ことばあそびうたをつくろう 【食と言葉】[小1・国語]
食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイディア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子ども達の興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第108回目の単元は「ことばあそびうたをつくろう」です。
りんごを食べる音を表す言葉「擬声語」を考える
「ことばあそびうたをつくろう」に取り上げられている「たべもの」を音読することから授業を始めました。声の大きさや速さ、口の開け方に気をつけて音読させた後、黒板横に掲示した教材を見ながら、「たべもの」の中に書いてあった擬声語・擬態語を思い出させます。子ども達からは、「ぱりぱり たくあん」「ぽりぽり キュウリ」「つるつる うどん」などが出ました。
次に、擬声語の「しゃりしゃり」という言葉を提示し、この言葉を聞いて思いつく食べ物を考えさせることで、擬声語に注目させます。子ども達は、「キュウリ」「かき氷」「キャベツ」「冷凍ミカン」などの食べ物を想像していました。
続いて、実際にリンゴを試食します。子ども達は、早速リンゴを食べ、どんな音がするのか聞き、自分なりの言葉を探しています。ただ、授業中にリンゴを食べられることが嬉しく、子ども達はざわざわした様子だったので、音に集中するように声掛けすることを心掛けました。
子ども達に、リンゴを食べたときの音を聞き、どのように聞こえたのか言葉で表現させると、「しゃりしゃり」や「しゃきしゃき」「しゃくしゃく」「さくさく」という意見が出ました。一つの答えに絞るのではなく、自分が感じた音に近い言葉になるよう声を掛け、同じ食べ物を食べても人によって感じ方が異なることに気づかせました。
食べ物の様子を表す言葉「擬態語」を見つける
今度は、ブラックボックスに入った食材(ブドウ)を触り、その様子を表す擬態語を考える活動に入ります。子ども達は、ブドウの様子を擬態語で表すことが難しいようで、
「まるいのがいっぱいあった」
「軟らかくて冷たい」
「つるつるしている」
などと表現していました。
結局、言葉とイメージをつなげるために挙がった擬態語は「つるつる」だけでしたが、そこからブラックボックスに入っている食材の様子を想像させた後、箱の中のブドウを提示しました。子ども達は、予想が当たって
「やっぱり!」
と喜んでいました。
次に、グループに配られたブドウを触り、よりぴったりな擬態語を考えます。また、グループで相談し、より豊かに表現した擬態語が見つけられるように助言しました。子ども達は、ブドウを触った感じから「ぷにゅぷにゅ」「ぷにぷに」「ぽよんぽよん」という言葉を見つけていました。
自分で「たべものうた」を作る
考えた「たべものうた」を読む
最後に、自分が作った「たべものうた」を声に出して読み、よりおいしそうな「たべものうた」になる擬声語・擬態語を選ばせました。友達が考えた「たべものうた」を聞き、同じ食べ物でも人によって言葉の選び方が異なることにも気づくことができました。
この後、食事をするときにも擬声語や擬態語を見つけられるように声掛けをして授業を終えました。
授業の展開例
- 「音楽のおくりもの2」(教育出版)の「やおやのおみせ」の学習で、様々な食べ物を歌詞に盛り込みながら歌ってみましょう。
- 食べ物の食感や様子などを表す擬声語や擬態語を使ったなぞなぞを作ってみましょう。
岡 聡子(おか さとこ)
加古川市立志方西小学校 教諭(実践時:加古川市立東神吉小学校)
食べ物にまつわる様々な体験を通して、子ども達の言葉の力が豊かになるように食育の授業に取り組んでいます。
藤本勇二(ふじもと ゆうじ)
武庫川女子大学教育学部 教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。
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