2021.12.20
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新刊『本当は大切だけど、誰も教えてくれない 授業デザイン 41のこと』

「授業のゴールには、構造がある」「問題解決の力を高めるポイントは、方法のメタ認知を促すこと」「『わかっていると思い込んでいる世界』は、かなり広い」等、大学でも研修でも教わらないけれど、真のプロ教師に必須の授業づくりに関する41の知見を紹介しています。

大前先生より

「最高の授業のつくり方」を知らないまま教師を続けますか?

京都文教大学 准教授 大前暁政(おおまえあきまさ)氏

本書は,最高の授業を,一からつくるための方法を紹介するものです。例えば,次のような知識・技能を紹介しています。

①「そもそも最高の授業とは何か?」
②「授業のゴールとは何か?」
③「2030年までに実現したい新しい授業とは何か?」
④「最高の授業をつくるための,授業の要素とは何か?」
⑤「授業の成長段階とは何か?」
⑥「授業の上手い下手はどこから生まれるのか?」
⑦「一から最高の授業をつくるための方法は何か?」
⑧「指導方略とは何か?環境づくりとは何か?」」

他にもたくさん紹介しています。上のような内容を,全て精通していたら,何の問題もありません。ところが,上の内容に代表されるような知識・技能を,私たち教師は,実は教わってきていません。

それどころか,そもそも「最高の授業とは何か?」すら,知らない状態なのです。なぜ誰からも教えられていないのでしょうか?「重要な知識」なのに,なぜ誰も教えてくれないのでしょうか?

理由は簡単です。一から授業をつくる方法は,「重要な知識」であるからこそ,教えるのが難しいからです。そもそも,そのような「重要な知識」を網羅的に紹介した書籍が,存在しないからです。

求められているのは,一から授業をつくる方法を,網羅的に全て紹介した書籍です。そして,本書こそ,その役割を果たすものなのです。本書がこれまでの類書と違うところは,まず次の2つを紹介したことです。

①授業のつくり方に関して,誰も教えてくれないけど,重要な知識を示したこと。
②一から授業を自分でつくるときの,授業のつくり方を網羅的に全て紹介したこと。

①と②は,「不易」に相当します。時代に関係なく重要な知識になります。①と②は,教師なら絶対に知っておかないといけません。その上で,本書では,次のことも紹介しているのです。

③「新しい時代に必要とされる授業のつくり方」

本書の特長として,「2030年までに求められる授業のつくり方」を紹介していることが挙げられます。変化の激しい事態にも対応できる力や態度を育てるための授業のつくり方をも紹介しているのです。つまり,「新しい時代に必要とされる授業のつくり方」を紹介しているのです。

①と②の「不易」に相当する「授業のつくり方」をまず理解した上で,それを,③の「新しい時代に必要とされる授業のつくり方」に適用していくという構成にしたのです。

はっきり言えば,①と②ですら,誰も教えてくれません。研修会でも,先輩教師からも,誰からも教えられません。そういう体系的な書籍が「存在しない」からです。

まして,③は,難しい知識と技能になるため,若いうちはおそらく誰も教えようとしません。教える側が理解できていたとしても,若い教師に難しい知識と技能を教えるのは困難だと思えるからです。

授業のつくり方の体系的な書物になっているところが,本書の特徴です。「最高の授業のつくり方を知らないまま教師を続けますか?」本書は、すべての教師のこう問いかけるものとなっているのです。

目次

はじめに

第1章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[授業方法]7のこと
1 よい授業方法は、自明のものではない
2 ゴール次第で、望ましい授業方法は変わってくる
3 授業のゴールには、構造がある
4 隔たりが大きいほど、新しい手立てが見えてくる
5 授業の上手い下手は、3つの要素で決まる
6 第四の要素「システム・形態」によって、授業に差がつく
7 「臨機応変に授業を変化させる力」で、授業のレベルが一段上がる

第2章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[できる・楽しい授業づくり]7のこと
8 「できる」授業が、すべての学びの出発点になる
9 「できる」に至るには、4つの段階がある
10 「楽しい授業」には、子どもの認識の飛躍がある
11 「できる・楽しい」授業の段階で、「学び方」を身につけさせる必要がある
12 「深く学ぶ」と「学び方を学ぶ」が、「主体的な学習」を促す
13 授業の各段階には、相互的な因果関係がある
14 教師にとってのカギは、学びの過程で行うべき「指導方略」

第3章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[認識の飛躍を促す深い学び]8のこと
15 よい授業は、認識の飛躍を促している
16 教師が自身の「論理・考え方・見方」を、自覚する必要がある
17 子どもが間違えそうな状況が、認識の飛躍を促す
18 図や式をはじめに見せるのは、授業力の低い教師
19 習得、活用、探究の過程を通して、認識の飛躍が起こる
20 初学者には、価値ある問いの発想は難しい
21 知らないものは、見えてこない
22「獲得主義」と「参加主義」は、両立できる

第4章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[主体的な学習]7のこと
23 学習の「主体性」には、3つの意味がある
24 予想や仮説を検証するサイクルが、主体性の高まりを促す
25 発問の優先順位は3番目
26 内容知と区別し、方法知としての「学び方」を学ばせる
27 単元の学習中に、内容知と方法知をメタ認知させる
28 問題解決の力を高めるポイントは、方法のメタ認知を促すこと
29 主体性を高めるもう1つのカギは、「環境づくり」

第5章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[協同学習]6のこと
30 「協同学習=グループ学習」ではない
31 意欲を高めるカギは、成功体験と教師の語り
32 協同学習を成立させるには、3つの条件がある
33 自由な活動ほど、即時のフィードバックが必要
34 「システム・形態」は、課題の内容や解決のさせ方に応じて選ぶ
35 討論に導くカギは、意見の食い違いを意図的に生み出すこと

第6章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[授業展開]6のこと
36 ゴールと実態の隔たりから、望ましい授業展開が見えてくる
37 望ましい授業展開は、「学習者の認知の仕方」でも決まる
38 「わかった」の先の授業展開が、教師の腕の見せ所
39 「わかっていると思い込んでいる世界」は、かなり広い
40 「大きな知識」と「個別の知識」を区別する必要がある
41 話し合いが、かえって問題を見え難くすることがある

その他の引用・参考文献一覧
おわりに

新刊『本当は大切だけど、誰も教えてくれない 授業デザイン 41のこと』

著者:大前 暁政
発行:明治図書出版
価格:2,486円(税込)
四六判 272頁

文・画像提供:明治図書出版

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