2007.03.20
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野菜ロケットを飛ばそう 【食と科学 遊び】[小6・理科]

第八回目のテーマは「野菜ロケット」。野菜ロケットを飛ばして植物の酵素パワーを体感しましょう。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学教育学部 准教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

材料は野菜とオキシドール

 「野菜ロケットはすごい! ロケットの燃料は、怪我をしたときに塗るオキシドールと、野菜。ニンジンにオキシドールを入れると綿のようになってしまった。今度は何が一番飛ぶのか、バナナやダイコンとトーナメントをしてみたい!」とは子どもたちの声。

 オキシドールと野菜でロケット? 何の話でしょうか。

 オキシドール(過酸化水素)は水と酸素に少しずつ変わっていく性質を持っています。一方、野菜にはカタラーゼという酵素が含まれています。カタラーゼはオキシドールが水と酸素に変わっていく反応を速くする働きがあります。フィルムケースの中でオキシドールとカタラーゼが混ざると酸素の泡がブクブクと出てきます。やがて、いっぱいになったこの酸素が外に出ようとする力(圧力)になり、それに耐えられなくなったフィルムケースの蓋がポーンと外れ、ロケットのように飛んでいくのです。

 まさに食物とテクノロジーのコラボレーション! いつも食べている野菜たちには、こんなパワーが秘められているのですね。

 

やってみよう

用意するもの
用意するもの
野菜をすりおろす
野菜をすりおろす
水気をぎゅっとしぼる
水気をぎゅっとしぼる
しぼった野菜をフィルムケースに入れる
しぼった野菜をフィルムケースに入れる
そこにオキシドールを入れる
そこにオキシドールを入れる

【用意するもの】

カメラのフィルムケース、ペットボトル、野菜や果物(ニンジン、ダイコン、ジャガイモ、バナナ、ゴボウなど。野菜は新鮮なものを用意します)、おろしがね、オキシドール(封を開けて時間が経ったものは使わないほうがいいでしょう)

 
【手 順】
1. ニンジンやダイコンなどの野菜をおろしがねですりおろし、ぎゅっとにぎって水気をとります。
2. 水気をとった野菜をフィルムケースにふわっと半分ほど入れます。
3. フィルムケースにオキシドールを1/4~1/5位入れ、蓋をしっかり閉めます。オキシドールはペットボトルに分けて入れておくと使いやすくなります。
4. ケースは蓋側を下にして地面に置き、離れたところで見ながら待ちます。しばらくするとフィルムケースが「ポーン」と音をさせてロケットのように飛び上がります。

【注意!】
・周囲が汚れますので、広くて掃除のしやすい場所を選んで実験を行ってください。
・フィルムケースが高く上がるので、必ず屋外で行ってください。
・オキシドールが目に入らないように気をつけてください。
・目に入ったときには流水で洗い流してください。
・フィルムケースはいつとび出すかわからないので、注意してください。
・ケースが飛ばないときは、布を被せて蓋を外してください。

酵素の働きで消毒

 

 生野菜、果物、生の肉や魚などの新鮮な食べ物には酵素が入っています。酵素は生命維持に無くてはならないものです。動物では肝臓、腎臓、赤血球に多く含まれています。怪我をしたときに傷口の消毒にオキシドールを塗ると細かい泡がたくさん出てきます。泡の正体は酸素です。発生する酸素の泡の力で殺菌するのです。牛のレバーを使ってもこの実験はできます。レバーにカタラーゼがたくさん含まれているからです。

(文:藤本勇二 イラスト:みうらし~まる

授業の展開案

野菜はどんな種類がよく飛ぶでしょうか? いろいろな野菜を使って飛距離を調べてみましょう。
 

野菜の水気を切らないまま実験したらうまく飛ぶでしょうか? オキシドールの量を変えてみるとどうでしょうか?

 

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