カボチャが海を渡るとき 【食と国際社会】[小6・社会科]
第十七回目のテーマは「カボチャが海を渡るとき」。冬でもカボチャが店頭に並んでいる秘密を探りましょう。
藤本勇二(ふじもと ゆうじ)
武庫川女子大学教育学部 教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。
11月から5月ころのスーパーマーケットに並ぶカボチャの産地を見ると、ニュージーランド、メキシコ、トンガと輸入ものが大半を占めています。いずれも国内産が品薄になる時期です。 市場のカボチャ入荷量グラフからわかること 東京都中央卸売市場での「カボチャの月別入荷量」の棒グラフを子どもたちに見せます。実際のグラフは下の写真のように「国産」と「輸入」に色分けしてあるのですが、子どもたちには白黒にして両方のちがいが分からないように塗りつぶしたグラフを渡しました。 「このグラフを見て分かることは何かな」と問うと、 入荷量からわかるカボチャの旬と輸入の関係。 「9月が多いのは分かるけど、どうして3月が多いんだろうか」と問うと、 カボチャはどこから輸入しているのだろう?カボチャの表示を見て、輸入先を確認する。 次に、世界地図を使って 「昨日スーパーマーケットで買ってきたカボチャです。表示を見てみます。ニュージーランドでした。どこかな」と世界地図で探させます。 カボチャはなぜ南半球から輸入されるのだろう?「どうしてニュージーランドから輸入しているんだろうか」、そう聞いてみると、 「まだ他にカボチャを輸入している国があります。どこでしょうか」と問います。 メキシコと南半球からの輸入が多い。 「メキシコは……あれ? 南半球じゃないぞ!」メキシコの位置を見つけた子どもたちから疑問が生まれます。 たった一つのカボチャからいろんなことが勉強できた!この授業の感想を、子どもたちは次のように話してくれました。 「旬が夏でも季節が反対の国だったら1年間ずっと売り続けることができるんだと分かった。1年中カボチャが食べられるようになっていて日本の貿易システムはすごいと思った。 日本人はカボチャが好きだと思います。年中カボチャを食べられるようにニュージーランドやトンガから輸入しているんだと思います」。 「カボチャがこんなに奥の深いものだったとはじめて知った。世界とのいいローテーションをしてるんだと思った。メキシコに負けないようなカボチャを作って欲しい」。 「カボチャだけでこんなに考えられるとは思わなかった。いろんなことを考えて輸入しているんだと思った」。 「北半球や南半球、赤道や産地などいろんな言葉が出てきてカボチャ一つでこんなに勉強できるんだと感心しました」。 「カボチャ一つでこれだけのつながりが海外とあることにすごくびっくりした」。
文:藤本勇二 イラスト:あべゆきえ、みうらし~まる〈黒板〉 |
授業の展開案
国内の産地にも注目してみましょう。6月の鹿児島・神奈川から始まって、栃木、茨城、秋田、北海道と、産地が北上していくことに気づきます。
カボチャの他にどんな野菜が外国から輸入されているのでしょうか。スーパーマーケットで産地を調べてみましょう。
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