2011.08.25
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南三陸町立歌津中学校 校長 阿部 友昭 「5か月遅れの第64回卒業式 ~(イ)のつく言葉『命』『意志』『今』~」

第十回は、宮城県の南三陸町立歌津中学校 校長 阿部 友昭さんの執筆です。

8月13日、5か月遅れの卒業式がやっと行われました。
 その式で、卒業生を始め、在校生、来賓、保護者、地域の方、ボランティアのみなさんなど、多くのご出席いただき挙行された卒業式の式辞を紹介いたします。

歌津中学校第64回卒業生として巣立つ72名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
 本日は、PTA会長様をはじめ、日頃ご協力をいただいております多くのご来賓の皆様のご臨席を賜わり、若人の門出をお祝いくださいますことに厚く御礼申し上げます。

保護者の皆様、これまでいろいろなご苦労があったことと思いますが、お子様のご卒業を心からお祝い申し上げます。また、3年間、本校の教育活動に、ご理解とご協力を賜りましたことに深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

卒業生の皆さん、皆さんは9年間にわたる義務教育を修了しました。このことは、まず皆さん一人一人の努力の積み重ねによるものであり、とてもすばらしいことです。しかし、今日に至るまでの間、ご家族や地域の皆様方など、多くの方々の支えがあったことを忘れてはなりません。そうした方々に感謝の心を持つことが大切なことです。

「若竹の 伸びや 日の恩 土の恩」

さて、卒業生の皆さんにこれから大切にしてほしい(イ)のつく言葉を三つ贈ります。
 まず初めのイは「命」です。たった一つしかないかけがえのない命、たった一人しかいない自分、たった一度しかない人生、自分を真に輝かせることができるのは、世界中に自分一人しかいません。「唯一無二」。人生とは生きることです。生きているうちには、悲しいことや苦しいこともありますが、家族や友達、多くの人々と楽しく過ごすこともできます。自分の夢や希望を叶えることができるのです。生きることのすばらしさ、生きていることの喜びをしっかり味わって、自分らしくたくましく生き抜いてください。

二つめのイは「意志」です。意志とは、物事を成し遂げようとする心の働きです。人間は誰でも、よりよく生きたい、自分の可能性を試したい、自分の能力を最大限に伸ばしたいという願いを持っています。これらの願いを実現させるためには、目標を立て、強い意志を持って考え、努力することが大切です。「We can fly」「気づき、考え、実行する」。できることから実践することが大切です。

三つめのイは「今」です。過ぎ去ったことにくよくよしていても、どうにもなりません。また、これからのことをああでもないこうでもないと考えていても不安になるばかりです。そのようなことで決して落ち込んだりしないことです。大切なのは、今、このときです。今、このときを、真剣に一生懸命生きること、今できることを精一杯明るい気持ちでおこなうことが大切です。「チャンスをつかめ」。「今」というこのときは、もう二度と帰ってきません。どうか一日一日を大切に、自分を磨いていってほしいと思います。

結びに、卒業生の皆さんの健康と洋々たる前途に幸多かれと祈りまして、南三陸町町民憲章を詠い、式辞といたします。

海のように 広い心で
魚のように いきいきおよごう

山のように豊かな愛で
繭のようにみんなをつつもう

空のように澄んだ瞳で
川のように命をつなごう

大きな自然の手のひらに
いだかれている町 南三陸


平成23年8月21日

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