2014.03.04
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夫婦の教育観が違うとき、どうする?

第58回目のテーマは「我が子への教育方針が夫婦間で異なる場合があります。どう解決すればよいでしょう?」です。

お互いの教育への価値基準を確認しておく

子育てをしている夫婦の間で教育観が異なり、意見が対立することがあります。例えば、進学に関して妻は「子どもは私立の小学校を受験させたい」と希望しても、夫は「中学までは公立で十分」と反対する等……。教育費については、最近は、祖父母から孫への教育資金贈与が期間限定で1,500万円まで非課税となることもあり、「お金を出すから口も出す」と、孫の教育について注文をつけてくる祖父母もいると聞きます。その意見が夫婦と異なる場合、一体何を指針に我が子への教育方針を決めていけばよいでしょうか。今月は、夫婦や身内の間で起こりがちな教育観の相違について、対策等を考えていきます。

まず、夫婦がそれぞれ「我が子の教育にどのくらい重きを置いているか」という、教育に対する価値基準をよく確認し合っておくことが大事だと思います。例えば、100万円があったら、自分は何に使いたいか考えるのです。クルマの購入、旅行、それとも我が子の教育資金としてためる? 色々なケースを想定して、夫は、妻は、教育をどのくらいの優先順位と考えているか、話し合い共有しておくとよいでしょう。将来、お互いの意見が異なったときに、立ち返る場所を確保するのに役立つと思います。

また、この話し合いにより、夫婦のうちどちらが我が子の教育をより真剣に考えているかが見えてきますので、より真剣な方が最終的な判断を下す人と決めておいてはいかがでしょう。進学先等で色々と迷ったとき、あまりもめずに済むでしょう。

あとは、子どもが8歳になるまでは習い事でもスポーツでも、やらせたいものがあるならどんどんやらせてみればよいと思います。子どもは8歳頃になると、少しずつ好き嫌いがはっきりしてくるので、そうなったら好きな目標に向かえるよう応援してあげればよいのではないでしょうか。

進学先を決めるのは誰か?

私たち夫婦の場合、子どもの幼稚園を決める際に意見が分かれました。私は有名私立学校の付属幼稚園に入れたかったのですが、その幼稚園の説明会で「受験の日には絶対に子どもに風邪を引かせないように。チャンスは一度しかないのですから、それが親の務めです」と言われました。それでも有名私立にと思っていた私に、夫は「それはあなたの見栄でしょう?」と指摘し、私ははっと我に返りました。

その後、インターナショナルスクールの説明会にも行きました。そこでは「普段の子どもの様子を知りたいので、もし風邪を引いたらその日は休んでください。別の日を設定しますから」とのこと。この子ども中心の姿勢に共感し、結局そこへ子どもたちを通わせることに夫婦の意見が一致しました。

一般に、子どもは中学生にもなれば、自分のやりたいことが大体見えてくるもの。ですから、私は息子たちが中学に進学した頃から、「どの高校に進むかは自分で決めてね」と話していました。その結果、3人とも受験する高校は自分で決めました。親としては口出ししたいこともあったのですが、ぐっと我慢して子どもに任せました。おかげで、子ども自身に責任意識が生まれ、学校生活は非常に充実したものになったようです。

親は、子どもが小学生までは様々な局面で判断していく方がよいと思いますが、中学生以上になったら黙って見守り、子ども自身に判断させてみましょう。それにより、生きる自信と強さを身に付けていくようです。

教育費の問題で子どもの夢をつぶしてはいけない

教育費について意見が対立することもあるでしょう。もしも、子どもを幼稚園や小学校段階から私立に入れるとすれば、やはりかなりまとまった金額が必要です。そのとき、祖父母が援助をしてくれるとなれば、ありがたいかもしれません。ただ、お金を出すと同時に、口も出す、つまり「○○に進学する場合だけお金を出す」等と言われるケースもあるようで、それが自分たちの希望と異なる場合はどうしたらよいでしょう? 私は、子ども本人、両親、祖父母が全員集まって進学について話し合う機会を持つ。それでも意見が対立する場合は、お金は受け取らないほうがよいと思います。

大学への進学段階で、子ども自身が決定した進学先が学費の高い学校のため、支払えないから行くなと言うのは、どうかやめてほしいと思います。子どもがせっかく見つけた夢をつぶしてしまう行為です。とはいえ、授業料は入学後に奨学金で賄うとしても、入学金を用立てられないという家庭もあります。私の知人にもいました。子どもが第一志望の私立大学に受かったけれど、入学金が払えないという方が。ところが、そのことを知り合いに相談した所、「将来返してくれればいいから」と、快く貸してくれる人が見つかったのです。

お金がないことは恥ずかしくありません。本当に恥ずかしいのは夢がない人生でしょう。子どもが目的を持って進学を希望するならば、親は恥ずかしがらずに親戚や知人に相談してみましょう。道が拓ける可能性はあると思います。

最優先すべきは、子どもの人生が豊かになること。夫婦で喧嘩をしている場合ではありません。親は全力で応援する、一番のサポーターになりましょう。

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アグネス・チャン

1955年イギリス領香港生まれ。72年来日、「ひなげしの花」で歌手デビュー。上智大学国際学部を経て、78年カナダ・トロント大学(社会児童心理学科)を卒業。92年米国・スタンフォード大学教育学部博士課程修了、教育学博士号(Ph.D.)取得。目白大学客員教授を務め、子育て、教育に関する講演も多数。「教育の基本は家庭にある」という信念のもと、教育改革、親子の意識改革について積極的に言及している。エッセイスト、98年より日本ユニセフ協会大使、2016年よりユニセフ・アジア親善大使としても活躍。『みんな地球に生きるひと』(岩波ジュニア新書)、『アグネスのはじめての子育て』(佼成出版社)など著書多数。2009年4月1日、すべての人に開かれたインターネット動画番組「アグネス大学」開校。2015.6.3シングル『プロポーズ』release!!(Youtubeで公開中)

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構成:菅原然子/イラスト:あべゆきえ

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