2018.11.08
  • twitter
  • facebook
  • google+
  • はてなブックマーク
  • 印刷

思考させながら英語を身につけるCLIL型英語学習〜季節は4つとは限らない〜

CLIL型学習(内容言語統合型学習)というものを知っていますか。小学校英語で高学年の子どもの知的好奇心を喚起し,思考させながら外国語を身につけていく学習です。今回は,そのCLIL型学習を取り入れる工夫をお伝えします。

静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭   常名 剛司

日本の晩秋の寒さ

やっと日本も肌寒くなってきて,秋真っ盛りというところでしょうか。これから冬に向かってさらに寒くなりますね。子どもの頃は,冬に時々降る雪が大好きでした。全てのものが雪で覆われて静かで綺麗な世界になります。ところが,そんな冬がいつしか困った季節になりました。

赤道直下のアフリカに,3年住んで帰ってきたその年の冬。それまでに感じたことのないような寒さが肌から入り込んできます。そうです。熱帯地域に住んでいたので,私の肌の毛穴がすっかり開いた状態になっていました。お陰で日本の寒さは私の体の芯まで冷たくしたのです。まだ30歳にもなっていませんでしたが,生まれて初めて自分でタイツを買っておじさんの仲間入りを果たしました。それからというものの,タイツがすっかり手放せなくなって,今では,薄手のものから厚手のものまで多種多様なタイツコレクターになってしまいました。自分が小学生の頃は,一年中,半袖短パン少年でしたが,今では見る影もありません。どうして子どもの頃は,あんなに寒さへの耐性が強いのでしょうかね。本当に不思議です。

CLIL型学習を取り入れて

①CLILを少し取り入れる

CLIL(クリル)というのはテレビCMでも耳にするように,近年のヨーロッパで急速に広まってきて,最近の日本の小学校英語教育でも少しずつ認知されてきた学習法です。CLILとは,Content and Language Integrated Learningの略語で、内容言語統合型学習といい,4つのCで構成されています。4つのCとは,Content(内容), Communication(言語), Cognition(思考), Community(共同学習)/Culture(異文化理解)の4つを指しています。こう聞くと,ちょっと難しそうだなと思うかもしれませんが,小学校ならこれまでにもすでに実践しているような教科横断的な単元デザインの学習に,子どもが他教科の見方・考え方を働かせるような思考場面を取り入れた学習と捉えてもいいのかもしれません。CLILというと思考させることに重きを置き過ぎて,教師の難しい英語を聞くだけに終始し,かえって4技能が全く身につかない授業展開もよくあり,それでは本末転倒になってしまうのではないかと思ってしまいます。そうならないためにも,単元の一部分だけにCLIL型学習を取り入れる意識がいいのではないでしょうか。

②季節は4つとは限らない

世界の国や地域では,日本のように季節が4つに分かれているところばかりではありません。地域によっては季節が2つや3つに分かれているところもあります。季節が2つのインドネシアのジャカルタでは,Dry seasonとRainy seasonに分けられます。3つのインドのニューデリーでは,Dry seasonとRainy seasonとHot seasonに分けられます。子どもたちは,日本のような美しい四季があることが当たり前だと思っていますが,そのようなところばかりではありません。赤道直下のアフリカのように一年中暑く,季節が2つに分けられるような荒々しい自然もよいのですが,日本のような色鮮やかな瑞々しい自然もまた格別なものです。国名を導入した後に,それぞれの国が大まかにいくつの季節に分かれる国なのか,雨温図を見ながら考えさせます。まずは,日本の雨温図を見せます。「How many seasons in Japan?」と聞けば,子どもたちは,「Four seasons.」と答えます。次に「What season do you like?」と聞くと,子どもたちは,それぞれに好きな季節を答えるでしょう。次に,インドネシアのジャカルタの雨温図を見せます。すると,子どもは,季節が4つに分けられないことに気づきます。気温だけだと,季節は1つですが,降水量を見ると,どうやら2つに分かれそうです。そこで,「Dry season」と「Rainy season」という降水量で季節を分けることに気づくのです。英語の文脈の中で,子どもは自然と社会科の見方・考え方を働かせて,また英語の文脈に帰っていきます。

③留学生に合わせて季節のよさをオススメする

日本は,四季折々のよさがあります。夏の富士山なら,「climbing」か,山麓の「hiking」がオススメでしょう。しかし,冬の富士山なら,もちろん「watching」です。シンガポールなどの1年中暑い国から来た留学生には,ぜひ冬の富士山の美しさを見せてあげたいし,富士山周辺で「skiing」や「walking」を楽しんで欲しいと思うでしょう。同じ富士山でも季節によってよさが異なります。富士山で「You can enjoy climbing in summer.」「You can enjoy watching in winter.」などの動名詞を使った表現を季節の表現とともに使うことができます。子どもに知的好奇心を喚起し,思考を伴う場面や状況を設定するちょっとした工夫で子どもの思いをより詳しく伝える文脈になります。

次回は,子どものおしゃべりが止まらなくなるようなSmall Talkの工夫を読者の皆様に紹介したいと思います。よろしくお願い致します。

常名 剛司(じょうな つよし)

静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭
小学校英語教育の研究を担当しています。自律的に取り組む本物の文脈の中で,子どもの資質・能力を育む小学校英語教育のあり方について考えていきます。

pagetop