宮城県登米市は、南三陸町や気仙沼市をはじめとする被災地へ向かう自衛隊や警察、消防の拠点となっている。朝、学校へ向かう通勤途中、被災地へ向かう何十台もの自衛隊や警察の車両とすれ違う。『3・11』以前には想像もしなかった光景だ。警察車両のナンバーには、「鹿児島」「熊本」「宮崎」「広島」「岐阜」などの文字。全国各地からの支援をいただいていること、そして日本が一つになっていることを実感する。 |

震度6強だった。すべてのライフラインが絶たれ、学校機能が止まった。翌週から10日間の臨時休業が決まる。職員は、児童の安全確認、通学路点検、自転車での家庭訪問、校舎の点検・片付け、そして学年末の仕事に追われる日が続く。水道、電気、ガス、電話、ガソリンがない状態での業務遂行がしばらくの間続いた。
3月24日(金)、1週間遅れの卒業式。6年担任として、子どもたちの門出を見とどけることができて胸をなで下ろす。


先日、2年生の子どもたちは生活科の学習で「町たんけん」に出かけた。学校前の国道は、自衛隊車両が頻繁に往来する。子どもたちは自衛隊車両を見つけると、「ありがとうございます。バイバーイ!」と元気に手を振って頭を下げた。この子どもたちは、登下校中もこうやって手を振って頭を下げているのかと思い、感心した。2年生の子どもたちだって、自衛隊の皆さんがどれだけ過酷な任務に当たっているのか、メディアを通して十分に認識しているのである。

子どもたちがあいさつをすると、自衛隊車両の窓が開いた。子どもたちの大きな声に応え、力いっぱい手を振る自衛隊員の表情は、やわらかく温かかった。自衛隊車両は、被災地へ向けて力強く走り抜けていった。
平成23年6月29日
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