2026.03.22
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食べもののなぜを探る わたしたちのたんきゅうーチョコがもこもこ膨らむ!ー(2) 【食と科学】[小学校低学年]

食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイデア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子どもたちの興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第227回目の単元は「食べもののなぜを探る わたしたちのたんきゅう(2)」です。子どもたちの問いから生まれた食と科学の探究の事例を3回にわたり紹介します。
今回は、重曹が生み出す「もこもこ」とした変化に驚き、問いを深めていったエアインチョコ作りの様子を、大学生メンターの視点からお届けします。

授業情報

テーマ:食と科学

教科:探究

学年:小学校低学年

食と科学の探究事例

探究的な学びが注目されています。子どもたちが対象と関わりながら問いを持ち、その問いを大切にして調べたり、実験したり、表現したりすることで新たな問いが生まれてきます。食は、こうした問いが生まれる優れた材です。

今回は、株式会社新興出版社啓林館が運営するたんきゅう塾NEOで子どもたちの問いから生まれた食と科学の3つの探究の事例を紹介します。メンターとして関わった武庫川女子大学藤本ゼミの学生3名が、小学校低学年の子どもたちの思いや願いを大切にして取り組みました。

重曹で膨らむチョコの原理と不思議

重曹(炭酸水素ナトリウム)は、熱を加えると二酸化炭素を放出する性質があります。
溶かしたチョコレートに重曹水を混ぜて再加熱し、中で発生した気体が泡となってモコモコと膨らむ変化を観察しました。

実験の準備

用意するもの

材料:板チョコレート、重曹(食用)、水

用具:シリコンカップ、スプーン、耐熱容器

たんきゅう活動のプロセス

①チョコレートを溶かす

  • 用意するもの

  • チョコレートを細かく割る

  • レンジで加熱して溶かす

チョコが熱でドロドロになります。

②溶かした重曹とチョコレートを混ぜ合わせる

  • 重曹と水を合わせる

  • チョコレートと重曹水を混ぜ合わせる

③加熱する

ここでチョコレートが膨らみます。

「見た目の変化はあまり分からなかった」
「でも混ぜるとかたくなってチョコレートじゃないみたい」
「同じようにレンジでチンしたのに、なんで固くなったの?」

④冷蔵庫で冷やし固める

  • シリコンカップに入れて冷やす

  • 固まったらカップから外す

「少ししょっぱかったよ」
「重曹の味かな?」

メンターの振り返り

 

作り方を絵本にまとめました 

チョコレートは子どもにとって身近なお菓子です。チョコレートを手に持つと溶けてしまう、暑い場所に置くと形が崩れる、加熱するとドロドロになる──。こうした経験を持つ子も多いと思います。
そのため、これまでの生活経験と結びつけながら取り組むことができる題材であると感じました。もし、そうした経験がなくても、実験の最初にはチョコレートを割ってレンジで加熱する工程があります。この工程から、チョコレートは加熱するとドロドロに溶けるという認識を持つと思います。
その上で、重曹を入れて加熱するとチョコレートが「もこもこ」と膨らんで硬くなる様子を目にすると、「どうしてだろう?」「なぜ重曹を入れると変化するの?」と問いを持つきっかけになると感じました。エアインチョコは、重曹を加熱することで二酸化炭素が発生し、その気体によって穴があき、チョコレートがもこもこと膨らみます。ただし、実際に穴があく様子や泡が出てくる様子を目で直接確認することはできません。

 

おみせやさんをひらいてみんなに紹介しました 

そこで、この実験をきっかけに、泡の発生を視覚的に確認できるものや、同じように膨らむ他の素材へと子どもたちの興味が広がり、さらなる探究につながるのではないかと考えます。

今回の実験では、加熱直後の見た目の変化があまり分かりませんでしたが、メンターが事前に行った予備実験では、少し膨らんでいる様子を観察できました。今回はチョコレートを真ん中に集めて加熱したため変化が目立ちにくかった可能性があり、もう少し平らに広げて加熱すると変化を観察しやすくなるはずです。

さらに比較の工夫として、重曹を入れずに加熱したチョコレートを同じように冷やし固めて、重曹入りと見比べられるようにすると、子どもたちはより違いに気づきやすくなり、問いや不思議さを持つきっかけが広がると感じました。

メンター

佐川未菜美、團野和香、小松未來

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学教育学部 教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

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