2012.03.27
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【先生たちの復興支援】東久留米市立神宝小学校 教諭 荒畑美貴子さん 「福島の子どもたちへのプレゼント」

今回は、東京都の東久留米市立神宝小学校 教諭 荒畑美貴子さんの復興支援活動です。

2月の末に、クラスの子どもの一人が、20本ほどの鉛筆を持ってきてくれました。低学年の頃に買ってもらった、キャラクター模様でBや2Bの未使用の鉛筆は、中学校では使わないから寄付したいという申し出でした。

とても嬉しい話だったので、これを被災地に送ってはどうかと話しました。その後、その話を聞いていた他の子どもたちが、同様の鉛筆を持ち寄ってくれました。次第にその数が増えて、200本ほどになりました。

隣のクラスにも呼びかけたところ、鉛筆はさらにたくさん集まりました。消しゴムや、ノートなども持ってきてくれました。
そこで、鉛筆だけではなく、手作りの小物を贈ってはどうかと、提案しました。
 私は以前、フェルトで作った小物が、被災した子どもたちの心を癒すというニュースを聞いていました。フェルトの小物なら家庭科で学習したので、6年生にも作ることができます。そこで、小さな子どもたちがままごとで使えるように、野菜や果物、人形やバッグなどを作って、鉛筆などの文房具と一緒に、福島の保育園にプレゼントすることにしました。

材料は、保護者の方に協力してもらえるように、子どもたちがお手紙を書きました。教師にも呼びかけて、フェルトや綿、布や毛糸を持ち寄ってもらいました。

さて、これらの贈り先を探そうと思い、友人が新聞記者であることを思い出して連絡を取りました。しかし、どこが窓口なのかはっきりしないという返事だったので、私の実家の傍にある、福島市のあづま保育園に問い合わせて、贈らせてもらうことにしました。

園長さんがおっしゃるには、福島の人たちは、何がほしいといった意思表示をしないことが多いのだそうです。でも、鉛筆や小物、絵本などは贈ってもらえたらありがたいとおっしゃってくれました。

中学校を卒業して30年以上が経ち、久しぶりに連絡をとった新聞記者の友人は、福島の様子を知らせてくれるメールを送ってくれました。その内容が、あまりにも心を痛める内容だったので、ご紹介します。

「県内は一年たっても放射性物質の除染がさっぱり進まず、復興の『ふ』の字も感じられません。
 既に放射性物質の飛散はなくなり除染が進めば前を向けると、みんなが思っているにもかかわらずです。
 低線量被ばくの恐ろしさは、健康影響以前に、目に見えぬことへの不安と苛立ちによって、人や地域、そして家族の絆さえもが断ち切られてしまう点にあると思います。
 避難する人と残る人、東電関係者と無関係の人、農家と消費者、汚染地域とそれ以外の地域…。誰かを悪者にしたり、差別したり、危険視したり…。
 今、そうしたことが県内から県外に広がっているように感じます。
 放射能との闘いはこれから三十年以上続きます。子どもたち一人一人が、他人を思いやる純粋な気持を持ち続けてくれればと思います」

さらに、友人との電話からは、福島の人たちが見放されているのではないかといった不安感すら感じました。私のできることは微力ですが、決してふるさとである福島を見放すことはないと、その決意を伝える情報を発信し、できることを続けていこうと思いました。

さて、3月19日には、荷物を福島に向けて発送します。24日にあづま保育園の卒園式があるので、その日に間に合わせるためです。

東京の子どもたちも、一緒に卒園を喜んでいること、福島のみなさんを思いやっていることが伝わってくれれば幸いです。

今回の活動は、3月16日付の朝日小学生新聞にも紹介されました。多くのみなさんが、小さな支援を長く続けてくれるようにと願っています。

そして、福島ならびに、東日本の被災地のみなさんの、一日も早い復興を、心から祈っています

文・写真:荒畑美貴子

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