「算数を教える」のではなく「算数で教える」 世田谷区立八幡小学校 滝井章先生
子どもたちの柔軟な考え方を生かし、また、他の子の考えと比較・検討することで交流を生むなど、さまざまな効果があるというオープンエンド・アプローチとは?
オープンエンドという言葉をご存じだろうか。簡単に言えば、「一つの問題に正解がいくつもある」ということ。こうしたオープンエンドの問題を使った授業は、子どもたちの柔軟な考え方を生かし、また、他の子の考えと比較・検討することで、児童間の交流を生むなど、さまざまな効果があるという。 |
|
■どんどん授業に引き込まれる児童たち 黒板に書かれた一つの図形。 さて、彼らは、この図形の全体の面積を求めて、その2分の1の60cm2になるような線を引けばいいのだと気づく。
ここで、児童たちは、面積が60cm2になる台形を作ればいいことに気づく。 どこかからまた声があがる。 45分の授業はあっという間に終了。子どもたちは興奮さめやらない状態で、さっきまでの授業をそれぞれに反芻し、理解したことを頭の中で整理しているようす。
|
■算数から教わる算数以外のこと 「この授業のいいところは、できる子も、できない子も、全員が参加できて、それぞれに満足感が得られることなんです」 「授業には、"算数を教える"授業と"算数で教える"授業があると思うのです。前者は、教科書にあることを教えること、後者は、算数を学ぶことを通して、ものには色々は側面があること、他人の意見を知ろうとすることや、自分にないものを友だちから得ようとすること、人の気持ちを思いやることをも学ぶ。そういう授業こそ、生きる力を育てるのではないでしょうか」 |
|
■児童の大半が塾に通っている現状で、 「塾に通っている児童は、授業をはじめる前から、すでに知識を獲得しています。たとえば、10個のパンを4人でわけると一人がもらえるパンの数は? という問題を出すと、塾に行っている子は、すぐに10÷4=2あまり2と解いてしまう。が、塾に行っていない子は、Aくんに1個、B くんに1個…とやって、最後の2個は2つに割ってわけちゃう。そういう自然な発想が、塾の子にはできなくなっている。学校の授業というのは、子どもが本来持っている自然な発想を引き出す場にしなければと思っています。 |
|
■ヒントは45分の授業の中にちりばめている
|
|
|
|
■関連資料 滝井先生ほか5名の先生方の共著のご紹介 |
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)