2019.04.17
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買い物名人になろう ―店ではたらく人― 【食とくらし】[小3・社会科]

食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイディア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子ども達の興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第149回目の単元は「買い物名人になろう ―店ではたらく人―」です。

「店ではたらく人」で取り上げるスーパーマーケットは、児童にとっては、家族と共によく利用している身近な存在である。そこで働いている人の思いや販売の工夫を学習することによって、ふだんの生活に対して関心を高め、よりよい消費者としての意識の高まりも期待できると考える。

本授業では、はじめに見学で見つけた工夫と、家の人や買い物客から聞いた消費者の願いを比較させることで、販売者の工夫と消費者の願いが関連していることを確認する。それから、児童がふだん何気なく行っている自己の消費活動の中から「ポテトチップスを買う」という課題を設定し、児童が主体的に課題を見つけ、解決したいという場面を設定する。そして、買う物を選択する場面において、条件の違うポテトチップスの中から、どの商品を選択すべきか、商品の表示から情報収集したり、目的と照らし合わせて考えたりすることの大切さに気付づけるよう授業を進めた。

◇指導計画 全16時間

第1次

  • 家庭でのふだんの買い物の様子について調べ、学習課題を設定する。

第2次

  • 実際にスーパーマーケットを見学し、お店ではたらく人の工夫や売り場のひみつとお客さんの願いにつながりがあることをまとめる。

第3次

  • スーパーマーケット以外のお店について考え、これからの自分の買い物の仕方について考える。

1.ポテトチップスの包装にはどんなことが書いてあるか調べる

授業(全16時間/16時間目)の冒頭、透明の包装に入ったポテトチップスを見せ
「みんなが普段買い物に行ったときに見るポテトチップスと何が違いますか?」
と聞くと、
「中身が見えてしまっている」
「袋に色がついていない」
と答えたので、
「え?中身が見えない?包装はどんな色かな?」
とさらに聞くと、
「色だけじゃなくて、もっといろいろ文字も書いてある」
「書いてあるのは、文字だけかな?」
と聞くと、
「もっとある・・・・」
と、それぞれが思い出した包装について意見を出し始めたところで、実際のポテトチップスを班に配り、包装には何が書いてあるか確認させた。

「商品の名前」「キャラクター」「味」「イメージ写真」
「賞味期限」「製造日」「バーコード」「QRコード」
「栄養成分表」「原材料」「作った工場の名前・住所・電話番号」
「アレルギー」「内容量」
冒頭に表示のないポテトチップスを提示することで、普段の買い物の際、商品のどこに着目しているのかを意識させ、友達の発表から、これまで気付いていなかった表記に気付くことができた。

2.4種類のポテトチップスのうちどのポテトチップスを買うのか考え、買う時に大切にするポイントについて考える

班に種類の異なるポテトチップスを配った。

「ポテトチップスを選ぶとき、どんなことに気をつけて選ぶかを考えて、班で意見交換しましょう。
また、友達の意見を聞いて大切に思うポイントの順位を変更してもいいです」
班ごとに4種類のポテトチップスを見ながら意見交換を行った。

【班活動】

「やっぱり味が大切」
「ねだんが安い方がいいよ。だから、ねだんが一番」
「歯ざわりのあるのがいい」
など、自分の好みや今までの経験を元にして、大切に思うポイントを班の人と意見交換している様子が見られた。友達の買い物ポイントについて伝え合うことで、多様な考えに気付き、自分の意見を変える児童もいれば、変わらない児童もいて、いつも何を意識して買っているのかを考える良いきっかけとなった。

「次に、4種類のポテトチップスのうちどのポテトチップスを選ぶのかまた、その理由も考えましょう。」 

【学級全体】

《①番のポテトチップス》
「味がすきだから」
「いつも買っているものだから安心して 
買えるから」
「おいしいから」
「味や賞味期限が書いてあるから」

《②番のポテトチップス》
「4つの中で一番安いから」
「りょうも他のポテトチップスと変わらないから」
「食べたことないので食べてみたいから」

《③番のポテトチップス》
「1日1ふくろで4日食べられるから」
「みんなで同じりょうずつ分けることができるから」
「かたい歯ざわりのものがすきだから」
「食べきりサイズだから」

《④番のポテトチップス》
「野球カードがほしいから。とくにプレミアカードを手に入れたいから」
「100円だけどカードがついているなら安いと思うから」
「楽しそうだから」

「買い物名人としてこれからみんなが買い物をする時にどんなことに気をつけて選びますか」と聞くと、「いろいろな商品がいっぱいあるから自分に必要なものを買うようにする」
「お店も工夫しているから、チラシや看板だけではなく、商品も見るようにする」
などの意見が出てきました。

  • 買う前に商品をよく見て選ぶ
  • 自分の実態に応じた商品を選ぶ

班での話し合いの活動を通して、商品の表示から情報収集したり、目的と照らし合わせて考えたりすることの大切さに気付かせることができた。

3.学習の振り返り

「わたしは、やっぱり賞味期限が長いものをこれからも買おうと思いました。」
「ポテトチップスでも、いろいろなふくろの大きさやカードなどがあって、買う人が食べやすいくふうをしていることがわかりました。」
「これからは、ポテトチップスのうらとかをちゃんと気にして買ったり、食べたりすることができます。」

本授業を通して感じたこと

この授業を通して、児童は、ふだん家族と買い物をする際に言動をよく見ており、日々の生活の中でそれを身につけているということが分かった。しかし、生活経験によるものも大きく個人差も見られたが、身近なポテトチップスを買うという課題設定をしたことで、活発な意見交換が子どもたちからできたと感じている。その後の給食の時間には、給食に出る牛乳パックの包装に興味をもち、
「賞味期限が早い」
「200ml入っているよ」
と、熱心に商品を観察する姿が見られた。
これからも、自分の生活と食のつながりを意識できるような食育に取り組んでいきたいと思う。

授業の展開例

〇商品に表示されているバーコードにはどんな秘密があるのか、スーパーマーケットの見学からさぐる。

井上 博子(いのうえ ひろこ )

臨時講師。日々、児童の小さな発見や成長を目の当たりにして、児童の可能性を感じている。児童が主体的に活動し、楽しんで学びに取り組む授業づくりを目指し、日々研鑽を積んでいる。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学文学部教育学科 専任講師 小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

監修:藤本勇二/文・井上博子/イラスト:学びの場.com編集部

※当記事のすべてのコンテンツ(文・画像等)の無断使用を禁じます。

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