2018.11.12
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意外と知らない"情報活用能力"(第1回) 情報活用能力とは? 新学習指導要領における情報活用能力

「情報活用能力」という言葉を聞いたことがありますか。もちろん知っている、という方もいらっしゃるでしょうが、中には「教科情報のこと?」、「うちは小学校だから関係ない。」と思う方や「担当教科が違うから意識していない。」、「パソコンは苦手だから、自分には教えられない。」と思う先生方もいらっしゃるかもしれません。今回は、これからの時代を生き抜くすべての子供たちに必要とされている「情報活用能力」について、3回にわたって紹介していきます。
第1回目は、なぜ今情報活用能力が必要とされているのか、また情報活用能力とはどのような能力なのか、について紹介します。

なぜ情報活用能力が必要なの?

情報活用能力と言語能力と問題発見・解決能力が基盤となっている図

2017(平成29)年3月及び2018(平成30)年3月に公示された小学校、中学校、及び高等学校の各学習指導要領(以降、“新学習指導要領”とする)で、「情報活用能力」が言語能力や問題発見・解決能力と同様に「学習の基盤となる資質・能力」として例示されました。なぜ今情報活用能力が必要と明記されたのでしょうか。

昨今、情報技術は急激な進展を遂げ、我々の日常生活に深く浸透しています。その結果、多種多様な情報が簡単に得られるようになりました。この記事も、スマートフォンやタブレットPC、パソコン等のコンピュータで、インターネット技術を使い、場合によってはWi-Fi等の無線LANを活用して閲覧していることでしょう。また、インターネットショッピングや動画共有サイト等の情報技術を駆使したサービスも、日常生活において当たり前の存在になってきています。

これらは既に、大人たちだけでなく子供たちにとっても当たり前の存在となっています。むしろ、生まれた時から存在して慣れ親しんでいる子供たちの方が、当たり前と感じているかもしれません。これからの子供たちは、このような極めて膨大な情報や情報技術そのものを使いこなしていかなければならない、ということになります。
さらに今後は、今は未知である課題や問題を解決するために、これから開発されていく新たな情報技術やサービス等を活用したり、もしかすると自分たち自身で作り出していったりすることになるかもしれません。

子供の周りにAIやドローン等があるイラスト

実際今日においても、家電等のモノにインターネット機能を付与した「IoT」や、遠隔操作可能な無人航空機「ドローン」、従来のシステムでは記録や保管、解析が難しい巨大で複雑な「ビッグデータ」、膨大な情報からコンピュータが自動的に解析・学習する「人工知能(AI)」等、次々に新しい技術ができ、さらにこれらを活用した製品やサービス等も日々生まれています。
情報活用能力は、これらの情報や情報技術を活用するため、また未知の課題や問題を解決するために必要不可欠な力だと言えるでしょう。

情報活用能力育成のためにどうしたら良い?(国としての指針)

このような背景のもと、文部科学省では新学習指導要領の総則の中で、情報活用能力について次のように示しています。
各学校においては,児童(※中学校及び高等学校の学習指導要領では「生徒」)の発達の段階を考慮し,言語能力,情報活用能力(情報モラルを含む。),問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力を育成していくことができるよう,各教科等の特質を生かし,教科等横断的な視点から教育課程の編成を図るものとする。
(「小学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説」P.48より)
様々な教科が一緒に情活能力を育成しようとしているイラスト
このことから情報活用能力は、「学習の基盤となる資質・能力」であるとともに「教科横断的な視点」で育成される必要がある、ということがわかります。「基盤となる」ということは汎用的であり、教科に関わらずどこでも(大人になっても)必要とされる資質・能力ということになるでしょう。それをさらに「教科横断的」に育成するということは、各教科で連携して育成していく必要があるということです。小学校では、各学級の担任が意識して教科間連携することはもちろん、他クラスとの連携をし、中学校や高校では教科担任制ということを踏まえ、教科間で連携をしっかり行い、一つの学校として6年間、3年間で抜け漏れなく情報活用能力を育成していくことが重要になってきます。

パソコンだけじゃない?情報活用能力とはどんな力?

