2005.11.22
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地震発生、そのとき学校は(第2回)

前回に引き続き「地震発生、そのとき学校は」第二弾。今回は地震発生"その後"について考えてみたいと思います。「学校は子どもたちの安全を確保し、無事保護者に引き渡す」。地震発生後の学校の対応としては当然想定されていることの一つです。しかし、それは果たして本当に可能なのでしょうか?

先月、子どもの防犯ワークショップを開催しました。連続して行う防犯ワークショッププログラムの最後、「6年生が1年生に防犯を教えるプログラム」を行ったのですが、ワークショップを終えたあと6年生の子が「1年生の質問が鋭かった。本当に質問の状況になったらどうしたらいいのだろう」「どう答えればわかってくれるのだろう」と悩んでいる姿が多く見られました。危機管理は観察、状況判断、決断の力が物を言います。きっと彼らは見えない答えと戦い、成長したことでしょう。

さて、今回は前回に引き続き「地震発生、そのとき学校は」第二弾です。阪神、新潟の両地震発生時は学校の授業時間中ではなかったため、学校で子どもが怪我をする事態はほぼおきていません。しかし、次の地震がそうとは限りません。授業時間中、しかも休憩時間だったらどうなるのかというのを前回考えてみましたが、今回はその後です。

地震がおさまりました。怪我をしている子どもたちは少なくないでしょう。また、職員にもけが人が出ているかもしれません。このような状況における学校では、まず救助と避難、けが人の手当てを行っていくことになります。30分、1時間と経てば近所から避難民が学校に押し寄せてきます。そして保護者もわが子を引き取りに来ることでしょう。
避難民が押し寄せる中、いかに子どもたちの安全を確保するのか。保護者にどうやって引き渡すのか。この辺はもう考えていることでしょう。しかし、いろいろな状況を考えるとこれ以前の問題が出てきます。

「保護者に引き渡す」、地震発生時には当たり前と考えられていることかもしれませんが果たして可能でしょうか。現在、両親とも働いている家庭は少なくありません。その上、近くに親族もいないなんていう家庭も少なくないはずです。地震発生時において今問題となっているのが「帰宅難民」の問題です。帰宅難民とは、職場で被災し、自宅まで帰れない人たちのことです。両親とも帰宅難民となった場合、どうやって引き渡すのか、いつまで子どもたちを保護するのか。

学校の先生方も被災者なのです。先生にも家庭があり、子どもがいる人もいます。どこまで出来るのか。理想でいえば保護者が来るまでというところでしょうが、果たして本当に可能でしょうか。これは学校側だけの問題でなく、行政や保護者の方々にも考えてもらいたいと思います。

現在、被災した際には家族まで含めて安否確認を行うという企業が増えてきています。なぜかといえば、被災して家族の安全が確認できないのに企業活動を継続することを求めるのは難しいとの判断からです。学校と企業は違うといわれるかもしれませんが、働いているという点では同じです。学校の先生もおなじ悩みがあるはずです。
ちなみに大地震発生時に一日で歩ける距離は10~20キロ程度といわれています。皆さん、歩いて帰れますか? 自分の職場と自宅の距離を地図で確認してみてください。
次回は避難場所についてお話します。

(イラスト:じえじ)

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