2018.12.20
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保育者養成校 ~音楽、ピアノ~

かつて、保育者を目指す場合、養成校に入る前からピアノを習いにいくことは当たり前のことであった。しかし今の時代、養成校に入学して初めてピアノに触れる学生が増えている。
今では保育現場でも、ピアノが弾けることよりも、子どもと関われる人材を求めている。

東京経営短期大学こども教育学科 専任講師 岸 久美子

大きくなったら…何になる?

私の専門は音楽、ピアノです。
幼稚園に通っていた頃「大きくなったら幼稚園の先生なりたい」と夢を持っていました。そのため、小学校に入学してすぐにピアノを習い始めました。
私が子どもの頃は、「ピアノが弾けないと保育者になれない」「保育者を目指すなら、まずピアノを習う」という時代でした。

ところが、高校に入って進路決定の時に、思いつきか、気まぐれか、血迷ったのか、音楽大学のピアノ科に決めてしまいました。子どもの頃の夢はどこに行ったのだろうか。巡り巡って、今は、保育者を目指す学生の夢をかなえるお手伝いをしています。

保育者養成校におけるピアノの現状

私が養成校に勤務したばかりの頃(以前の勤務校)は、入試要項に『入学時までにバイエル60番終了をしていること』と書かれてありました。しかし数年後には、この文言は消えてしまいました。

ある年、入学前の早期教育として、ピアノ未経験者及びピアノが不安な新入生のために、1月から『新入生ピアノ講習会』を行なうことになりました。そして、その数年後には、『新入生音楽講習会』と名称を変え、音符の読み方講習会になりました。ほとんどの新入生が参加していました。
例えば、『ド』の場所を教える時には…右手をチョキにして、黒い鍵盤2個並んでいるところに、人差し指と中指を置いてみましょう。できましたか?
次に、そのまま自然に親指を白い鍵盤の上に置いてみましょう。今、親指が乗っているところが『ド』です。ピアノ未経験者は、ここからスタートします。ピアノ講師仲間からは、「自宅に来ている子どもが、初めて来たときと同じレベル」と言われてしまいましたが…。今でも、4月の初めの授業では、ピアノの初心者にはここからスタートしています。

しかし、幼稚園実習や保育園実習に出るまでに、生活の歌と言われている朝の会で歌う『おはよう』『おはようのうた』、お昼に歌う『おべんとう』、帰りの会で歌う『おかえりのうた』『さよならのうた』などが弾けるようにならなければなりません。

もっとも今は以前とは違い、ほとんどの幼稚園や保育園では、左手は本人のレベルに合わせて易しい伴奏でも許されています。「難しい伴奏でなくて良いから、止まらないで、子どもが歌えるように弾いてください」と、保育現場から言われたことがあります。とはいえ、生まれて初めてピアノを弾き、数か月後に子どもの前で弾くことは、たいへんなことです。

それもただ弾くだけではなく、弾き歌いをしなければなりません。右手でメロディー、左手で伴奏、場合によっては右足でペダルを踏み、さらに歌も歌わなければなりません。

緊張して弾けなくなったという話を聞いたことがあります。そんな時に子どもから励まされると、情けなくなるそうです。ある学生が、「実習最終日に弾いた時『先生、やればできるじゃん。うまくなったじゃん』と言われ、うれしいような、情けないような…涙がでてきた…」と、言っていました。
その学生も、無事に卒業して保育者になりました。

保育現場からの意見

保育現場から言われました。「たとえピアノが弾けなくても、文章が書けなくても、まずは子どもと関わる力が一番大切!」だと。確かに、保育技術はあったほうが良いですが、子どもと関わる力はとても大切だと思います
しかしながら、養成校でピアノを担当しているものとして、現場で使える曲を1曲でも多く身につけて、現場に送り出したいと思っています。好きな曲が弾けるようになると嬉しいらしく、ピアノが好きになるみたいです。子ども達に、音楽の楽しさを教えられる保育者になって欲しいものです。

エピローグ

私の担当は、年内はこれが最後になります。では、皆様

   メリー・クリスマス!
   どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。

岸 久美子(きし くみこ)

東京経営短期大学こども教育学科 専任講師
保育者養成校で、音楽と実習関連科目(保育実習・教育実習)を担当しています。保育の現場における音楽活動を通して、幼保一元化、幼保小連携・接続について研究中です。

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