お米の言葉のひみつを考えよう(vol.1) 【食と暮らし】[小5・家庭科]
食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイディア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子ども達の興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第九十回目の単元は「お米の言葉のひみつを考えよう・その1」です。
稲刈りを振り返って
家庭科室に集まった5年生に稲刈りをした時の写真を見せながら
「いつ稲刈りをしましたか?」
と聞くことから授業を始めました。子どもたちは、
「10月!」
と答えます。
「家庭科の時間にご飯の勉強をしましたか?」
と聞くと、
「しました」
の声に混じって、中には
「白米!」
「玄米!」
と子どもたち。
「では、これは何ですか?」
と稲を見せます。
「稲です」
の子どもの声に、
「稲ですね。稲穂とも言います。ではこの稲穂に付いているのは何ですか?」
と聞くと、子どもたちから「もみ」という声。
「そう、もみですね。このもみのままでは食べられませんね。では、もみから白米になるまでにどのようなことをするのか、班で考えましょう」
と、班活動を促します。
子どもたちは、班になって楽しそうに意見を交流します。そんな子どもたちからは、
「乾燥するんじゃないの?」
「周りを取る!」
「洗ってもみ殻を取る」
の意見や、
「脱穀する!」
「精米!」
等の言葉も出てきました。
「もみから皆が食べる白米になるまでには、こうした作業と手間がかかります。さあ、自分たちでやってみたいかな?」
と問いかけると
「やりたい!」
と子どもたち。ここで栄養教諭の先生にバトンタッチします。
道具を使って、脱穀、もみすり、精米
このようにして脱穀、もみすり、精米の三つの作業を班ごとに行いました。脱穀をしながら子どもたちから、
「バラバラ音が聞こえる!」
「うわっ! 取れた!」
等、歓声が上がりました。
もみすり器では、ハンドルを回すと出るゴリゴリとした手応えを感じながら、楽しそうにもみをすっていました。
最後に精米機のスイッチを入れる時は、皆で声を揃えて30秒数えた後、精米機のふたを開け、白米を目にすると
「白くなっている!」
「本当に精米できている!」
「もう一回やりたい!」
等の声が上がりました。
授業の展開例
- パエリアやリゾット等の世界のお米料理とそれを食べるための道具について調べてみましょう。
- お米作りにかかわる昔の道具について調べてみましょう。唐箕、足踏み脱穀機等の道具を通して、昔の人の暮らしを知りましょう。
ふじもとゼミ3期生
小学校教員を目指す3年生。
今回の授業では、指導計画の検討、教材の作成、藤本先生が行う授業のサポートも行った。現在、ワークショップを取り入れた授業プランを作成中。
藤本勇二(ふじもと ゆうじ)
武庫川女子大学教育学部 教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)