英語は7割分かればいい!
時々,お家の方から「子どもが,先生が授業で話す英語が分からないようです」とのお言葉を頂きます。「いつも同じような英語しか話してないのになあ」「だいたいは分かってくれてる気がしてたのになあ」と思ってしまいますが,どうしたらよいのでしょうか。
静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭 常名 剛司
英語教師でも分からないことがよくある
本校に赴任してから,学期に一回くらいは留学生交流会を開いて,静岡大学の留学生に来てもらっています。これまでに以下のような交流会を行いました。
〈実践例〉
- 浜松のことをよく知らない外国人に,浜松のよさを伝えて話し合う。
- 静岡のことをよく知らない外国人と,静岡のよさを伝えて話し合う。
- 日本食のことをよく知らない外国人に,日本食の作り方を教えて,一緒に食する。
- 日本で起こりうる災害について話し合う。
- 南海トラフ巨大地震について話し合う。
- 浜松のユニバーサルツーリズムについて話し合う。
だいたい交流会の最後に留学生の方からコメントをもらいますが,どの留学生も多少緊張しながらも,すごく褒めてくれます。もともとわざわざ日本で勉強しようと思って外国から来ているくらいですから,日本人に対しても,子どもたちに対してもすごく優しいのです。
留学生のみなさんは,インド,インドネシア,バングラデッシュ,マレーシア,中国などの東南アジアから来ている方が多いのですが,みなさん当然のように英語を使って流暢に話されます。英語の初学者である子どもたちにも話の内容が理解できるように,簡単な英語で話して欲しいとリクエストしておくので,子どもたちもなんとなく理解できることが多いようです。
それでも,留学生からの英語でのコメントは,小学生にはなかなか理解することはできないので,私がかいつまんで通訳しています。ところが,恥ずかしながら私自身が相手の英語を理解できないことも多いのです。英語教師である私でもそうなのですから,子どもたちなら,なおさら難しいことです。
英語なら分からないのが当たり前!
英語は7割分かればいい!
曖昧さに耐える力をつける
ただ,子どもたちは初めは全てを完璧に理解しないといけないと思っているので,少しでも分からないところがあると「英語が分からない」「英語が嫌い」となってしまうことがあります。
だから教師は,「日本語だって,相手が何を言っているのか分からないことがあるんだから,英語はだいたい分かれば十分だよ!」と話をします。そのように,英語の理解の曖昧さに耐えられるようにしていきたいものです。
英語の理解の曖昧さに慣れるためには,英語絵本の読み聞かせが有効な手立てですよね。しかし,絵本の読み聞かせで,子どもがちょっと理解できていないなと思っても,安易に日本語で説明してはいけません。それでは,子どもの曖昧さに耐える力はつきません。理解できていないようならば,ジェスチャーなどで補ったり,簡単な英語に置き換えて読み直してあげたりするといいですよ。それでも理解できないのであれば,絵本の英語レベルが子どもに合っていないのかもしれません。潔く日本語で補足してもいいですよね。
いよいよ2019年も終わりですね
いろいろと考えることが多くて,ちょっと息抜きしたいなと思ったときに,みなさんはどのようにして気分転換をしていますか?私は,最近,レゴのブロックでスターウォーズのおもちゃを作っています。1つ大きな仕事が終わるたびに,おもちゃを作るのです。机の上にはすでにいくつかのおもちゃが置かれて,さながらジオラマのようです。
いい方法があったら,ぜひ教えてください。今年度も私の連載にお付き合い頂きありがとうございました。
次回も英語にまつわる身近な出来事を話題にしていきたいと思います。よろしくお願い致します。

常名 剛司(じょうな つよし)
静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭
小学校英語教育の研究を担当しています。自律的に取り組む本物の文脈の中で,子どもの資質・能力を育む小学校英語教育のあり方について考えていきます。
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