K先生は、どうしてこんなにも献身的で謙虚で前向きなんだろう。そんなことをずっと思っていた。3月23日、彼の最終勤務日。別れのあいさつの中で、その答えが分かった。
「私は、幼い頃から両親や先生に『人のためになることをしなさい。尽くしなさい。』と言われ続けてきた。それが体に染み込んでいる。教員派遣の話があったとき、行かずにはいられない気持ちになった。」
K先生のこの言葉を聞いて、彼の行動の「もとになるもの」が分かったような気がした。彼は、教員派遣の募集に条件反射のように反応し、自ら手を挙げ、自分の学級を離れて宮城にやってきた。自分の学級を離れることには相当な覚悟が必要だっただろうに、彼の中では被災県への応援が今の状況の中で「人のために尽くす」ことの最大の判断基準になったのだ。
絆、助け合い、がんばろう○○○……。テレビやインターネット、新聞、雑誌、そして街中にもそんな文字があふれている。それらの意味を私たちはどう受け止め、行動に移しているだろうか。スローガンを言うことはだれにでもできる。問題は、それぞれの立場で自分ができることの最大限を考え、具体的な行動としてアクションを起こすことである。そんな思いをいっそう強くさせてくれたのはK先生のおかげである。
教員の最大の使命は、子どもたちに「力をつける」ことだ。それは、日々の指導を通して、子どもたちに人として大切なことを「染み込ませる」こととも言える。自分ができることがあれば、条件反射のように行動できる、そんな大人になってほしい。20年後、30年後、この登米市、そして宮城を支えるのは、間違いなく目の前の子どもたちである。あらゆる知恵を総動員し、「人のために尽くす」ということが当たり前のこととして行動できる、そんな子どもたちを育てていくことが私たちの仕事だ。
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