2003.01.21
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墨田中学校の「ふれあい学習」リポート!!

学びの場.com読者のみなさんが「学びの場.com特派員」として、レポートするこのコーナー。記念すべき第1回目は、西村悦子さんとイチコさんのおふたりが東京都墨田区立墨田中学校の1学年・3学年で行われた「ふれあい学習」を見学。初めての取材、学校や授業の様子など、読者の方々が見た「現場」をレポートいたします。

墨田中学校「ふれあい学習」を見学して


 





 

これまでの「ふれあい学習」がズラリ
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 

今回のゲストティーチャー 近藤聡先生

 


 
 
 
 
 
 
 
 

---2002年12月17日(火)に墨田中学校の「ふれあい学習」に参加しました。学びの場読者特派員としてはじめての取材です。期待と不安を胸に玄関をはいると、正面の壁一面に、これまでの「ふれあい学習」のタイトルが。学校を地域に開く試みとして始まった「ふれあい学習」。墨田中学校の力の入れ方が伝わってきます。これからどんな授業が始まるのかわくわくしながら教室に向かいました。

■熱い4分間。私も参加したかった!

「ヒーローは誰だ?」持ち時間一人2分。全神経を集中して相手が何を想像しているかを聞きまくる。80名の生徒がそのことだけに集中した。誰が何をどう話しているのか聞き取れないぐらい思いっきりそれぞれがしゃべりまくっている。目を輝かせ、楽しそうに、生き生きと。あちこちから笑い声が聞こえ、身振り手振りもはいっている。「のってるな」の感じが伝わってくる。そばでみていて心地よい。立場を交代してまた2分。この4分間の授業で生徒らは、漠然としたものから徐々に答えを絞り込んでいくという方法を学んでいく。相手の考えていることを想像し、質問をつくりだし、ポイントを絞り込む。簡単そうだが結構難しい。「それは大きいものですか?」これでは絞り込むことはできない。「それはこの教科書より大きいものですか?」とすれば、お互いに共通の理解ができる。授業をしていると感じさせず、ゲームをして遊んでいたようで、しっかりとポイントを押さえているあたりがさすがプロと感心させられた。取り組む課題に熱中するあまり、先生の声が届かずいつまでもガヤガヤしている場面もあったが、授業中一度も「はいこっちをみて」「静かに」というような大きな声を聞くことはなかった。先生がちょっとした間をおくと水面に波紋が広がるように前のほうからスーッと静かになっていく様も見事だった。
この4分間が、50分の授業の中で、一番印象に残った一こまだった。

■授業全体の流れは…

さて、授業全体の流れを振り返ってみよう。今回のゲストティーチャーは江東商業高校の近藤聡先生。3年生の生徒3クラス80名が参加した。最初に「ふれあい学習」を担当する三橋秋彦先生からの説明。
「TVにもたくさんでている有名な先生です。今日のお話のテーマは決まっていますが、好きなことをやってくださいとお願いしてあります」
「えっ、誰?」「何やるの?」生徒たちは興味津々の表情になる。
講師の近藤聡先生登場。第一声「みんな顔をあげて僕のほうをみてください」
今日やることは3つあります。1つ、僕がテレビにでたときのビデオを2本みます。2つ授業をします。3つめはお話をします。最初に興味をもったことに答えがでて、またさらに新たな興味付けができてくる。「どんなTV?」「授業って何?」
と近藤先生にどんどん集中していく。ビデオはNHK「東京インフォーカス」、フジテレビの「ニュースジャパン」。近藤先生がTVニュースを編集したものを教材とした「メディアリテラシー」の授業の様子が映し出される。どういう授業をやっているのか、やろうとしていくことはどういうこのなのかがわかりやすくまとめられている。
「こんなことか」「すごいな」「へえー」と納得。生徒ひとりひとりに最初に感じた謎がとけたところで、「ヒーローは誰だ?」授業開始。まず生徒一人を前によび、先生が見本をみせる。「それはスポーツ系ですか」「踊りが抜群にうまいですか」「戦いますか」「戦う相手は毎回同じ人ですか」「集団で戦いますか、単独ですか」「シリーズものですか」「生まれ故郷は地球ですか」「みんな知ってますか」「世代を超えて知っていますか」「グッズとかよく売れてますか」・・・・矢継ぎ早に質問は続く。答えは「ドラえもん」。ここでのポイントはただ一つ「全力でしゃべる」ことだけというメッセージが近藤先生から伝えられた。
生徒たちが全力でしゃべりまくったあと、「大変よくできました」のひとこと。

