数年経験した教員がさらに学びを深めるために読む本
教員の研修はそれぞれのステージによって色々と違ってきます。
採用された直後の時期は、ハウツーもの、マニュアルに類するものから学ぶことが多いです。
教師としての基本的なやり方を学ぶにはそういったものが有効です。
研修もそうですし、読む本に関してもそうです。
しかし、次のステップを考えた時には、少しやり方が変わってくるのだと思います。
今回は、採用から数年を経て、教師の仕事について一通り理解し、さらに学びを深めていくために、どんな本を読んでいくと良いのかということについて書いていきます。
帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明
「教師としての「幅」を広げ、「深み」を出すために」
教師としての経験年数が増えてくると、ハウツーものとは少し違ったタイプの本を読むことをお勧めします。
内容としては、子どもの存在や教師の取り組みの背景、土台などに関するものです。
具体的には、教育心理、教育法規、教育史、学習指導要領、家庭環境など。
「学びの意味」「学級集団の意味」「褒めること叱ることの意味」「現代の家庭の課題」などについて考えることができます。
先ほど書いたハウツーものなどは、教師としての「幅」を広げられるような内容だと私は感じています。
ある程度の経験を経てからは、「深み」を出すことが必要なのだと思います。
「深み」を出していく際に有効になるのが、教育心理学などをはじめとする少し学術的な本です。
そういったものに触れていくことで、私が「深み」と表現したものに変化が出ます。
「物事の見え方が変わる」
その結果、子どもを見る際の見え方が変わることがよくあります。
学級内であったケンカやトラブルに関しても「そこから見えてくるもの」、「教師として取るべき行動」が違ってきます。
「愛着障害」など家庭環境と子どもの育ちに関する知識を得ることで、学校での子どもの問題行動の意味が理解できてくるかもしれません。
「児童心理」などに関する知識を得ることで、学級内で子どもが取っている関わりの意味が理解できてくるかもしれません。
江戸時代、そして明治はじめから現在に至る近代学校システムについて知ることで、現在の学校のあり方が違った形で見えてくるかもしれません。
授業においても、単にその1時間のことだけでなく、もっと長いスパンや幅広い視点での考えができるようになるかもしれません。
教師になって数年を経た段階として、自分の教育実践を少し客観的に見ることに繋がっていくことでしょう。
「終わりに」
もちろん、どの年代においてもハウツーものは必要です。
現在のように新たに始まるもの(英語、プログラミング教育など)がある時には、ハウツーものはあるととても便利です。
状況によって変わってくるものです。
それぞれの先生の状況、段階によって、バランスを取りながら本を選ぶと良いと思います。
この夏休み、そして、その後の教育実践が素晴らしいものとなるよう祈っています。

鈴木 邦明(すずき くにあき)
帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。
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