2018.10.23
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読書の秋にふさわしいオススメの高学年向け英語絵本

高学年の子どもたちが聞いても面白いと思えるような心温まるストーリー,意外なオチがある英語絵本を紹介します。

静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭 常名 剛司

防災教育を英語で自分ごとに

本校の第96回研究発表会が終わり,ほっと一息ついています。今回は,6年生の「Unit5 Save my life.留学生に防災劇を発表しよう」という単元で,CLIL型学習を通して,地震がない国の留学生にも危険予測や避難行動の仕方を知ってもらえるように,防災劇を発表するという本物の文脈になるように単元をデザインしました。

本時では,There is/are の文や助動詞will,shouldを使って,外国人旅行者がよく訪れる浜松の観光地の危険予測や避難場所,必要な防災グッズについて仲間と話し合う活動をしました。子どもたちは,多くの参観者に囲まれて緊張していましたが,よく頑張ってくれたと思います。もっとも子ども以上に緊張していたのは,私の方でしたけどね。

ハロウィンの仮装行列

秋といえば,人それぞれにあるのかと思いますが,「ハロウィン」についてのショートストーリーを紹介します。これまでの教師人生の中で,ほぼ毎日,何かの形で失敗しているといっても過言ではないのですが,そんな私の特大の失敗談です。

異文化理解のイベントとしてハロウィンの日に仮装をするのは,もはや日本では年中行事の1つに数えられるほどです。ある年,6年生の担任をしていて,「ハロウィンの日の昼休みに,校内の廊下を仮装行列で練り歩こう」と私が言い出して,その通りに実行することになったのです。仮装行列といっても,仮装をして廊下を歩き,出会った子どもたちに「Hello. Trick or Treat!」と言って,手を振って笑顔を振りまいて歩くだけなのですが,なんだかみんなで仮装をして歩くだけで楽しいものです。

子どもたちには,「仮装は無理に買わない。作ればよい。」と伝えていました。私は,少年漫画の悪役のキャラクターの被り物を色画用紙とピンポン球で作って,腕や顔を緑色の絵の具で着色して仮装しました。

当日,給食を食べ終わって,子どもたちが思い思いの仮装を始めました。女の子たちは,かわいい魔女が多いのですが,男の子たちは,恐ろしいゾンビのお面や,ゲームのキャラクターなど多種多様です。最近は,ゾンビのお面も精巧なものが安く手に入るようで,本当に気持ちが悪いものもあります。「さすがにちょっと怖い顔のお面だな。大丈夫かな。」と思いましたが,仮装行列をスタート。すると案の定,1年生の教室の前に行くと,大きなお兄ちゃんが気持ち悪いゾンビのお面をかぶっているのを見て,1年生の顔が引きつっています。中には,泣き出す子もいて,慌てて1年生の教室の前を通り過ぎました。パニックになりそうな1年生を必死になだめていた担任の先生たちの私を見る恐ろしい顔は一生忘れられません。あの時は本当にすみませんでした。放課後,教頭先生に呼ばれてきついお灸を据えられたこの話は,割と最近の話です。

読書の秋にふさわしい英語絵本

さて、今回は高学年の子どもたちが聞いても面白いと思えるような心温まるストーリー,意外なオチがあるような英語絵本を紹介します。

①ハロウィンにちなんだお話

「Winnie the Witch Three Story Treasury by Valerie Thomas」
ちょっとドジな魔女とその飼い猫の話です。3話収録されています。人のよい魔女が問題を解決しようとするのですが,なかなか上手くいきません。しかし,最後には,心が温かくなります。最近,学級で外国語科の授業のたびに少しずつ読んでいるのですが,それほど英語表現が難し過ぎず,それでいて同じ表現の繰り返しで書かれているので,意味は分かるようです。過去形などで書かれているので,分かりづらい部分は現在形などの分かりやすい形に言い換えてあげるといいです。

②不思議なお話

「Sam and Dave Dig a Hole by Mac Barnet」
サムとデイブが宝石を探して穴を掘る話です。最後のオチが不思議な話です。絵が分かりやすいので,ジェスチャーをつけながら話せば,過去形ばかりですが,内容は理解できるかなと思います。イラストを描いたジョン・クラッセンの作品は,どれもオチが「ちょっと日本の絵本にはない感覚だよな」というものばかりです。現在完了などの形で書かれていますので,過去形や現在形に言い換えて読むといいです。

③We can! 2と関連させて使えるお話

「I Don’t Want to Be a Frog by Dev Petty」
カエルの子どもなのに,「カエルになりたくない。ウサギになりたい」などという、わがままなカエルの子どもの話です。ちょうど将来の夢を話し合う単元の学習に使うと楽しいかなと思います。後半にいくに従って,表現は長くなりますが,あまり難しくありません。読み手が一人二役の演技をするようにして読むと分かりやすいかなと思います。

次回は,学習意欲を高めるような季節を感じさせるCLIL型学習の工夫について読者の皆様に紹介していきたいと思います。よろしくお願い致します。

常名 剛司(じょうな つよし)

静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭
小学校英語教育の研究を担当しています。自律的に取り組む本物の文脈の中で,子どもの資質・能力を育む小学校英語教育のあり方について考えていきます。

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