では、情報活用能力とは、いったいどのような力なのか。その定義について確認しましょう。
文部科学省では、新学習指導要領の総則の解説の中で、次のように示しています。

情報活用能力は,世の中の様々な事象を情報とその結び付きとして捉え,情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して,問題を発見・解決したり自分の考えを形成したりしていくために必要な資質・能力である。
(「小学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説」P.50より)

つまり情報活用能力は、予測困難なこれからの社会において、“子供たち自身で問題を解決したり、そもそもどのような問題があるのか発見したり、それらに対する自分の考えを持ったりする”ということを目的とした“情報そのものやICTをはじめとする情報技術を活用する力”ということがわかります。ここでいう“情報”とは、例えば、新聞・書籍・テレビ・インターネットから得られる情報や、家族・友達・先生・近隣の人との会話から得られる情報等、自分で見たり聞いたりして得られる、ありとあらゆる情報のことを指します。
さらに総則の解説を読み進めると、より具体的な内容も示されています。

情報活用能力をより具体的に捉えれば,学習活動において必要に応じてコンピュータ等の情報手段を適切に用いて情報を得たり,情報を整理・比較したり,得られた情報を分かりやすく発信・伝達したり,必要に応じて保存・共有したりといったことができる力であり,さらに,このような学習活動を遂行する上で必要となる情報手段の基本的な操作の習得や,プログラミング的思考,情報モラル,情報セキュリティ,統計等に関する資質・能力等も含むものである。
(「小学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説」P.50~51より)

上の文章を分解してみると、情報活用能力は次の表のように解釈することができるでしょう。
資質・能力
情報の収集 インターネットでの検索、新聞や書籍を使った情報収集、調査・実験・観察、インタビュー、アンケート
情報の整理・比較 観点を決めて情報を分類、絵・図・表・グラフを用いた整理、情報同士の共通点や相違点の比較
情報の発信・伝達 相手や目的を意識した発表、インターネットやSNS等を活用した情報発信
情報の保存・共有 電子ファイルの保存、パソコン上のフォルダ管理、共有フォルダでの電子ファイル共有
情報手段(コンピュータ等)の基本的な操作 キーボードによる文字入力、電子メールを含むデジタルメッセージの送受信、文書作成ソフトや表計算ソフト等の操作
プログラミング的思考 事象の分解や組み合わせ、繰り返し・条件分岐、フローチャート等の手順の表現、プログラムの作成
情報モラル 自分の情報や他人の情報の大切さの理解、インターネットでのルール・マナー・責任、健康面に配慮した情報メディアとの関わり方
情報セキュリティ パスワードの管理、コンピュータウイルス等の情報技術の悪用の危険性
統計 平均値・中央値・最頻値等を用いた情報の特徴や傾向の理解
情報活用能力のイメージ図(包含図)

このように、情報活用能力は非常に多岐にわたった資質・能力であり、必ずしもコンピュータ(パソコン等)を使った内容に限定されません。例えば、自分達の地域の課題を解決するために、地域にどのような課題があるのか、町の人たちにインタビューやアンケートをして、模造紙やポスター等に整理し、市役所の人たちに発表することができることも、情報活用能力の一部だと言えるでしょう。
ただし、情報活用能力の中には「情報手段の基本的な操作」というものも含まれるため、キーボードによる文字入力、電子ファイルの管理、デジタルメッセージの送受信、文書作成ソフト、表計算ソフト、プレゼンテーションソフト等の基本的な操作技能についても育成する必要があります。
つまり、情報活用能力はコンピュータを使った内容だけに限定はされないが、コンピュータの操作スキルについても育成が必要ということです。
また、昨今話題となっているプログラミング教育に関わる「プログラミング的思考」や「情報モラル・セキュリティ」も、情報活用能力に含まれます。

次回は、情報活用能力を教科横断的に育成する際のポイントやその環境について紹介します。

構成・文・イラスト:内田洋行教育総合研究所 研究員 眞鍋悠介

※当記事のすべてのコンテンツ(文・画像等)の無断使用を禁じます。

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