2018.12.14
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いつもHello. How are you? と言っていませんか

みなさんは外国語の授業をするときに,どんな挨拶で授業を始めていますか?自分が思っている挨拶の仕方が,もしかしたら非常識なものかもしれません。今回はそんな挨拶にまつわる話題を提供したいと思います。

静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭   常名 剛司

挨拶の仕方はいくつもある

数年前に,日本に来たばかりのカナダ人のALTと一緒に仕事をしていました。その彼とは,プライベートでも一緒に食事をしたり,クリスマスパーティをしたりするほど仲良くなりました。始めの頃に,そんな彼と挨拶をする時に,「あれ?」と思ったことがありました。

①How are you?と言われたら,調子を答えてはいけない

始めの頃,私は,カナダ人のALTと会うたびに,「Hi. How are you?」と言うと,いつも必ず「Hi. How are you?」と返事を返されました。こちらは,「How are you?」と聞いているので,「I’m good.」とか「I’m fine.」とかという返答を期待していたのですが,ちょっと待っても,そのような期待していた返答はなく,「シーン。」という微妙は空気が流れるしかありません。逆に,先に「Hi, Jona. How are you?」と聞かれた時に,「Oh, I’m ok.」と返したら,これまた微妙な雰囲気になりました。なんでだろうと思って,理由を聞いたら,どうやら最近は,「Hi. How are you?」でもう1つの「やあ!」というような挨拶になっているので,いちいちHow are you?の返事をしないということでした。私は,目からウロコが落ちてしまい,それ以来,彼との挨拶は「Hi. How are you?」「Hi. How are you?」です。どうやら最近は,私が子どもの頃に習った英語の常識と違うことがあるようです。英語自体が変わったのか,英語を取り巻く文化が変わったのか,カナダだからなのか,そもそも本来,昔からそのように使っていた人が多かったのか,その全てなのかは分かりませんが,日本語でも方言の衰退,若者言葉の氾濫が起こり,日本語自体も変わっているので,英語だって当然変わっていてもおかしくはありませんよね。そういう返事の仕方もあるようです。

ただ日本に長くいる外国人と話すときは,日本人は「How are you?」と聞かれたら,「I’m fine.」や「I’m good.」などと返答するものだと考えていると知っています。私たち日本人向けにきちんと合わせてくれていることが多いのではないかと思います。

②いつも「Hello. How are you?」と言っていませんか

外国語の授業の時に,小3から小6までいつも同じ挨拶をしていませんか。下手をすれば小1から中3まで。英語で「元気?」のようなニュアンスをもつ言葉は「How are you?」の1つだけなのでしょうか。日本語だって,「調子どう?」「最近,どうよ?」「元気―?」「元気にしてる?」「何かあった?」など色々あるはずです。英語でも「元気?」のようなニュアンスをもつ言葉は「How are you?」以外にも「How are you today?」「How are you doing?」「How’s it going?」「How’s everything?」など色々あります。いつも決まり切った教室英語では,子どもの英語力も伸びません。教師が意図的に多様な表現を使っていくことで,インプットの質と量が自然と高まりますよね。返答させるなら学級の子どもたち全員が「I’m fine thank you, and you?」などと言っていたらすこぶる変です。「全員がfineなわけないだろう!」と誰かにツッコミを入れられてしまいます。教師は全員(本当は一人ひとりに向かって)に言いますが,子どもたちはそれぞれに自分の調子を言えばいいですよね。一人ひとりみんな調子は違うのが当たり前です。

③アフリカの挨拶は長くて終わらない

どこの国,どの言語でも同じような傾向にあるのでしょうか。
私が住んでいたタンザニアでは,挨拶という名のちょっとした世間話が長すぎて,もはや挨拶ではなく,世間話です。よくある挨拶は以下のような会話です。
A:やあ,元気?         
B:いいよ。やあ,元気?
A:いいよ。家族はどうなの?
B:いいよ。
A:お母さんはどうなの?
B:いいよ。
A:お父さんはどうなの?
B:いいよ。
A:仕事はどうなの?
B:いいよ。
というように,あらゆることに対して「どうなの?」と聞いてきます。ちなみにこれは,もともと友達だったり,知り合いだったりした人だけでなく,道を歩いていて,反対側から歩いてきた人からも似たような挨拶を頻繁にされます。しかも,アフリカでは,ちょっとよくなくても,とりあえずは「いいよ。」と答えてから,「でもね,ちょっと病気なんだ。」などと答えます。とりあえずは「生きていれば」,全部「いいよ。」なんです。挨拶する時には,必ず握手もするので,アフリカの人とはすぐに仲良しになれますよ。

挨拶はコミュニケーションの第一歩です。挨拶を通して,心と心の温かな交流ができればいいですよね。次回もよろしくお願い致します。

常名 剛司(じょうな つよし)

静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭
小学校英語教育の研究を担当しています。自律的に取り組む本物の文脈の中で,子どもの資質・能力を育む小学校英語教育のあり方について考えていきます。

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