2012.02.02
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利府町立しらかし台小学校 校長 永山 伸樹 「『区切り』をどこで」

第二十五回は、宮城県の利府町立しらかし台小学校 校長 永山 伸樹さんの執筆です。

4月7日に被害を受けた南校舎がようやく修理が終わり引き渡される運びとなりました。実に300日ぶりです。工事期間中覆われていた南校舎が先日からその姿を表しはじめました。イメージではすっかりきれいになるのかな、と思っていたのですが、あくまで修理ですのでそこは期待できないですね。

しかし、南校舎ができて、子どもたちを今の北校舎特別教室での授業から、1クラス1教室の本来の姿に戻すことができるのですが、北校舎、東校舎、渡り廊下、プールの工事はこれからが佳境です。落ち着くのはまだまだ先になることかと思われます。 今年度も残すところ2ヶ月足らずとなりますが、どこで「よし、これからは日常の教育活動だ」と区切りをつけたらいいのかな、とふと考えてしまいます。おそらくこんな思いを被災校はどこでも感じているのではないかと思います。

普通教室に戻ったからといっても、北校舎にはこれから足場も組まれますし、校庭にはまだ工事用のスペースが残り、プールの工事で遊具にも近づけなくなります。すべてが終わったなら本当の『区切り』になるのですが、この区切りをしっかりとしないことには、どこかしら中途半端にすごしてしまいそうな気がしてなりません。 年度内に何かしらの区切りをつけて23年度を終わりたいところです。

でも、普通教室に戻ることができる、ということは、6年生が自分たちの教室から巣立つことができる、という当初の願いが叶うことにもなります。1年生にも2クラス一緒が「これが当たり前」ではないことを知らせることもできます。本当に大きな事なので、これを『区切り』とすることが今のところベストなのかなとも思います。南校舎に移った後に行われる学習参観・懇談会で保護者にもその様子をお見せすることができます。 これだけの大きな震災だったのですから、一度の区切りでは区切ることができないのかもしれません。
この文章を作りながらそう思うことにしました。

さて、4月は子どもたちのいないところで無我夢中で北校舎への荷物の移動を行ってきましたが、今度は授業を途切らせることなく、南校舎への移動をしなければなりません。今、教頭先生が引っ越し計画に頭を悩ませています。町内学校からは手伝いの申し出ももらいました。PTAも手伝いの協力を約束してくれました。北校舎へ移ったときとは違い、心が躍る引っ越しとなりそうです。

この寒波で仮設住宅では水道が凍って、溶けないそうです。東北の冬は寒いのが分かっていながら、そこまでの気配りができなかったのは、いくら応急措置での仮設住宅とはいえ少々残念ですね。
もうすぐ11ヶ月目を迎えます。毎回のことですが、早い復興を願うばかりです。

平成24年1月31日

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