〇1〇〇〇〇
わけのわからない記号ですね。いや記号じゃないんです。言葉が入ります。学校関係者ならピンとくるはず。そうです
・小1プロブレム
・中1ギャップ
・高1クライシス
です。心理学的視点から、人間は環境が変化すると自分らしさが発揮できず、引きこもる傾向があるとされています。校種がかわる、担任が変わる、友だちが変わる、人間関係が変わる・・・多くの変化がある「〇1」は身体的にも心理的にも大きな負担がかかる時期です。また、〇1に限らなくとも4月は子どもたちにとって、多くの「変わる」が続出します。身体的・心理的負担の大きさも想像に難くありません。身体的・心理的負担が高まれば、問題行動(行動問題)も増加していきます。そのような問題をどのようにとらえるのか。大学院での講義の中で次のような概念でとらえることを教えてもらいました。
ディスプレイ
問題行動をディスプレイという概念でとらえるという考え方です。
ディスプレイというのは、チンバンジーがけんかをせずにボス猿を決める方法だそうです。わざと粋がったり、奇声を発したり・・そのような自らを“誇示”する行為のことです。私なりに「ディスプレイでとらえる」をざっくり解釈すると「目的論的」にみようということだと感じます。もっとざっくりさせると「なぜするのか」ではなくて「なんのためにするのか」という視点で見ようってことだと思います(ざっくりなってるかな?)。
こう考えると、(子どもの)環境の変化による心理的不安を解消するためには、社会的承認欲求を満たし、自己表出場面を周囲に認められる形で満足させることが問題行動の対応策と言えます。一言でいえば「目的を満たすための予防的なアプローチをしていこう」ということだと思います。(このような目的論に立つ心理学があったかと思います。)
子どもの欲求に応じたアプローチ
講義にて次のような子どもの欲求の段階説を耳にしました。
「交流欲求→承認欲求→影響力欲求」
他者信頼感を高め、モデル像を獲得させ、対人関係スキルを磨こうとするものです。このような子どもの欲求に応じたアプローチをすることが、予防的な対応のヒントになると考えます。
交流欲求は、「仲間になりたい」という子どもたちの欲求ともいえるでしょうか。仲間になれるような関わりを意図的に作り出していくのです。ここで注意しなければならないのは、適切な状態のときに関わるということです。望ましくない時にアプローチし、交流欲求を満たしてしまうと不適切な状況によって交流欲求が満たされ、ネガティブな行動が強化されてしまいます。交流欲求を満たし上で「認められたい」という承認欲求、「人のために」や「伝えたい」といった影響力欲求を満たせるようなアプローチをしていく。
これから新年度、新学期を迎えます。交流欲求を満たすことができているか、そしてそれをベースに承認欲求を満たすことができているか。予防的なアプローチとして自身の子どもへの接し方を見直すことが大切ではないかと思う今日この頃です。最後までお読みいただきありがとうございました。
篠田 裕文(しのだ ひろふみ)
佛教大学大学院博士後期課程1年
修士課程を修了し博士課程に進学しました。修士時代に学んだこと、学校現場で実践したことを書き綴りたいと思います。
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