2013.11.05
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食べ物の好き嫌い、どう克服する?

第54回目のテーマは「子どもの食べ物の好き嫌い、どうすれば克服させられるでしょうか?」です。

好き嫌いのない子は育てやすい

せっかく家族が揃った食卓に、子どもの「これ嫌い」「あれもイヤ」が飛び出し、がっかりさせられる親も少なくありません。子どもには健康のためにも、成長のためにも、色々な食べ物を楽しく食べてほしいのに……。

私の経験から、食べ物の好き嫌いのない子どもは身体が丈夫で病気をしにくい、体力があるので集中力が増すなどのメリットが多く、育てやすいのです。今月は、どうすれば好き嫌いなく食べられる子どもに育てられるか、また、好き嫌いのある子への対応はどうすればよいかを考えます。

過激な味は避け、舌を鍛える

我が家の3人の息子たちは、全員好き嫌いなく育ちました。私自身、実は好き嫌いが多くあり、自分の子どもには好き嫌いなく育ってほしいと思っていたのです。日本には素晴らしい食材がたくさんあります。例えば、和食に使われる鰹節や昆布などのだし、四季折々に収穫される旬の野菜や果物など、それら微妙な味の違いや滋味までもがわかれば、食を通して豊かな情操が育まれると思ったからです。そのためにも、子どもの舌を鍛えようと考えました。

まずは、子どもに過激な味を覚えさせないようにしました。過激な味というのは、甘い清涼飲料水やスナック菓子などのジャンクフード、濃い味のファストフード、添加物が多く入った総菜など。これらの食品は、し好性の高い、濃い味付けになっていることが多いので、一度食べるとまた食べたくなります。繰り返し食べていると、それより薄い味のものにはなかなかおいしさを感じられなくなってしまうようです。つまり、舌を壊すのではないでしょうか。ですから、私は子どもたちが赤ん坊の時からこれらのものを与えませんでした。

そして、なるべく多くの食材を使って料理し、色々な味を小さいうちから経験させました。海外で出産した時は、離乳食には市販のベビーフードも一部利用しましたが、ほとんどは手作りしました。

また、一緒に食卓につく大人が、「おいしいね」と言って料理をパクパク食べることも大切なようです。我が家はそうすることで、子どもたちも釣られてよく食べていました。

その結果、彼らは納豆やくさや、とろろ汁など、私には正直言ってよくわからない食品までおいしいと言うようになりました。日本独特の食べ物にもおいしさを感じられる舌が育ったことは、私の子育てにおいて大成功の一つです。

今では息子たちは、留学先のアメリカで自炊し、身体に良い食材を自然と選び食べるようになっています。時にはジャンクフードも食べますが、身体に良くないことを承知しているので中毒にはなりません。

このように我が家の体験では、舌を鍛えることで好き嫌いがない子に育ち、かつ、身体に良いものがおいしいと感じられる子になる、そういう理想的な形を実現できることがわかりました。

嫌いなものがあっても大丈夫

では、すでに好き嫌いがある子はどうしたらよいのでしょうか。そういう子にも、前述したようなことを実践してみる価値はあると思います。他には、色々な調理法を試してみる、その子が嫌いな食べ物に含まれる栄養素が、身体を作るためにどれだけ必要なものかを話してみる、という方法もよいでしょう。

それでも、どうしても嫌いで食べられないものもあるでしょう。でも大丈夫です。代替の食物で補えば、栄養的に偏ることはないでしょう。例えば、ピーマンが嫌いであれば、辛み成分(カプサイシン)はカレーで代替したり、青い部分の成分(葉緑素)はキュウリの皮をむかずに調理したり。このような知識はインターネットでいくらでも調べることができますから、どうしても食べられなければ代替品を探すことです。

ただその時、子どもに「あなたが嫌いなピーマンには、身体にこのような効能がある。だからピーマンが食べられないのであれば、代わりにこちらでその成分をとる必要がある」ということを伝えてください。それにより子どもは、自分の嫌いなものにはそんなに大事な成分が含まれているのかがわかり、少しずつでも食べることにつながると思います。

同様に、学校給食でも食べ物の豆知識を教師が子どもたちに教えてあげられたら、子どもたちは食べることがより楽しくなるかもしれません。コーンが出たら、「このコーンはどこで収穫されたと思う? 他にどんな種類があるかな? 食べすぎるとどうなるでしょうか?」など、ちょっとした知識を子どもたちは大好きだと思います。

このような工夫の積み重ねで、子ども自身が食べ物に興味を持ち、食べることが楽しくなれば、もしかしたら好き嫌いも減るかもしれません。食べることは成長の基本。子どもの時から、色々なものをおいしく楽しく食べられるようになってほしいものです。

アグネス・チャン

1955年イギリス領香港生まれ。72年来日、「ひなげしの花」で歌手デビュー。上智大学国際学部を経て、78年カナダ・トロント大学(社会児童心理学科)を卒業。92年米国・スタンフォード大学教育学部博士課程修了、教育学博士号(Ph.D.)取得。目白大学客員教授を務め、子育て、教育に関する講演も多数。「教育の基本は家庭にある」という信念のもと、教育改革、親子の意識改革について積極的に言及している。エッセイスト、98年より日本ユニセフ協会大使、2016年よりユニセフ・アジア親善大使としても活躍。『みんな地球に生きるひと』(岩波ジュニア新書)、『アグネスのはじめての子育て』(佼成出版社)など著書多数。2009年4月1日、すべての人に開かれたインターネット動画番組「アグネス大学」開校。2015.6.3シングル『プロポーズ』release!!(Youtubeで公開中)

AGNES CHAN OFFICIAL SITE ~アグネス・チャン オフィシャルサイト

構成:菅原然子/イラスト:あべゆきえ

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