理科教材やSTEAM教材、クラウド型画面モニタリングシステム、学びの多様化 New Education Expo 2026 リポート vol.2

今年で31回目を迎えた教育業界最大級のセミナー&展示イベントNew Education Expo 2026 東京。6/4~6の3日間で約7,200人の教育関係者が来場した。vol.2では展示ゾーンから、ウチダの理科教材の新製品やSTEAM教材、クラウド型画面モニタリングシステム、学びの多様化を支える空間提案などを紹介する。なお、いずれの製品も6/12~13に大阪会場で見ることができる。
UCHIDA SCIENCE
実物とデジタルで、理科の探究的な学びを支える
探究的な学びが重視される中、理科教材にも新たな工夫が求められている。UCHIDA SCIENCEブースでは、リアルとデジタルの両面から観察・実験を支える新製品が紹介された。5点リポートする。
一瞬の電流をリアルタイムにグラフ化する
①サイエンスWebセンサー電流 電磁誘導実験セット
「サイエンスWebセンサー」シリーズに、電磁誘導の実験セットが新たに加わった。コイルに磁石を出し入れする瞬間の電流を、縦軸に電流、横軸に時間を取ったグラフとして、UchidaScienceWeb上に即時に表示する。
従来は電流計の針の振れを観察していたため、一瞬の変化を記録しづらく、定性的な実験になりがちだった。この教材ならリアルタイムに画面上でグラフ化されるので、磁石の動きと電流の変化を定量的に観察できる。計測したデータを保存できるので、他の班と共有したり、まとめ資料にも使いやすい。
なお、UchidaScienceWebの顕微鏡用Webアプリにも、上下左右を反転させる機能や、ミクロメータースケール表示機能が追加された。
本物の虫を、安全に360度から観察できる
②樹脂封入虫標本セット
昆虫観察に最適な、樹脂封入標本も新たに登場した。チョウ、バッタ、ダンゴムシ、ハチ、クモなどを透明な樹脂に封入し、手に取ってさまざまな角度から観察できる。
生きた虫は動くため細部を見づらく、ハチやクモは安全面から扱いにくいという課題があった。安全に扱える本物の標本があれば、虫が苦手な子供も観察に向き合いやすくなる。
採択している教科書に合わせて選べるように、3種類のセットが用意されている。
火を使わずに、必要な温度を保つ
③湯せんポット
理科の実験では、60℃や80℃など、沸騰する手前の一定温度のお湯や液体が必要な場面が多い。しかしコンロで加熱するのでは熱くなりすぎたり、火を止めると冷めるという課題があった。
この湯せんポットは45℃から100℃まで5℃刻みで温度を設定でき、温度が下がると自動で再加熱する。ビーカーや複数の試験管を固定するためのホルダーも用意されている。小学校の「もののとけ方」や中学校の析出の実験など、温度管理が必要な場面で活用できるだろう。火を使わず電気で温めるため、安全面でも心強い。
観察しながら、二段階で温度をキープ
④ビーカー保温器
温めた液体を一定温度で保つビーカー保温器は、学校現場で広く使われている定番製品だが、今回新たに、保温する温度を2段階で切り替えられるタイプが加わった。教科書によっては、温度条件を変えて比較する実験が掲載されており、それに対応した実験器具を求める学校現場からの声に応えた形だ。
ビーカーをそのまま置いて使うため、液体の様子を周囲から観察しやすいのも特長だ。温度条件を保ちながら、溶け方や析出の変化をじっくり見取れる器具といえる。
宇宙のスケールを身体で感じる
⑤地球・月・太陽 1億分の1モデル
天体学習では、宇宙の大きさや距離を図や数字だけで実感するのは難しい。この1億分の1モデルは、直径13cmの地球儀、直径3.5cmの月モデル、地球と月の距離を示す3.85mのリボン、太陽の直径14mを再現する44mの円周ロープで構成される。
地球と月のモデルを実際に試してみると、両者が想像以上に離れていることがよくわかる。また、体育館や校庭で太陽の円周ロープを広げれば、太陽の圧倒的な大きさも体感できるだろう。教科書上の知識にとどまりがちな宇宙のスケールを、身体感覚を伴って理解できる教材だ。
N-E.X.T. (ネクスト)ハイスクール
文部科学省は、GIGAスクール構想(Global and Innovation Gateway for ALL)の高校版・発展版とも言うべき、2040年に向けた「N-E.X.T. (ネクスト)ハイスクール構想~New Education, New Excellence, New Transformation of High Schools~」を打ち出した。
