2011.12.08
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登米市立登米小学校 教諭 皆川 寛 「防災教育の充実に向けて」

第二十一回は、宮城県の登米市立登米小学校 教諭 皆川 寛さんの執筆です。

東日本大震災から9ヶ月が経過しました。復旧工事が本格的に始まっているとはいえ、内陸部の登米市でさえ、道路の凸凹は数多く残っており、以前のような姿を取り戻すのはまだまだ先になりそうです。しかし、宮城県では復興に向けてさまざまな予算措置を講じ、具体的な方針を打ち出しており、それに応じて各市町村でも一歩一歩着実に前進していることを肌で感じます。

宮城県教育委員会では、平成24年度から防災教育担当の教職員を全公立校(小・中・高等学校)に配置することを決めました。それに伴い、12月から来年1月にかけて県内3ヶ所で研修会が行われ、東日本大震災の際の被災校の対応や地震・津波の基礎知識を学ぶことになっています。

学校では、これまでも地震や火災、津波を想定した訓練を繰り返し実施してきました。ただ、昭和53年の宮城県沖地震から30年以上も経過し、近い将来大きな地震があると言われていても、災害への恐怖心が薄れ、訓練そのものもマンネリ化していた部分が一部あったかもしれません。自分自身の指導を振り返ってみても、訓練の際には避難経路や避難に要する時間、子どもたちの態度などばかりに目が向いてしまい、災害時の臨機応変な対応、保護者への引き渡し方法、家族との連絡手段、避難所、水や食糧・燃料の確保など、より具体的で現実的な指導が不十分だったことを反省しています。

防災教育の進め方は、沿岸部や山間部など学校の立地条件等によって異なると思いますが、この大震災の経験を十分に踏まえ、より具体的で実効性のある防災計画を学校と地域が一体となって立案することが重要だと考えています。

今でも、余震があるたびに子どもたちは敏感に反応し、素早く机の下にもぐります。ほんの少しの揺れでも、子どもたちは9ヶ月前のできごとを思い出すのです。目の前の子どもたちの命を守るためにも、あらゆる事態を想定し、できる限りの準備を整えることで、防災教育の充実を図りたいと思います。

平成23年12月9日

【参考URL】
登米市立登米小学校

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