2016.04.05
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子どもがウソをつく。親はどうする?

第83回目のテーマは「子どもがウソをつきます。どう対応したらよいでしょう?」です。

子どもがウソをつき、ショックを受ける親

あるお母さんから「小学生の娘が友達の筆箱を隠したと、担任の先生から報告を受けました。娘に確認した所、『していない』との答え。後日、それはウソだったことがわかり、“してしまった行為”はもちろんのこと、娘がウソをついたことに、よりショックを受けています」という話を聞きました。

このお母さんの気持ち、私にもよくわかります。長男が小学校低学年の時、70点の漢字テストを隠して、私に見せなかったことがありました。私が「あのテスト、戻って来た?」と聞いても、長男は「まだだよ」と言い続けていたのです。しかし、それはウソでした。彼は70点のテスト結果を私に叱られると思い隠していたのです。本当にショックでした。

今月は、子どもはどうして親にウソをつくのか、そしてウソをついてしまった子どもに、どう対応すればよいのかを考えます。

子どもはなぜウソをつくのか

なぜ子どもはウソをつくのでしょうか。理由は大きく二つあると思います。一つは、怒られたくない、という恐怖心からウソをついてしまうケースです。日常的に、親が叱ったり叩いたりしていると、子どもは自分を守るためにとっさにウソをついてしまうことがあります。これについては、親自身の態度を変えなければ子どものウソを直すことはできないでしょう。

もう一つは、子どもが、親の愛は“条件付きの愛”だと勘違いしてしまっていることです。小さい頃から「100点をとったの? いい子ね~!」などと、何かを達成したから“いい子”と褒めたり、逆にいい成績がとれなかった時、「だからあなたは駄目なのよ」と否定したりしていると、子どもは「“いい子”でなければ、お母さん・お父さんから愛してもらえない」と思い込み、自分をよく見せるためのウソをついてしまうケースです。「褒めて育てる」とは言いますが、「いい子だから、大好き!」という褒め方は良くないでしょう。普段から「○○ちゃんがテストで0点をとっても、お皿を割ったとしても、○○ちゃんを嫌いになることはない。いつも大好きよ」と伝えて下さい。親の愛情は、条件付きの愛情ではないことを子どもに理解してもらいましょう。

しかし、いずれの理由であっても、ウソをつくことは絶対にいけないと、私は考えます。なぜなら、ウソを一つつくことによって、そのウソを隠すためにまたウソをつかなくてはならなくなり、どんどんウソが大きくなってしまうからです。また、親にウソを一つつく度に、「親に隠し事をしてしまっている」という罪悪感が子どもの心に重くのしかかり、その結果、親とのコミュニケーションを拒否するなど、親子の距離が広がっていくかもしれないからです。子どもがウソをついたら、このような事態に陥る危険性をしっかり教えてほしいと思います。

ウソをつくとどんな悪いことが起こるかを教える

かつて長男・和平が漢字テストを隠すためにウソをついた時、私は彼に本気でお説教しました。途中、トイレや食事休憩もはさみながら、その時間は実に8時間。
「和平がウソをついたら、ママはどうなる?」
 と聞くと、
「わからない」
 との答え。私は
「ママはとても悲しくなる。どうしてママの愛情を信じてくれないの? ママは和平が和平だから愛しているのに。テストの点数でその愛情が変わるわけがないのに」
 と。そして
「ママに隠し事をしていた時、どんな気持ちだった?」
 と聞くと、
「ばれてしまわないか、ドキドキしていた」
 と答えたので、
「そうでしょう? “あのテストは?”と聞かれた時、ウソをついている自分が辛かったでしょう。そんな辛さは必要ないのよ。ウソは全く必要ないの」
 とも言いました。なるべく平易な言葉で、小学生にもわかるように伝え、最後には納得してくれたようです。

次男、三男がウソをついた時にも同じように話しました。それでも、子どもはついうっかりウソをついてしまうもの。そんな時も適当に流してしまわず、前述のようになぜウソがいけないか、どれだけいけないことかを、理由と共にしっかり伝えてきました。おかげで我が家は、親子の距離が広がることなく、お互いに信頼し合える家族でいます。

ですから、冒頭のお母さんも娘さんに、ウソをつくとどんな悪いことが起こるかを教えてあげて下さい。そして、友達の筆箱を隠した行為自体は悪いことですが、「そういうことをしたあなたは、駄目人間だ」などの、全人格を否定するようなことは決して言わないで下さい。あくまでも、悪いのはその行為であって、「あなたのことは大好きだよ」と、伝えましょう。

子どもの褒め方も気をつけましょう。いつも「いい子ね~、大好きよ」と褒めていると、子どもは「自分はいい子でないと、親に愛されない」と思い込んでしまう可能性があります。子どもが何かできたことを、一緒に喜ぶのは良いのですが、まずは努力している過程で励まし、その努力自体を褒めてあげましょう。例えば、高校や大学受験に向けて本人が最大限の努力をしても、不合格になる場合があります。そんな時も、努力した子をけなしてはいけないと思います。成果ではなく努力を褒めれば、合格した子も不合格の子も、次も頑張ろうとするでしょう。子どもにウソをつかせないためには、こうした日常的な励まし方、褒め方にも気を配ることが大切だと思います。

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アグネス・チャン

1955年イギリス領香港生まれ。72年来日、「ひなげしの花」で歌手デビュー。上智大学国際学部を経て、78年カナダ・トロント大学(社会児童心理学科)を卒業。92年米国・スタンフォード大学教育学部博士課程修了、教育学博士号(Ph.D.)取得。目白大学客員教授を務め、子育て、教育に関する講演も多数。「教育の基本は家庭にある」という信念のもと、教育改革、親子の意識改革について積極的に言及している。エッセイスト、98年より日本ユニセフ協会大使、2016年よりユニセフ・アジア親善大使としても活躍。『みんな地球に生きるひと』(岩波ジュニア新書)、『アグネスのはじめての子育て』(佼成出版社)など著書多数。2009年4月1日、すべての人に開かれたインターネット動画番組「アグネス大学」開校。2015.6.3シングル『プロポーズ』release!!(Youtubeで公開中)

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構成:菅原然子/イラスト:あべゆきえ

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