2016.11.16
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小学校英語を学修にするために PART3

前回は目標の達成度を自己評価することについて書かせていただきました。
 今回は、その自己評価が自分勝手ではなく、教師が望む姿と近づくように私が行っている手立てについて紹介します。

倉敷市立連島南小学校 教諭 江尻 寛正

前回のふりかえり(目標達成度の自己評価)

私は目標を子どもと共通理解し、それをワークシートに明示しています。ゴールが分かっていることが、主体的な学びには不可欠だと考えているからです。

 前回はその目標にどれくらい近づいているかを自己評価するために”めもり”を設けていることを紹介しました。「できる」「できない」というデジタル感覚の評価よりも、「少しできるようになった」「今日はいつもよりがんばった」といったアナログ感覚の評価の方が小学生にはなじむと考えているからです。

 ただ、自己評価は自分勝手なものになることがあります。そうならないために私が行っていることを今回は紹介したいと思います。

すごろく形式で努力を見える化!

目標・達成度が明示された下に、すごろくをイメージしたものを設けています。これは、自分が努力をしていくことでゴール(目標)に近づいていくイメージを可視化できるようにしたものです。
 つまり、自分が努力を積み重ねることで、「今は自信がない」→「今日はがんばって少しできた」→「できるようになってきた」→「できる自信がついた」という自己評価につながっていくことを願っています。そして、その願いを子どもにも話をしています。
 それと同時に、「どう努力すれば目標に近づくか」という具体的な行動も伝えます。それが、ワークシートの右下にある「1point ゲットルール」です。
 これは、私がブラジルで生活した中で、”コミュニケーションをはかるための言葉”を身につけるために大切だと感じたことを、授業での行動レベルに落としたものです。例えば、「単語を5個覚える」ということより、「とにかく自分から話そうとする」ことの方が優先順位が高いと考えているので、「授業中に3回以上手をあげた!」「授業以外で江尻先生と英語で話した!」という項目が出てくるわけです。これらの項目にあてはまる行動をした時、すごろくの1マスを進むことができます。具体的には、日付を書き、右上の小さい四角に何番の項目で進んだかを記入するようにしています。
 こういう具体的な行動レベルを示すことで、学びの主体である子ども自身が「どうがんばればいいか」がよく分かり、取り組みやすくなります。また、それをすごろくに表すことで自分の進歩がイメージできるようになります。

子どもをどう評価するか

努力を見える化するので、子ども自身は「こんなにがんばった」というイメージをもつことができます。そして、1 pointゲットルールがコミュニケーション能力を高めるための具体的行動なので、自然にその力がつくことになるはずです(もちろん個人差はあるという前提です)。
 そして、努力が自分で可視化できるという点で、自尊心を高めることにもつながるかもしれません。
 ただ、あくまで自分の主体的な視点での自己評価です。教師としては、客観的な視点を少しは持ってほしいという願いがうまれてきます。そこで、学期末にはこのワークシートを使ったポートフォリオ評価を行うようにしています。次回はこれについて紹介していきたいと思っています。
 よろしくお願いします。

江尻 寛正(えじり ひろまさ)

倉敷市立連島南小学校 教諭
アクティブラーニングを意識した“子どもが学修する”小学校英語教育実践を紹介したいと思います。平成26年度「わたしの教育記録」(日本児童教育振興財団)特選受賞、「小学校外国語活動研修ガイドブック」(文部科学省)や「英語教育」(大修館書店)等で執筆協力。

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  • 常名 剛司

    静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭

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