■だれでもが学園ドラマの主人公になれる!

そして最後にこれから高校受験を控えた3年生にむけてのメッセージ。
「高校とは一人一人が生かされ、生き生きできる場所です。誰でもが学園ドラマの主人公になれる場所です。どんな高校にいっても、どんな授業を受けても、どんな部活に入っても、どんな先生に会っても、どんな友達に会ってもきっと今以上のドラマが生まれます。高校で皆さんをお待ちしています。」これで授業はおしまい。
私にも中学3年になる息子がいるのだが、自分の年を忘れ、近藤先生の「皆さんをお待ちしています」の一言に「はい、よろしくお願いします」と心の中で頭をさげている自分がいた。学園ドラマの主人公になりたいと痛切に感じた40分だった。

(取材・執筆/学びの場.com読者特派員 西村悦子さん)
 

イチコの特派員リポート ~ 墨田中ふれあい学習編 ~



 
 
 
 

 
 
 ご挨拶にはじまりジンバブエのご説明。プロジェクターを使ってお話してくださいました。
 

  


 



これが小学校に入るための条件。つまり手が長くなければ入学できない!!





 
 

生徒の皆さんも真似してました。
もちろん私も!










身振り手振りでお話しするルイーザ先生。手に持っているのは原稿です。お話は日本語でしたが、原稿は英語でした!








帰り際、門のところでタイミングよくブライアン先生が!
思わず撮影させていただきました!

---私イチコは2002年12月17日、「学びの場特派員」として初のリポートに行ってまいりました!!
取材先は墨田区立墨田中学校。こちらの中学校では7年前から「ふれあい学習」という、学校を地域に開くことを目的とした授業を実践していて、その一環として毎回地域の方々を講師にお招きしているそうです。私は今回、BRIAN RUWIZA(ブライアン ルイーザ)さんという、ジンバブエから留学生として日本にいらしてる先生の授業にお邪魔いたしました。私にとって初のリポート、そして実は久々に訪れる学校という空間!充実した時間を過ごさせていただきました。

■いざ、学校へ!!

まず、少し緊張しつつ「とにかく今日は一つひとつの光景を目に焼き付けるぞ!」と意気込んで校門をくぐると、目の前にはすぐに校舎が。「校庭は?」と思って見渡すと、校庭は校舎の奥に中庭のように存在していました。しかもさすがは都内!? 校庭が土ではありません。
最近の学校の校庭ってこんな感じなのかしら…などと妙なところにチェックを入れながら廊下を進むと、次に驚いたのは、生徒の皆さんのその応対ぶり。廊下をすれ違うとき、皆さん外来者の私に向かってちゃんと「こんにちは」とご挨拶してくれるのです。私の方が慌ててご挨拶を返す始末。「挨拶をする」、当たり前のようで社会人でもなかなか出来ていないのではないでしょうか。感心すると同時に、「今時の子とは…」というイメージを抱いていた自分に気付き、反省いたしました。

■登場!ブライアン先生

さて、本題のブライアン先生の授業。テーマは「ジンバブエと日本」で、授業に出席するのは1学年の生徒全員です。教室は音楽室ということから、「きっと何か民族音楽とか楽器を聴かせていただけるに違いない!」などと勝手に想像を膨らませていた私でしたが、現れたブライアン先生はきちんとスーツを着こなし、手に楽器は…ありませんでした…。