理数系人材育成強化のためのSTEAM教材や、多様なニーズに対応した教育機会・アクセス確保のための遠隔授業向け設備などが各社から提案されている。
ウチダのSTEAM
STEAM収納
STEAM収納は、3Dプリンターや大型ディスプレイ、プロッター(印刷や加工のための機械。設計図や地図などを高精細に出力できる)などのICT機器の使用も想定した新しい収納シリーズで、工具などを展示保管することで、教室をわくわくする空間にできる。
幅広い素材に対応した高速レーザーカッター
xTool F2 Ultra
数あるレーザーカッターの中でも、「xTool F2 Ultra」はSTEAM教育の実践に最適な製品だ。金属、木材、アクリルなど300種類もの素材に対応しており、付属のコンベアで作業エリアを拡張すれば長い素材の加工も可能。AI搭載で操作が簡単な上、高速で精密に加工できるので、クラス全員が授業時間内に作業を完結できる。
実際に金属の名刺プレートに名前を彫ってもらったが、加工時間はたったの10秒。素材の検出、設定、プレビューなどの時間を入れても、ものの30秒ほどで完成した。
安全性も申し分なく、カバーの開閉や傾きなどを検知して自動停止するセンサーを搭載し、緊急停止ボタンも設置されている。
データ収集から分析・活用まで学べるプログラミング教材
SchooMy(スクーミー)
データの収集から分析までを一貫して行えるプログラミング教材「SchooMy」も注目を集めていた。手のひらサイズのボード(IoT エッジデバイス)に専用のセンサーをUSBでつなげるだけで、距離、明るさ、磁気、湿度、音など多様なデータの収集が可能。プログラムも指令ブロックを組み合わせるだけなので、先生は「授業でいかに活用するか」に集中できる。
小学校から大学まで幅広く導入されているが、高校であれば情報Ⅰ・Ⅱ、総合的な探究の時間をはじめ、 教科横断的な授業に活用できる。具体的な活用事例を紹介した授業用ワークブックが用意されており、初めて扱う際も安心だ。
学校のオープンスペースにボード、センサー、説明書をセットした棚(写真右・SchooMy SPOT)を設置する形での導入が進んでいる。生徒が授業外でも自由に触って学び、科学的思考力を養うことができる点も魅力と言えるだろう。
AIとプログラミングを体験的に学べる
レゴ®エデュケーション コンピュータサイエンス&AI
4月に別記事でも紹介した、小学校低学年から中高生まで幅広く活用できる教材「レゴ®エデュケーション コンピュータサイエンス&AI」も展示されていた。
カメラの前で手を上げ下げすると、ロボットが真似してくれるので、是非体験いただきたい。
コーディングを段階的に学べるプログラミング教材
bsd for School 高校版
PC内で完結するプログラミング教材として、香港発のプログラミング教育プログラム「bsd for School 」の高校版がリリースされた。AI、データサイエンス、Web3.0、アプリ制作、データ分析など、様々なデジタルテクノロジーを体系的に学び、生徒の創造性を伸ばしつつ社会で活かせる実践的なITスキルを育成できる学習教材で、世界59カ国で利用されている。
Webブラウザ上でHTML、CSS、JavaScript、Pythonが動作するため、「学習言語のインストール」「エディターのインストール」「仮想環境の構築」など、プログラミング学習用の実行環境構築は不要で、コーディングの誤りをAIに指摘してもらえる機能もある。
基礎から応用までレベルに沿って段階的に学ぶことができる教材なので、情報科だけでなく、数学・理科・芸術など、教科横断授業、探究型の課外活動のほか、自習教材や、補習教材にも活用できる。また、生徒の学習進捗状況を管理できるLMS機能があり、教師は各生徒が、制作中の作品・完了したコンテンツや、クラス全体の進捗状況を参照することが可能だ。
対面でもオンラインでも、学習者の端末画面を一覧で確認できるクラウドサービス
RealCAST(リアルキャスト)
「インターネットでの調べ学習など、デジタルワークシートの外での様子も把握したい」「オンラインでの参加者も含め、個別最適な学び・協働的な学びを充実させたい」ーー学習者の端末画面を一覧でモニタリングできるクラウド型システム「RealCAST」は、そんな教育現場の声に応える製品だ。このシステムを活用すれば、対面・遠隔を問わずクラス全員の学習の様子を把握しながら授業を進行し、個に応じた指導を行うことができる。大型スクリーンに全員の端末画面を提示して意見交流を促すことも可能だ。
