2017.10.06
  • twitter
  • facebook
  • google+
  • はてなブックマーク
  • 印刷

留学生とのコミュニケーション

9月、新しい留学生がやってきました。共通語は英語なのですが、、、

近畿大学 語学教育センター 准教授 高橋 朋子

■新しい留学生!

9月になって新しい交換留学生がやってきました。
ブルネイから、ロシアから、フィンランドから、イタリアから、モロッコから。
私の担当する新しい日本語ゼロ会話クラスには
今期10か国の学生がいてそれは、それはにぎやかです。
先日、授業で
「大学に 〇〇ありますか」という表現を学びました。
その後、キャンパス内で日本人学生を捕まえて
次のような質問をし、居場所を確認して写真に撮ってくるというタスクを課しました。
留学生「すみません、大学に ATM(コピー機、ジム、カフェ)ありますか)」
数人に聞いてくるタスクなのに、彼らが教室に戻ってくるのがやたら遅く、心配で見に行くと、、

「先生、話しかけようとしたら、走って逃げられました」
「日本語で話しているのに、英語で答えられました」
「いきなり、指で×をつくり、「NO、NO」と言われました」
と困っている様子。
うーん、困った。本当に困った。
(昔のCMで、外国人に話しかけられて石になるというのを思い出しました)
これは英語力の問題なのでしょうか。
個人の性格の(たとえば内向的とか)問題なのでしょうか。

■共通語は英語

このクラスの留学生は日本語ゼロですから、共通語は英語です。
そして不思議なことに(当たり前かもしれませんが)
英語のできない人はいません。
それどころかとても流暢で、楽しそうに交流しています。
また、ヨーロッパからくる学生は、数か国語を自由に操ります。

英語にフランス語にスペイン語にドイツ語・・・
なかには、6か国語を話せるつわものも!

アジアに興味関心のある学生は、日本のアニメ、韓国のK-POPと
自分の興味のあるものに合わせてその言語も習得しているようです。
日本人はどうでしょう?
英語教育、とりわけコミュニケーション能力の育成に力が入れられるようになって久しいです。
小学校から英語の授業も始まりました。
大学でも学生の英語力アップのために、いろいろな取り組みが行われています。

TOEICなどの資格試験の講座
資格試験の受講料の割引
交換留学や派遣留学の説明会
模擬国連
アクティブラーニング
多読リーディング
英語村(うちの大学には英語だけで交流するスペースがあります)

はたして
学生たちは自由に英語で交流ができるレベルに達しているのでしょうか。

先日、英語圏以外の国に交換留学をした
日本人学生の留学後記レポートを読む機会がありました。
そこには、こう書かれていました。

「~略~クラスメートの中国人やモンゴル人などと仲良くなりたい。
みんな英語で交流しているのに、私は話そうと思っても口から
出てこないし、言いたいことをどう言っていいのかよくわかっていない。
日本以外の人と交流するのに英語が必要だ、英語以外の言語を専攻したとしても
英語はコミュニケーションするのに必要だと痛感した。
帰国したら英語を勉強しよう~略~」
と書いてありました。
とても考えさせられました。
日本の英語教育の何が悪いのでしょうか。
どうすれば臆することなく、彼らの輪に入っていけるのでしょうか。

■大阪流コミュニケーション?

先ほどの会話クラスのタスクに戻ります。

嬉しいことに、温かい答えをもらった学生もたくさんいました。
一生懸命日本語で話してくれた!
わかっているかどうか何度も確認して、紙に書いてくれた!
カフェを尋ねたら、そこまで一緒に来てくれてコーヒーを買ってくれた!!!!
トイレを尋ねたら、連れて行ってくれた!
学生の親切さにとても感動している留学生たち。

英語が流暢じゃなくても、温かい交流が可能なことを教えてくれました。
ことばより態度で、これは大阪流?
それに、英語以外の外国人とのコミュニケーションはやはり態度ですね。

世界はどんどん小さくなって、人や文化の往来が当たり前になっている現在、
言葉であれ、態度であれ、コミュニケーションツールを身に着けることが大切です。

自分と異なるものを受け入れて、そこにかかわっていこうとする姿勢や気持ちを育てるために、
大学はもちろん、幼少期からの教育環境に期待したいところです。
高橋 朋子(たかはし ともこ)

高橋 朋子(たかはし ともこ)

近畿大学 語学教育センター 准教授


留学生への日本語教育、地域の日本語教室の支援、外国にルーツを持つ子ども達の母語教育支援活動をしながら、多文化・多言語社会について考えています。

pagetop