2019.01.23
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『いつもの暮らしに"もしも..."の備え』~お台所で防災クッキング~ 【食と防災】[小5・親子交流会]

食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイディア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子ども達の興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第146回目の単元は「『いつもの暮らしに"もしも..."の備え』~お台所で防災クッキング~」です。

最近、地震が起こったり、大きな台風が連続で来たりと自然災害の恐ろしさを目の当たりにしています。家の倒壊の心配がない場合、避難所ではなく自宅での避難生活をすることになります。災害が起こったら大変だと理解していても何を準備し、どう行動すべきかを家族で考える機会が少なく、自助の大切さを考えなければなりません。

この授業では、災害にあった時、命を守るために何ができるのか、自分たちでできる事は何か、1週間をどう乗り切るかを親子で考え、実際に調理実習を行い、災害時のクッキング法を紹介しました。小学校で取り組んだ2時間の授業を紹介します。

◇指導計画 全2時間

第1時
・地震が起こり、ライフラインが止まった時を想定し、するべき行動と気を付ける事を考える。
・体調を壊さずに1週間をどう乗り切るか、ローリングストック法や常備しておく物を考える。
第2時
《調理実習》 
・パッククッキングの紹介(ビニール袋で炊くご飯・野菜カレー)
・茹でないスパゲッティ
・広告で紙食器を、アルミホイルでカップを作成
・試食
《防災グッズの展示紹介・見学》

1. 地震が起こったらどうなる??

授業は、『自宅にいる時に、地震が起きた!!をイメージし、命を守るための行動を考えてみる』から始まりました。頭を守る…家族の安否確認…火を消す…手・足を守る…等、基本動作を確認し、ライフラインが止まった時、どうなるかを考えました。
子どもたちからは、「掃除機使えないから掃除どうしよう」「手が洗えない」「お腹すいても料理できない」等、たくさんの意見がでました。そして、体調を壊さず、乗り切るために衛生面や精神面を考えました。災害時はたくさんのストレスから、便秘や下痢になりやすくなります。トイレも水が出ないのでとても不便ですし、体調を崩して他の人に病気を移してもいけません。体調を崩さない為に、食中毒にならないよう、素手で食べ物を触らない・期限切れのものは食べない等伝えました。

2.何から始めよう??

農林水産省では、『日頃から最低3日間、できれば1週間分の家庭での備蓄に取り組むのが望ましい』とされています。この1週間を乗り切るアイデアとして、冷蔵庫の上手な使い方や、ローリングストック法を紹介しました。
さらに、「乾物はお家のおかずにでてくるかな??」の問いかけに、子どもたちからは、「給食では食べるよ」「あんまりうちでは食べないな…」という反応。普段から食べ慣れておくといいことを伝えます。
また、「じゃがいもや人参はいつもお家にあるかな??」と聞くと、冷蔵庫に入ってる気がする」「入れなくてもいいんだ…」の声、「スーパーで並んでる場所を見ると、冷蔵庫に入れる食材と入れなくていい食材がわかるよ!!」と説明します。
長期保存がきく缶詰や乾パン等、食べないで備えるのではなく、乾物や常温保存できる野菜を日頃から食べ慣れ、なくなったら買い足す。そうした『食べながら備える方法』を知り、いつもの暮らしに自然と備える大切さを理解してくれたようです。

3.調理実習

2時間目は、災害時の心得を踏まえて、調理実習を行います。次のようなメニューを紹介しました。

【ポリ袋で炊くごはん】【野菜カレー】

パッククッキングという、ポリ袋に食材をいれ、湯せんで火を通す調理法で実際に作ってもらいました。
湯せんで使う水は、風呂の残り湯や川の水でも大丈夫!!調理に使う水だけで節水ができ、一人ずつ個人調理ができる方法です。

【茹でないスパゲッティ】

たくさんのお湯を沸かして茹でるスパゲッティを、茹でずにフライパン一つで作る簡単パスタです。作り方を見てもらいました。

【紙食器とホイルカップの作成】

新聞広告紙で紙食器を折ります。船形に折り、ラップを敷けば、カレーライスの器ができあがり♪
アルミホイルをコップの底で形取り、小さいカップのできあがり♪パスタの入れ物になりました。

自分たちで作ったカレーライス。「ビニール袋で本当にできてる!!」「野菜しか入ってないのにカレー美味しい!!」「少しだけの水しか使ってないのにすごい!!」など意見がでてたくさん食べていました。「紙食器だと洗わなくていい!」「ゴミが出ないね!」と子どもたちは、気付いてくれました。

4.防災グッズの展示紹介・見学

お家にはどんなものが用意されているの??どこに置いてあるの??持てる重さかな??等、親子で災害について話すきっかけになりました。
小学生にわかりやすい、地震についての学習プリントを作成しました。

後日、担当の先生から子どもたちの感想を頂きました。災害について、家族で話すきっかけになったようです。わざわざ備えるのではなく、普段の生活からできる事を考える機会になったのではと感じています。

授業の展開例

○家庭でストックしてある食材の量を調べて、何日分あるか在庫を調べたり、期限のチェックをしたりしてみよう。
○家庭の防災グッズの中身や重さ、そしてどこに置くのがいいかを調べてみよう。
プロフィール

松尾 美知枝(まつお みちえ)

子どもの通う、京都市伏見区にある睦美幼稚園で、幼児期からの五感で学ぶ体感食育「キッズキッチン」と出会い、インストラクターの資格を取得。
自分たちで育てた野菜を収穫し、お昼ご飯を自分で調理し、味わう…までの体験型食育を3歳児から、クラスを専属で担当している。
未就園児の親子教室や、小学生対象の料理教室「キッチンラボジュニア」も開催。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学文学部教育学科 専任講師 小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

監修:藤本勇二/文・松尾美知枝/イラスト:学びの場.com編集部

※当記事のすべてのコンテンツ(文・画像等)の無断使用を禁じます。

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