2015.06.02
  • twitter
  • facebook
  • google+
  • はてなブックマーク
  • 印刷

男児、女児、育て方に違いはある?

第73回目のテーマは「5歳の息子の行動が不可解で育児に手を焼いています。私が女性だから男の子を理解できないのでしょうか?」です。

男の子の不可解な行動に振り回され、育児に手を焼く母親

以前「『男の子らしく』『女の子らしく』育てることは良い?」という記事で、私は「男の子も女の子も性差なく育てよう」と提案しました。とはいえ、母親にとって5~6歳頃までの男の子は、空想家でこだわりが強く、意味のない行動をとったり、人の話を全く聞いてなかったりと、理解の範疇を超える行動をとることが多いようです。同様に、父親にとっての女の子も、時に不可解な存在であると聞きます。男児には男児の、女児には女児の、それぞれ独特の難しい特徴があるようです。

このため、子どもの予想外の言動に振り回され、育児にてんてこ舞いとなり、中にはストレスを感じる方も少なくありません。なぜ、我が子なのに理解できないのでしょう? 今月は、理解できない原因と、男児・女児の独特の言動に合わせた育て方や教育法はあるのか、考えてみましょう。

親は、子どもを自分の型にはめてはだめ

例えば、男の子を育てるお母さん達は「どうしてわざわざ水たまりに飛び込むの?」「なぜすぐに物を投げるの?」「いけないと言っている直後に、なぜ同じことをするの?」と、「?」だらけの子育てに悩まされているそうです。一方、女の子を育てるお父さん達も「毎朝、その日着る服選びにこだわりすぎて、駄々をこねて困る」「こんなに娘を好きなのに“パパ嫌い”と言われた」など、悩みが尽きないようです。

ただ、これら悩みも見方を変えれば、私達大人が自分の中に規準のようなものを作っていて、子どもの言動をその規準に照らし合わせ「それは良い」「それは悪い」と判断しているだけではないでしょうか。言い換えれば、自分の型に子どもをはめようしているのでは?

従って、子どもの言動が理解できないなら、親自身がまず先入観を捨て、そして既存の情報に頼らず、「どうしてこの子は、こんな行動をとるのか?」を考えてみてください。子どもの視点でものを見てみたら、水たまりがとても広い池のように見えて、つい入りたくなる気持ちがわかるかもしれません。着る服によって気分が上がり下がりする経験が、「そういえば自分にもあった」と思い出すかもしれません。

また、一緒に楽しい思い出をたくさん作ることで、子どものことがわかる場合もあると思います。異性の子どもは、同性の子どもよりもわかりにくい点もあるかもしれませんが、それなら一緒に過ごす時間をもっと取ってみてください。「毎晩娘とはお風呂に一緒に入っているからそれで十分」と思っているお父さん。もちろん、娘さんはその時間を楽しんでいると思いますが、本当は肩車してもらって遊園地でパレードを見たり、公園でとことん遊んだりという方が好きかもしれません。短い時間でも、恋人と楽しい思い出を作るような気持ちで子どもと接すると、子どもは自然と懐きますし、結果的に親の言うことも聞くようになるでしょう。

子どもにしてほしくないことは、きちんと説明する

それと同時に、子どもに「こうしてほしい」と話すことも大事だと思います。我が家の次男は猪突猛進型で、「あれを見たい!」と思ったらその場所へ向かってものすごい速さで走って行ってしまう子でした。長男はおっとりタイプでそういう行動はなかったので、最初はびっくりしましたが、「そういう子もいるのか」と新鮮に受け止めていました。ただ、周りを見ずに突っ走るのは、事故に遭う危険があるので、次男には「あなたがすぐそこに行きたい気持ちはよくわかるわ。けれど、途中で自動車や人にぶつかる危険性もあるでしょ? だから周りが見えるくらいの速さで行くのはどうかしら」と話しました。すると、次男は納得してくれました。

このように、なぜその行動が悪いのか、どうしてお母さん・お父さんはそうしてほしくないのか、きちんと話して伝えることは大事だと思います。子どもだからどうせわからないだろうと「こらっ、やめなさい!」で済ませてしまっては、いつまでたっても子どもは「なぜお母さんは怒るのだろう?」と思いながら、その行動を続けてしまうでしょう。

特に、立って歩き始める1歳過ぎの子どもは言葉をそれほど発しませんが、こちらの話はかなり理解していますし、行動もかなり素早くなっています。「まだしゃべれないから、わからないだろう」と決めつけず、やめてほしいことについてはきちんと理由を話してみましょう。この頃の子どもは、相手の言っていることはわかるのに、自分の思いを言葉にはできないため、かなりストレスフルです。それを察して、親が「こうしたかったのかな? それともこう?」などと候補をいくつか出してあげると、子どもが癇癪を起こすのを少なくできるかもしれません。

子育ての悩みは尽きませんが、半面、子どもは未知の経験をたくさんさせてくれる存在でもあります。親にとって子どもの不可解な言動も、今まで知らなかった世界に気づかせてくれるものだと思えば、理解しにくい異性の子どもへの接し方も変わってくるでしょう。親が変われば子どもも変わり、きっと育てやすくなると思います。

アグネス・チャン

1955年イギリス領香港生まれ。72年来日、「ひなげしの花」で歌手デビュー。上智大学国際学部を経て、78年カナダ・トロント大学(社会児童心理学科)を卒業。92年米国・スタンフォード大学教育学部博士課程修了、教育学博士号(Ph.D.)取得。目白大学客員教授を務め、子育て、教育に関する講演も多数。「教育の基本は家庭にある」という信念のもと、教育改革、親子の意識改革について積極的に言及している。エッセイスト、98年より日本ユニセフ協会大使、2016年よりユニセフ・アジア親善大使としても活躍。『みんな地球に生きるひと』(岩波ジュニア新書)、『アグネスのはじめての子育て』(佼成出版社)など著書多数。2009年4月1日、すべての人に開かれたインターネット動画番組「アグネス大学」開校。2015.6.3シングル『プロポーズ』release!!(Youtubeで公開中)

AGNES CHAN OFFICIAL SITE ~アグネス・チャン オフィシャルサイト

構成:菅原然子/イラスト:あべゆきえ

※当記事のすべてのコンテンツ(文・画像等)の無断使用を禁じます。

ご意見・ご要望・お悩み、お待ちしています!

「アグネスの教育アドバイス」では、取り上げて欲しいテーマ、教育や子育てのお悩み等を随時募集しております。下記リンクよりご投稿ください。
※いただいたご要望やお悩みは、企画やテーマ選びの参考にさせていただきます。
※学びの場.comから個別に回答をお返しすることはありません。

pagetop