわざと繰り返してウケを狙うのは私の定番です。どうでもいい話ですけどね。

ところで、その絵本では挿絵を見せながら、「You Choose!」と問い掛けて子どもに好きなイラストを選ばせます。しかし、ページ数が多いので低学年や中学年の子どもでは、盛り上がりすぎてそれだけで1時間が終わってしまうことがあります。または似た展開が続き過ぎて飽きてしまうこともあります。そんな時に、いくつかのページをカットしておけば、子どもには気づかれずに自然に最後までお話を終えることができます。こんな裏技的な使い方もICTを使えば簡単にできます!もちろん絵本の各ページを撮影した画像の余白は、トリミングでカットしておくことも、細かいようですが、子どもをお話の世界に引き込むには大切な小ネタです。

withコロナ対応の授業でも工夫すれば、楽しくて、資質・能力を育める活動がたくさんできるはずです。みなさんと一緒にアフターコロナ対応の新しい英語授業のあり方についても考えていきたいと思います。次回もよろしくお願いいたします。

常名 剛司(じょうな つよし)

静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭
小学校英語教育の研究を担当しています。自律的に取り組む本物の文脈の中で,子どもの資質・能力を育む小学校英語教育のあり方について考えていきます。

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