使い方は、授業URLを配布するだけ。マルチOS対応で常駐アプリのインストールも不要(iPadのみ専用アプリが必要)なため、GIGAスクール端末はもちろんBYOD端末での授業もサポートしてくれる。単体でも利用できるが、学習eポータル「L-Gate」などのLMSと組み合わせればユーザー登録が省略可能と、導入ハードルの低さも嬉しいポイントとなっている。
遠隔授業や体育館などで使いやすいワイヤレスアンプ
AmpliWave Go
持ち手の付いたスピーカーは約3kgで、1回の充電で最大8時間使える。クリップ付きの充電式ワイヤレスマイクが2個付属している。
音楽や音声教材を再生中にマイクで話すと、自動で一時的に音源の再生音量を下げて、マイクの声を聞こえやすくする「ボイス優先モード」が付いており、運動会の指導などにも便利だ。
多様な学びの実現
窓のようなパーティションと、見えそうで見えないパーティション
ポスカで書き込みもできる「プチジョイントパーティション・デコパネル」は、草原と青空(写真中央)、森のひかり、朝焼けの海の3つの画像を選べる。裏面はホワイトボードになっている。
「学びの多様化パーティション」は軽量で、グリーンの癒し効果があるフェイクグリーンタイプ(写真右)、児童生徒が自分で調整できるカーテンタイプ、視線を適度に遮るパネルタイプの3種類から選べる。
個別学習環境の整備
個人用の机と課題トレイ
中学・高校生向けに、机上60cmまで囲める「簡易机上ブース・ハイ」も登場した。視界をしっかり遮り、集中しやすい学習環境を作る。(写真中央奥)
「個別学習タスクワゴン」は、A3サイズが開いた状態で入るトレイが5つ付いている。一人ひとり異なるプリント教材などを入れて置くことができる。(写真左)
特別支援学級の一人ひとり異なる登校時間や時間割を見える化
「みんなの時間割(個人用時間割)ホワイトボードセット」は、特別支援学級などで、一人ひとり異なる時間割を見える化できるホワイトボードで、幅120cmの9人用と、幅180cmの15人用がある。
今日の気分・気持ちを貼り、共有することも可能だ。
UCHIDAS
学校・幼稚園/保育園向けの教育用品通販UCHIDASのブースでは、UCHIDAS 祝20th特集(vol.3)で紹介した「ホワイトボードチョーク」のサンプルがもらえる。
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アートマイル国際交流壁画共同制作プロジェクト
「アートマイル国協働学習プロジェクト」は、多様な文化背景を持つ同世代と対話的・協働的に学び合い、学習の成果を『共創』する活動を通して、社会で求められている「決まった答えがない問題を多様な他者と解決する力」や「無から新しい価値を生み出す力」を育てる学習プログラムである。これまでに109の・地域から68.501名の児童生徒が参加している。
今年は、東洋女子高等学校とリトアニアのKursenai Laurynas Ivinskis Gymnasium(クルシェナイ・ラウリナス・イヴィンスキス高等学校)が制作した「責任ある消費を実践することで自然との調和を編む」(写真左)と、宮城県宮城野高等学校とクロアチアのPrivatna Sportska I Jezicna Gimnazija Franjo Bucar(フラニョ・ブチャル私立スポーツ・語学高等学校)が制作した「Connecting Life: A Sea and Land Story~いのちをつなぐ~」(写真右)が飾られていた。
記者の目
次期学習指導要領に向けて、個別最適な学びと探究的な学びは一層重視されていく。その実現には多様な教材が欠かせないが、教員がすべてを自作するには限界がある。子供が目的に応じて自由に選び、学びを進めていく環境を整えるうえで、こうした教材の広がりはとても心強いだろう。
また、STEAM教育や遠隔授業を支援してくれる製品は、教育現場にとって心強い味方だ。これからの時代に必要な学びの実現のみならず、先生方の負担を軽減しながら子どもたちの学習効果を高めることにもつながると期待される。
取材・文:学びの場.com編集部 写真:学びの場.com編集部・New Education Expo実行委員会事務局
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