2019.03.11
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〝目的〟と〝志〟で振り返る教育実践(第9回〜中学生が夢や目標を達成するための4つの法則④〜)

中学生が夢を実現したり、目標を達成するための4つの法則を考えます。

練馬区立豊玉中学校 主任教諭 谷 信彦

「最低二ヶ月」とは?

さて、今回「上達の法則」の最終回です。
いくら夢や目標をもっても、それを実現させるためのスキルや心構えがないと前には進めないというのが持論です。できるようになった経験や、正しい努力をすれば上達することを身を持って感じることが大切です。その上達の4原則とは?

<上達の4法則>

①誰にでも才能はある
②得意分野1つを磨く
③毎日5分を積み重ねる
④最低二ヶ月
今回は、4つの法則のうち、④について書きたいと思います。

「最低二ヶ月」

前回、得意分野1つを磨くための方法として、「毎日5分を積み重ねる」ことの大切さについて書きました。たった5分でも毎日積み重ねていけば、いつの間にか大きな力になっているということです。

「小さな行動を繰り返すと人は変われる」

1日5分をやり続けられた人が何かを成し遂げる事ができる。では、毎日の小さな取組をどれくらいの期間続ければ習慣化されるのでしょうか。これについては、様々な意見があります。もちろん1ヶ月で習慣化されるという意見もあれば、半年は続けなければいけないという見方もあります。磨きたい事柄の規模にもよります。
ただ、これまでの経験からすると、これで完全に習慣化されたと自信をもって言えるようになるには「二ヶ月」が必要だろうと私は考えます。二ヶ月という数字に、具体的な根拠はありませんが、一ヶ月だとそれなりに気合を入れれば続けられます。ですが、だいたいそこで満足してしまい、その後が失速してしまうというケースが多々見られます。一ヶ月頑張った自分を褒めすぎてしまい、甘えさせてしまうという人間のある種の弱さが見え隠れします。そこを踏ん張って、もう一ヶ月を頑張ってみる。そこまで出来て初めて、頑張ってきた自分を褒めてみてもいいかもしれません。続けられたという自信とともに、続けてきたことでできるようになったことが増えていることに気付くはずです。

この「最低二ヶ月」の法則は、色々な場面で活用できます。是非、生徒が、そして自分自身がチャレンジできる機会をつくってみてはいかがでしょうか。

「やり続けること」が最大の近道

これまで4回にわたって、上達の法則について持論を述べてきました。どれも不可欠な要素ですが、その核になるポイントは、やはり「やり続ける」ことではないでしょうか。「そんなこと分かっているよ!」と思うでしょう。生徒たちも、続けることの大切さは分かっているし、続けられる強さをもちたいと思っています。我々大人もそうですよね。

でも、同時に続けることがいかに難しいかもわかっています。上達や成功に近道はないことも知っています。人間は弱い生き物ですから、誘惑に負けたり、気持ちが折れたりして続けることに多大なエネルギーを消費します。

世の中には、「短期間で、楽して成果を出せる」を売りにした商品や広告に溢れています。それだけ、苦労せずに何かを手に入れたいと思っている人が多い証拠でしょう。ですが、やり続けること以外に道はないことにそろそろ気付かないといけません。

先日、部活動で1年生のある生徒が私にこんな質問をしてきました。

「ディフェンスが上手くなるためにはどうすればいいですか?」

私はこう答えました。

「1年後も今と同じモチベーションで練習に取り組むことができていれば、必ず上手くなっているよ」

1年生の頃は、勉強にしても部活動にしても比較的高いモチベーションで取り組む生徒が多いです。ですが、「中だるみの2年生」と言われるように、中学2年になると、学習への意欲が低下したり、部活動でも練習に手を抜き出したり、足が遠のいたりと、モチベーションを維持することが難しくなる時期でもあります。

人間ですから、3年間張り詰めた気持ちで過ごし続けるのは確かにしんどいので、多少のバランスは必要かもしれませんが。

私は、自分の仕事においても、生徒に対しても「やり続ける」ということをテーマにしています。今回のこのブログも、正直投稿するのが大変でした。ですが、ラスト1回を残して、ここまでやり続けることができました。この半年間での私にとっての成長がここにあると思っています。

私も弱い人間の一人です。あえて自分を追い込んだり、また人に助けてもらったりしながら、今の仕事も続けてきました。

これからも、「これは!」と直感的に思ったことにはチャレンジし、続けていくことを続けたいと思っています。続ける意味を見いだせなくなった時は、無理をして続ける必要はありません。自分が信じたことをやり続けること。これが、上達の最大の法則です。

谷 信彦(たに のぶひこ)

練馬区立豊玉中学校 主任教諭
「何のために?」をキーワードに、教育の本質を求めて日々現場でもがいています。

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