2019.06.05
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わいわいしゃべってゆっくり30分間の給食タイム

給食を食べる時間は15分。そのうちだまって食べる「もぐもぐタイム」が5分間。そんな小中学校の現状を世間が嘆いている、というウワサ。いやいや、ご心配なく。うちのクラスはわいわいしゃべりながら25〜30分かけて食べていますよ。
「どうやって?」って、えーと......。

東京都内公立学校教諭 林 真未

4時間目のチャイムとともに準備開始!

毎日時間通りに授業を終えるので、チャイム→準備開始という流れを、子どもたち全員が身体で覚えています。

授業のあいさつが終わり次第、すぐに机移動、手洗い、ランチョンマットの用意等をすませ、それぞれ配置につく、という感じ。先生も、子どもに負けずに即行動。当番が給食着を来ている間に、さっさとワゴンを教室に運び入れて準備を始め、当番が来たら交替します。

給食当番固定システム

給食当番は、昔、同僚の先生に教わった年間方式。りんご、みかん、ぶどう、いちごの4グループが月1ペースで当番になります。それぞれ1年間固定のメンバーなので、誰が当番か迷うことはありません。

役割分担も一週間固定。たとえば、おかず担当なら、月曜日にやり方を覚え、それを1週間続けます。次の1週間はまたちがう担当を同様に。メンバーが年間固定なので、1年かければ全員がすべての役割を体験できます。

+臨機応変な対応

状況によって、当番は、突然先生に役割を変更されちゃうこともあります。なんらかの理由で準備が遅れた場合には、用意が早かった当番がメインの仕事を任されたり、配膳が難しそうなおかずが出た場合は、その日だけ、配膳上手な子が採用されたり。

当番を固定しながらも、そこらへんは臨機応変。もちろん、左遷(?)されても、次の日また元の担当に戻れます。

配膳は当番が順番に

給食当番は、次の週とその次の週に続けて配膳当番になります。つまり、いつもクラスの1/4が給食当番、2/4が配膳当番。座って待つ子が1/4。配膳当番は、次々に給食を受け取り、教室内一方通行ルートで端の机からどんどん置いていくので早いです。そして、置いたらまた配膳の列へ。 先生は配膳の様子を俯瞰していて、時々とどこおっている給食当番のところへ行って加勢し、配膳渋滞を解消します。

配膳が終わる頃には「あといくつ?」「だれが先生のぶん?」という声が飛び交い、最後の当番が先生の分を運び終わったら、準備完了。

10分後には「いただきます!」

この流れで給食準備をすると、だいたい10分弱〜10数分で準備は終わります。 私の学校の給食時間は50分間なので、片付け時間を10分残しても(実際には5分で片付くので、早めに掃除を始めます)、25〜30分間の食事時間が確保できます。

30分あれば、「もぐもぐタイム」を設けなくても、給食が残ることはほとんどありません。ただし、いつまでもおしゃべりばかりで食べない子には「個別もぐもぐタイム」を発動しちゃいます。

(おまけ)その他給食の工夫あれこれ

  • 授業の課題が終わらなかった子は、自分の机にランチョンマットを敷いた後、教卓となりの予備机でそれを終わらせます。配膳時間を活用すると休み時間をつぶさずにすむのでおすすめです。
  • 子どもたちが「いただきます」をして食べ始める頃、配膳されたものを多くしたい、少なくしたいという子は自分のお皿をもって配膳台に並びます。先生が配膳台に立ち、そのおかずの人気の有無を瞬時に判断、調節します。そしてその結果、残り具合を見て「いつでもだれでも」か「食べ終わった順」か「20分後にじゃんけん」か、その日のおかわりルールが決定、発表されます。
  • 「いわしくん」(菅原たくや/文化出版局/1993年)、「給食番長」(よしながこうたく/好学社/ 2014年)を読み聞かせたり、完食のご褒美シールをあげたりして、しっかり食べるモチベーションを上げています。

まとめ〜特別なことはあまりない〜

他クラスや他学年の子が私のクラスの前を通りかかり、「早!もう食べてる!」なんて驚きの声をあげているのが聞こえると、ちょっと誇らしいキモチになります。けれど、こうしてまとめてみると、とくにユニークなアイデアはないですね……。

結局、さまざまな教師の工夫より、子どもたち一人ひとりが、自分がどうすればいいか考えて動いていることが、配膳が早く終わるいちばんの理由のような気がします。

とにかく!給食に限らず、みんなで力を合わせれば、楽しい時間をたっぷり取れる。

私の目下の悩みは、配膳係の登場が早すぎること……。 あれはどうすればいいんだろうなー。

林 真未(はやし まみ)

東京都内公立学校教諭
カナダライアソン大学認定ファミリーライフエデュケーター(家族支援職)
特定非営利活動法人手をつなご(子育て支援NPO)理事


家族(子育て)支援者と小学校教員をしています。両方の世界を知る身として、家族は学校を、学校は家族を、もっと理解しあえたらいい、と日々痛感しています。
著書『困ったらここへおいでよ。日常生活支援サポートハウスの奇跡』(東京シューレ出版)
『子どものやる気をどんどん引き出す!低学年担任のためのマジックフレーズ』(明治図書出版)
ブログ「家族支援と子育て支援」:https://flejapan.com/

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