 進行役の生徒さんのはじめの言葉で、いよいよ授業開始。当初は通訳を就けて英語で行う予定だったそうですが、先生自らの希望により授業は日本語で行われました。
授業は講演形式で、「皆さんジンバブエがどこにあるか知っていますか?」との問いかけから、まずはジンバブエという国、そしてブライアン先生の生い立ちについてのお話でした。恥ずかしながら私はジンバブエがどこにあるのか知らなかったのですが、アフリカ南部に位置する山に囲まれた国だそうで、隣国はザンビア・モザンビーク・南アフリカ・ボツワナ。そこで生まれ育った先生のお話からは、大自然の美しさと同時に厳しさを伺うことができました。そしてその中で学校に行き、教職に就くには大変な努力を要したことが窺い知れました。先生は毎日片道2時間かけて学校まで裸足で歩き、夜はローソクの火を灯して勉学に励んでいたそうです。
面白かったのは小学校に入学するための条件で、なんと手が頭の上を越えて反対側の耳に届くようにならなくては入学が認められないというのです。先生は8歳で入学できたそうですが、この辺りはまさに文化の違いなのでしょうか。生徒の皆さんも身振り手振りを使って説明するブライアン先生の真似をしながら聞いていました(写真参照)。ちなみに現在はその入学条件は撤廃されているそうです。

■自分の国ってどんな国? 自分の夢ってどんな夢?

続いて先生の来日についてのお話。ブライアン先生は現在、埼玉県社会福祉事業団の障害者交流センターでスポーツ指導課の海外技術研修員として障害者スポーツについて学んでいらっしゃいます。ジンバブエで英語の先生をしていましたが、障害を抱え、スポーツをやりたくても出来ないという人々の現状をなんとかしたい、そんな思いから来日を決意したそうです。ボランティアでジンバブエに滞在していた日本人の友人の勧めもあったそうですが、私はその分野を勉強する国としてなぜ日本を選ばれたのだろう…と思いました。障害者スポーツに大切なことは、◆障害者の安全性、◆環境、◆ルール・用具の3点と教えてくださいましたが、日本はきっとこれらの点が多少なりとも整っているわけですよね。私自身もそうですが、生徒の皆さんにとって「障害者スポーツ」の一面に触れる機会にもなったのではないでしょうか。

 最後に、ブライアン先生は生徒の皆さんへ、
◆自分の可能性を信じ、夢を持つこと。そして夢に向かって目標を設定し、それに対し努力を惜しまないこと。
◆出来ない…はナシ。可能性は誰もが持っているものであり、たとえ見込みが低くても全力を尽くすべきであること。
◆日本という文化を大切にし、社会や家族に貢献する気持ちが国というものを作っていくのだということ。

をメッセージとして贈り、授業を締め括りました。

私の個人的な感想としては、誇りをもってジンバブエのことをお話されている姿がとても印象的で、話の中で繰り返し出てきた「希望、そして目標を持つことが大切だ」というお言葉からは、国・社会に貢献することがブライアン先生の大きな目標であり、そのために日々努力されていることが感じられました。また、先生もそれが伝えたいがために、このふれあい学習でご自身の歩まれてきた道をお話することにしたのだろうと思いました。
ブライアン先生のような、祖国への愛情、そして人のために力を尽くすことは当然というお考えはどのように育まれるものなのでしょうか?ジンバブエという他の国のお話、異国文化のお話としてではなく、今の自分、そして自分自身の周りの環境を見つめた上で授業を振り返ると、考えさせられるものでした。

生徒の皆さんがどのような感想を持たれたのかも、ぜひ聞ければ良かったのですが、私の初リポートは「自分自身を見つめる」という課題を与えてくれた、有意義なものでした。それと「ふれあい学習」。ステキな授業ですね。またの機会を見つけてお邪魔したいと思いました。

(取材・執筆/学びの場.com読者特派員 イチコさん)

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