藤本勇二(ふじもと ゆうじ)
武庫川女子大学教育学部 教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。
1月17日は「防災とボランティアの日」です。平成7年に発生した阪神・淡路大震災で、災害時のボランティア活動の重要性が広く認識されたことから「防災とボランティアの日」が制定されたそうです。今回は防災の視点から食を考えてみました。理科「大地の変化」の「防災」の内容に関連させて「非常食」について1時間取り上げてみました。 乾パンを試食する防災グッズについての話し合いの中、「乾パン」が話題に出てきました。ほとんどの子が食べたことがないというので、用意した乾パンを食べてみることにしました。 缶の容器に入った乾パンを開けると、 リュックに入れる食べ物は?写真上:リュックサックに詰める食べ物を考える 写真下:グループごとにホワイトボードに書き出す 次に そして、グループで考えた食べ物をホワイトボードに書き出していきます。たくさんの種類の食べ物のリストができました。 昔からあるかつお節、梅干し、昆布、スルメも非常食になることを話しました。さらに、乳児用ミルクも必要だと話すと
非常食の条件とは?グループで非常食の条件を考える 「非常食に適した食べ物はどんなものかな。条件を話し合ってみよう」 ◆栄養的な条件(高カロリー、糖分、ビタミンが摂れる、赤・黄・緑の揃っているもの) 乾パンに氷砂糖が入っている意味「乾パンに氷砂糖が入っているのはエネルギー補給以外にも意味があるんだよ」 「非常食はただ長持ちして食べやすい、それだけだと思っていたけれど一つの食べ物に何十もの役割があることがわかった。非常食の大切さが少しわかった気がする」。 「乾パンはぱさぱさしていて水が欲しくなるけど、氷砂糖があるとつばが出てきてすごく食べやすくなると思う。このことを考えた会社の人はすごく考えて考えて見つけたことだと思う」。 「非常食にはたくさんの種類があることがわかった。インスタント食品は災害の時に役立つことをはじめて知った。この勉強をして家でも非常食を持っておこうと思った」。
文:藤本勇二 イラスト:あべゆきえ、みうらし~まる〈黒板〉 |
授業の展開案
登山の際、糖分や炭水化物などの栄養をこまめに補給すると疲労防止となります。では、チョコレートの他、どんなものを持っていくといいでしょうか。
荒れた土地でも短い期間で栽培できるソバは、飢饉のときに人々を飢えから救う作物として昔から育てられてきました。これを「救荒作物」といいます。サツマイモやヒガンバナ、ドングリなどもそうです。救荒作物について調べてみましょう。
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