2011.10.13
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登米市立登米小学校 教諭 皆川 寛 「ICT活用で子どもたちの『学び』を確かなものに」

第十六回は、宮城県の登米市立登米小学校 教諭 皆川 寛さんの執筆です。

4月以降、本校では授業におけるICT活用が急速に広まってきた。3年前、全教室に大型テレビが設置されたものの、有効に活用されているとは言えなかった。しかし、現在では大型テレビに実物投影機やコンピュータ、デジカメなどを接続し、さまざまな教科でICTを効果的に活用している様子を多く見るようになった。これには、大震災の影響が少なからずあるのだろう。

大震災に伴い、宮城県内では多くの学校で平成23年度のスタートが大幅に遅れた。中には、5月の連休明けに新年度がようやく始まった学校さえある。本校は、幸いにも1週遅れで新年度のスタートを切ることができたが、それでもカリキュラムを計画的に実施するためには、あらゆる面での工夫と効率化が求められた。そして、何よりも震災で心に傷を負った子どもたちを学習に向かわせるための指導、「やる気」を引き出すための指導が重要になった。ICTは、こういう場面で効果を発揮することに先生方は気付き始めた。

例えば、授業の導入場面では「フラッシュ型教材」を活用する。わずかな時間で、前時の復習ができる。しかも、友達と一緒に大きな声で答えを発表するだけで、学習への意欲が一気に高まる。長さのはかり方、コンパスの使い方は、担任が実物投影機を使って「模範」を示す。子どもたちは、大型テレビを見ながら一緒に作業する。ノートに書いた自分の考えを発表するときには、実物投影機を使って説明する。担任は、口頭だけでの説明が難しい場面でデジタル教科書のシミュレーション機能を使って子どもたちの理解を確かなものにする。この他にも、ICTの効果的な活用場面がたくさんあった。

これらはすべて、子どもたちの「学び」を確かなものにしたいという担任の思いが具体化したものである。限られた授業時数の中で、子どもたちの学習意欲を持続させつつ、基礎・基本を徹底させるためには、これまでも行ってきた子どもたちの実態把握と教材研究だけでなく、“プラスαの工夫”が求められる。本校では、そこにICTが無理なく効果的に位置付いた。本校の先生方は、どんな場面でICTが無理なく無駄なく効果を発揮するのか、試行錯誤しながらも常に意欲的に実践している。子どもたちに力をつけるための授業改善は、これからも続いていく。

平成23年10月8日

【参考URL】
登米市立登米小学校

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