2024.12.12
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新刊『学校の「読書バリアフリー」はじめの一歩 学校図書館10の事例』

読書格差を改善するために読書バリアフリー法(視覚障害者等の読書環境整備の推進に関する法律)が2019年に施行されましたが、5年経った今でも十分な環境整備が進んだとは言いがたく、改善が叫ばれているのが現状です。特に学校図書館における「読書バリアフリー」の状況は、公共図書館等と比較しても整備が遅れています。
この1冊で、読書バリアフリーとは何か、学校で推進するためのポイント、学校図書館の具体的な事例、学校現場にあわせたQ&Aまで、読書バリアフリーを始めるための一歩がわかります。その子に合った読書のカタチを提供する、学校における事例をフルカラーで豊富な写真とともに紹介しています。

「みんなが読める」を理想で終わらせない! 

事例5担当 土井氏より

教育は一人一人の幸福に強く関与しています。読書の喜びを手に入れることは生涯にわたって学び続ける力を手に入れることにつながっています。ですから、教育課程の展開に寄与する学校図書館で読書バリアフリーに取り組むことは必然です。

本書では一人一人の子どもの「学習活動を支援し、授業の内容を豊かにする」読書を実現する取組を具体的にご紹介します。授業の中で、授業の外で、学習者であるすべての子どもたちに「公平な質の高い教育」を提供する読書バリアフリーに取り組みましょう。

目次

はじめに
第1章 学校における「読書バリアフリー」とは
急がれる、読みたくても読めない「本の飢餓」の解消/知って・生かそう「読書バリアフリー法」/高まる「読書バリアフリー」へのニーズ/読みたいに応える環境づくり①読書補助具・支援機器の整備/読みたいに応える環境づくり②「バリアフリー図書」の整備/読みたいに応える環境づくり③図書館活動・サービスの提供/体制づくりと連携

column1 見る、聞く、さわる……。読書のカタチを選べる「バリアフリー図書」
 坂本康久(オーテピア高知声と点字の図書館前館長・現副主幹)

第2章 事例でわかる!学校図書館の「読書バリアフリー」
事例1 学校図書館経由で国会図書館から1人1台端末へ貸し出しが可能に
 井上賞子(島根県安来市立荒島小学校教諭)
事例2 学校全体で取り組む多様な子どもがいることを前提とした読書バリアフリー~インクルーシブに向かうプロセスとして~
 森村美和子(東京都狛江市立狛江第三小学校指導教諭)
事例3 子どものニーズに応じた読書環境づくり~聴覚障害・病弱・視覚障害の子への実践例~
 松田ひとみ(鹿児島県霧島市立国分中学校講師)
事例4 どの子も図書館に行きたくなる仕掛け
 伊達深雪(京都府立丹後緑風高等学校久美浜学舎 学校図書館司書)
事例5 学校図書館を活用した授業改善
 土井美香子(NPO 法人ガリレオ工房 東京都外部専門員)
事例6 知的障害と肢体不自由のある児童生徒の読書習慣づくり
 生井恭子(東京都立鹿本学園主任教諭)
事例7 チームで行う図書館運営
 福島美菜子(元島根県立出雲養護学校校長、島根大学教育学研究科特任教授)、伊藤翔太(島根県立出雲養護学校教諭 図書情報部長)
事例8 多様な読書環境と新しい「バリアフリー図書」の提案
 三宅治朗(前岐阜県立可茂特別支援学校教諭 司書教諭、現岐阜県立岐阜清流高等特別支援学校教諭 司書教諭)
事例9 墨字生と点字生、一緒に学ぶ環境で読書ニーズに応える学校図書館
 冨澤亨子(筑波大学附属視覚特別支援学校教諭)
事例10 その子の読みやすさ・読む力に合わせたバリアフリー図書の制作と提供
 野口豊子(横浜市立盲特別支援学校図書館運営員)

column2 国立国会図書館の読書バリアフリーの取り組み
 本田麻衣子(国立国会図書館 関西館 図書館協力課 課長補佐)
column3 日本点字図書館の教育機関との連携を中心とした取り組み
 岩渕百世・吉永真唯・柴崎修平(日本点字図書館利用サービス部 図書情報課)

第3章 Q&Aでわかる!学校の「読書バリアフリー」
Q1 他の子とは違う方法で読書をすることについて、周囲にどのように説明すればいいでしょうか。多様な読書の方法があることをどう伝えたらいいでしょうか。
Q2 予算的にさまざまな種類のバリアフリー図書を揃えることが難しいのですが、なにかよい方法はありませんか。
Q3 お金も人も限られているなかで、環境整備をどう進めたらいいでしょうか。
Q4 「視覚障害者等」に該当する児童生徒に提供するために、 学校図書館で所蔵している図書や資料を著作権者の許可なしで、複製することは、可能でしょうか。
Q5 申請する際に、学校図書館からは具体的にどのような書類を提出するのでしょうか。
Q6 教材などの点字データ、DAISY データ、テキストデータ等の 学校間での共有の仕組みはできないでしょうか。
Q7 そもそも、「視覚障害者等」とはどのような状態の人のことでしょうか。
Q8 読みに困難のある児童生徒がいることをどのように証明するのでしょうか。
Q9 外国にルーツのある日本語指導を受けている児童生徒に著作権法第37条第3項により複製されたマルチメディアDAISY図書を利用させてもいいでしょうか。
Q10 知的障害の特別支援学校高等部や高等特別支援学校の生徒には、マルチメディアDAISY図書の利用は適さないのではないでしょうか。
Q11 障害のある児童生徒に応じた読み聞かせの方法を教えてください。
Q12 ロービジョン(弱視)の児童生徒が楽しめる読み聞かせ方法を教えてください。
Q13 スマホ、タブレットが普及する現代において、改めて「読書バリアフリー」をどう考えるといいでしょうか。

おわりに

新刊『学校の「読書バリアフリー」はじめの一歩 学校図書館10の事例』

編著:野口武悟
発行:学事出版
定価:2,970円(税込)
判型・ページ数:A5・152ページ

文・画像提供:学事出版

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